TACTICS第10号(1983/7/1)を読んでみた。表紙は、GDW『ナルビク強襲』(NARVIK)のボックス・アート。特集は「ノルウェーの戦い 1940」。付録ゲームは『アイラウの戦い』。
ノルウェーの戦いは、ほとんど知らなかったが、このヒストリカル・ノートが、ノルウェー戦の概略をよくまとめている。作戦経過の図が少なく写真が多い記事だが、4月5月でも雪で真っ白なノルウェーの戦場の様子がよくわかる。英独ともに陸海空が総力をあげて戦っていたようだし、フェイントや駆け引きがあって、ゲームとしても面白い戦場になると思う。史実では、ノルウェーの戦いの途中でドイツ軍のフランス侵攻が始まり、ノルウェーの戦いは終わってしまったのだが、仮にフランス侵攻が始まらなかった場合のifを考えると興味深い。
ノルウェー戦の小部隊戦術 <AH>電撃ドイツ戦車隊ノルウェー戦シナリオ分析 ボブ・メドロウ 田中晋二/訳
『電撃ドイツ戦車隊』(Crescendo Of Doom)のシナリオ24の紹介と戦術研究。こういうのはゲーム盤とユニットを並べて熟読したい。『ウォーゲーマー』(War Gamer)14号から、シナリオ81『拠点突破』という追加シナリオも掲載されている。この他にアバロン・ヒル社の『Scenario 200's』の中にノルウェー戦のシナリオも含まれるようだ。この『Scenario 200's』は、「今夏入荷予定」と記事中にあるが日本に入ったのだろうか。
<AH>第三帝国第3版におけるノルウェー作戦の研究 ジェネラル誌第18巻6号より マイケル・アンカー 田中晋二/訳
この記事はなかなか面白い。ポーランド攻略後すぐノルウェーに進攻したり、英本土進攻を早めたり、イギリス軍がノルウェーに攻め込むなど、いろいろな可能性を検討している。その際、どのヘクスにどの程度の兵を送るといいか、など、詳細に検討している。
<GDW>Europa Europe Series ヨーロッパシリーズとは 都野義弘
アバロン・ヒル、SPIに続く第3のメーカー、GDWの「ヨーロッパ・シリーズ」の紹介記事。本当は「エウロパ・シリーズ」だったそうだ。第二次世界大戦のヨーロッパの戦い(北アフリカ戦線も含む)を、共通のゲーム・スケール、ルールで再現しようという壮大な試みだ。こういうビッグ・ゲームは興味なかったので当時買わなかったが、その後どうなったのだろうか?GDWがなくなったがどこかが引き取って継続しているのだろうか。
「インタビュー」は、ボードゲームのボックスアートを多く手がけているロジャーB.マクゴワン。彼のボックス・アートによって、どれだけ多くのゲームに惹きつけられただろう。彼は単なるイラストレーターと思っていたら、『ファイア・アンド・ムーヴメント』(Fire & Movement)誌を創刊した人でもあるのですね。知りませんでした。彼は、「ゲームの出版元から独立した買う側の立場に立ったレヴュー誌を作りたい」という動機で始めたようです。同誌は2010年2月まで続いていたようですね。
「内外ゲームガイド」では、エポック社が出した『エポック・ウォーゲーム・エレクトロニクス(EWE)』の紹介がある。「そういえばこんなのあったなぁ。」と懐かしく思った。
読者のページに「関東大学シミュレーションゲームトーナメント開催」という記事があった。記事中で「東京六大学野球のような伝統のあるものとなり、100年も200年も続けばいいと思っている。」とあるが、その後どうなったのだろうか。38年経過した現在、続いているといいのだが、ウェブで検索しても見つからない。
広告ページには、レック・カンパニーが発行していた雑誌『SIMULATOR』の広告がある。第5号まで出ていたようだ。定価400円。裏表紙の広告はツクダホビーのゲーム広告。ツクダホビーは、ガンダム関係のゲームを多数出していた。ガンプラが現在までたくさん売れているが、シミュレーション・ボード・ゲームの方は、完全に忘れ去られてしまったようだ。SFものはビジュアルがないとなかなかその世界に没入できないから、ボード・ゲームだとヒットはなかなか難しいだろうなぁ。