2021/05/19放送のNHK『歴史探偵』で「長篠の戦い」の回を見た。
火縄銃の射程距離別命中率を計測する実験をしたり、鉄砲の「三段撃ち」を実験してみたり、騎馬隊や足軽の突撃にかかる時間を計測したり、それらをもとに人口知能でシミュレーションしていてとても面白い番組だった。
火縄銃の弾丸が丸いため、100mだと命中率が極端に下がる。そのため、約50mで射撃しないと命中しないということだ。火縄銃で次の弾丸を撃つには急いでも30秒はかかる。一方、日本在来馬で騎馬隊は50mを約4秒で駆け抜けてしまう。実験での時間計測は全速力になってから計測しているが、本来は速度0からだろうし、雨の翌日だったから道の状態が違っただろうが、2倍としても10秒以内だから火縄銃では間に合わないだろう。
「三段撃ち」の実験には驚いた。私のイメージしていた「三段撃ち」とは違ったからだ。番組では、5人で1列になり1列目が射撃すると2列目が前方に出て、射撃準備に入る。全員の準備が終わると指揮官の号令のもと一斉射撃をしていた。準備に時間がかかる人や早い人の違いがあるため、どうしても遅い人に合わせるため、番組の実験では1列あたり20数秒かかっていた。
当時の常識は、火縄銃が一回射撃すると、次の弾丸は射撃後30秒は撃てない、というものだったろう。3000挺の火縄銃を用意し連射した織田信長の戦い方は、第二次世界大戦の「航空機に戦艦を沈められない」という常識を覆した真珠湾攻撃やマレー沖海戦と同じような革命的な驚きだったと思う。
次に番組でやっていた実験は「先着順自由連射」「レジ待ち撃ち」と呼ばれる方法、準備ができた人から前列に移動しそれぞれ独自に射撃をする。これだと平均3秒で射撃ができた。私は「三段撃ち」が三段になって準備し準備終わったものから自由射撃していたと思っていた。まさか指揮官の号令で一斉射撃するとは思わなかった。3秒ごとに射撃しているシーンを武田軍から見た映像は迫力あり、あんな感じで撃たれたら武田軍としては驚いただろう。
連合軍は、馬防柵や逆茂木で簡易築城しており、武田軍の目から見た風景は確かに砦というか小さな城のように見えた。
設楽原は原っぱではなく水田地帯であり、水田に入るとずぶずぶと沈んでしまうような土地だった。そのため、3本の道に沿って武田軍が攻め入ったという。そうなると「先着順自由連射」は効果高かっただろう。
CGやAIによるシミュレーションを駆使して戦いの模様を表していてわかりやすくて当時の様子を彷彿とさせる面白い番組だった。