Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

Air Forceの旋回性能に関する研究

 アバロンヒル社の『ヨーロッパ上空の戦い』(Air Force)、『ドーントレス』(Dauntless)、『エキスパンションキット』(Air Force Duntless Expansion Kit)は、第二次世界大戦の空戦戦術級ゲームで、大好きなゲームだった。後にホビージャパンが、『ヨーロッパ上空の戦い』(Air Force)、『ドーントレス』(Dauntless)を併せて、『エア・フォース』(Air Force)として、ライセンス生産している。

 昔はあまり真面目に戦術など考えずにカンで相手の動きを予測して動き機銃を撃って「当たった」「外れた」とプレイしていた。

 今回、旋回性能について、調べてみた。旋回半径が低い戦闘機と、旋回半径が大きい戦闘機が対戦したときにどうなるか、である。

 本当に旋回半径が小さいほど優位なのか、を検証してみたい。

 代表に選んだのが、零式艦上戦闘機(零戦)とP38である。高度は14,000フィート(約4,267m)とし、すれ違ったら戦闘開始だ。

 下の写真は、戦闘開始から2ターン後までの状況である。ユニットの番号1が戦闘開始時。2が1ターン終了時(2ターン開始時)、3が2ターン終了時(3ターン開始時)である。戦闘開始時6ヘクスの距離が2ヘクスまで縮まった。零戦があと60度旋回できれば射撃できる位置につける。

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すれ違って戦闘開始!

 下の写真のようにぐるっと回って、最後は零戦がP38の8時の方向につけたから零戦有利だ。

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やはり旋回半径が小さいと有利・・・

 少しごちゃごちゃしたので後半だけにしたのが下の写真だ。こうして見るとP38は零戦と格闘戦をしてはいけないことがよくわかる。

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後半の旋回の様子

 ただ、この状態は必ずしも零戦側が喜んでもいられない。速度がP38が4。零戦は3に落ちており、ここでP38が降下すると、すぐにつき離されてしまう。旋回による速度低下がなかなか厳しいのだ。

 おそらくこの次のターンにはP38は降下と速度加速で零戦の射程圏外へ脱出するだろう。

 

 単に旋回半径が小さいだけでは格闘戦に有利とはいえなさそうだ。

 

 下の写真は、高度8,000フィートで、同じヘクス(黄色い円)から旋回をしてみたP38と一式戦隼(Oscar)を比較したものだ。

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旋回性能と加速性能が格闘戦では重要

 P38は加速性能が2なので1ターンに2回旋回しても減速しない。隼は加速性能が1ターンに1なので旋回前に直進すべきヘクス数は1だが、1ターンに2回旋回すると増速1しても速度が1落ちてしまう。失速しないように旋回しようとすると、隼の旋回前の直進ヘクス数1の特性を活かせなくなってしまう。  

 結局、旋回前直進ヘクス数2のP38と1の隼だが、加速性能の違いによって、加速性能2のP38と加速性能1の隼のどちらも1辺2ヘクスの六角形にほぼ落ち着く。隼の旋回特性は確実に敵の6時の方向に入れる、ここぞ、というときにだけ使うものなのだ。

 

 海空戦の、戦術級/戦闘級ゲームは、ネット上で美しいビジュアルとリアリティあふれる戦闘シーンでプレイできるようになったので、ボード・ゲームの存在意義はなくなりゲーマーも少なくなったと思う。しかし、こうしてボードにユニット並べていろいろ考える楽しみはボードならではないだろうか。