Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン タクテクス TACTICS 第16号(1984/7/1)

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TACTICS 第16号 表紙

TACTICS第16号(1984/7/1)を読んでみた。表紙は、HJ 『ノルウェー1940』のボックス・アート。特集は「War in the East」。付録ゲームは『プロホロフカ戦車戦』と『オーバーロード作戦』の豪華二本立て!部隊を動かし戦闘させるにはOPによる命令が必要な点が特徴だ。戦闘は独特で、攻撃すると必ず反撃を受ける。損害は打撃数で表される。この戦闘システムはもっと一般的になってもいいと思った。

もくじは次のとおり。

 

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『ヨーロッパ上空の戦い』(Air Force)シリーズの東部戦線シナリオもある。

 

SPIの西部戦線シリーズの紹介。これはNo.1『パットン第3軍』(Patton's 3rd Army)、No.2『オペレーション・グレネード』(Operation Grenade)、No.3『シシリー上陸作戦』(Sicily)だ。No.1は持っていた。特徴1が戦力チットにより自分も自軍ユニットの戦力がわからない。特徴2が諸兵科連合の効果。特徴3が高地の有利性。『パットン第3軍』(Patton's 3rd Army)は持っていたがあまりプレイしなかった。今はこれらの特徴はとても興味がある。このシリーズはこれで終わってしまったようだが、ユニークでいいルールだからもっと流行ってもよかったと思う。

 

ジョン・ヒルによるゲームの評価基準の記事が面白かった。彼は「ウォーゲームを評価するには・・・史実性、リアリズム、プレイアビリティー、革新性、体裁といったものが中でも一般的であるが・・・これは不公平である。」と述べている。車を例にあげ、F1カーより遅いからといって、ロールスロイスの価値が下がらない。F1カーはスピードを目的としてデザインされているからスピードで評価され、ロールスロイスは豪華さを目的としてデザインされているのでそれで評価される。ウォーゲームもデザイナーがゲームに企図した目的が達成されているかどうかで評価すべきだと言うのだ。デザイナーはもっとゲーム・デザインの目的を語るべきだとも言っている。これはもっともであり、今は確実にジョン・ヒルのこの言葉通りに変わってきていると思った。

 

8種類のソロ・プレイテクニックとプレイ例の記事は、アメリカ人らしい記事だった。

 

この号で一番面白かったのは、アバロンヒル社創業者でありウォー・ゲームを作りビジネスとして立ち上げたチャールズ・S・ロバーツの「<AH>創立25周年記念 アバロンヒル物語」だ。ウォー・ゲーム草創期の熱気と試行錯誤の歴史が伝わってくる。

 

ツクダホビーの『眼下の敵』の紹介記事は、アバロンヒル社『サブマリン』(Submarine)やSPI『潜水艦の戦い』(Up Scope !)との比較があってわかりやすい。

 

連載の「ブルーマックス」の記事では、私がこのブログ中で「AARとは?」と思った「アフター・アクション・リポート」(AARのこと)という言葉が使われていた。この記事は、昔、読んだはずだから、単に忘れていただけだったのだ!!もっとも、この記事中のAARは、棋譜のようにゲームでどういうプレイをしたか、というより、プレイを小説仕立てにしたものだ。私は囲碁・将棋の棋譜みたいなものがAARと思っていたが、言葉の定義が違うのかもしれない。このブログでは、棋譜に掃討するものをバトル・レポート(AAR)と呼ぶことにする。小説仕立てのものは・・・書いたときに考えてみる。

 

連載の「地中海作戦とイタリア海軍」はマタパン岬とクレタ島だ。イギリス海軍もイタリア海軍もドイツ空軍も頑張っていたことを改めて知った。イタリア軍を見直した。ドイツ空軍パイロットが英軍艦と伊軍艦を識別できなかったから、イタリア海軍とドイツ空軍が協力できなかった、という点には驚いた。

 

追記:第17号で本連載の著者がマーチン・アンダーソンではなく、ジョン・バットだったと訂正が入った。