TACTICS第31号(1986/6/1)を読んでみた。
この号から特集が再開した。この号の特集は「激突!鉄のカーテンを越えて」だ。
付録ゲームはSPI『パンドラ号の航海』(VOYAGE of the B.S.M.PANDORA)。
和訳ルールは前回に続きAH『パンツァークリーク』(Panzerkrieg)
もくじは次のとおり。
p.6 アド・テクノス『はしれ!パットン』
続編として『さよならモンティ』『がんばれ!ハイテ』『それいけ!マイヤー』がプランされていたそうだが、どうなったのだろうか?
p.10 ウエストエンド・ゲームズ『サン・ロー』(St・Lo)
各司令部がアクション・ポイントを得て、アクション・ポイントを消費して、移動したり攻撃したりするシステムだそうだ。なかなか面白そうなシステムだ。
p.12 SPI 『ザ・キャンペーン・フォー・ノース・アフリカ』(The Campaign for North Africa The Desert War 1940-43)
SPIの、いや、おそらく史上最大のビッグ・マンモス・ゲームだろう。
それが$50とは意外に安い!プレイしてみたいとは思わないが、地図盤を全て広げた状況を見てみたい。
p.15 ヨーロッパの赤い夜明け デレク・クロックストン 訳/木島洋
Victory Gamesの『NATO』における作戦研究記事だ。
今となっては過去の話だが、当時はいつ起こるかわからない恐怖があった。
『コマンドマガジン』第163号によると、このゲームがリメイクされたそうだ。
p.18 現代の戦車戦術 LEOPARD Ⅱ 岡田厚利
ツクダホビーの『レオパルトⅡ』による現代戦車戦術に関する記事だ。隊形や稜線を利用した射撃が図解されていてわかりやすい。連載してくれたらいいのに。
p.22 この一撃にすべてを込めて <GDW>『サード・ワールド・ウォー』セントラルフロントショートゲーム作戦研究 鍵和田淳
ちょうどロシア連邦によるウクライナ侵攻が始まったタイミングで読んだ。
1970年代、80年代は、当時のソ連が、西ドイツにいつ侵攻してもおかしくない不安と恐怖の中で過ごしていたことを思い出した。このゲームがテーマにしていたことは現実には起こらなかったのが幸いだったが、戦争はゲームの中だけにしてほしい。
p.26 SSIのアップル版シミュレーションゲーム2題 C中隊全車突撃!
この頃はコンピュータ・ゲーム草創期だった。その頃のコンピュータ・シミュレーション・ウォー・ゲームの紹介記事だ。
Mech BrigadeとBattalion Commanderが紹介されている。
画面の写真を見ると、インベーダー・ゲームのようなチャチな戦車だ。地形も小学生が描く運動会の絵のようだ。
急速なパソコンの技術進歩に対する熱気があった古き良き時代のことだ。
p.34 フリードリヒ大王と7年戦争 竹内正憲
高校の世界史で7年戦争を扱ったと思うが、結局、暗記だけに終始した。
戦争の歴史は、ウォーゲームを使って、面白く学べればいいのになぁ・・・。
p.38 War in the East 独ソ戦史その6 第1装甲集団の前進 山下竜二
独ソ戦開始前に、ソ連とドイツとルーマニアとハンガリーとが入り乱れて国境紛争していたとは私にとっては驚きだ。陸地で国境を接している国々の過酷さ残酷さは、島国の国民には理解しがたいものがある。
p.86 スコード・リーダー・クリニック ジェネラル誌第19号 3巻 ビル・ナイチンゲール 訳/小山純一
『タクテクス』(TACTICS)誌 第27号のクイズ4の解答・討論編。
この問題は解答するのにとても困った。クイズの状況がリスクが高い攻撃の仕方だからだ。と思って本誌を読むと、私と同じ考え方をした人が紹介されていた。Nayyer Aliさんは「ここに示された状況は非現実的」「ドイツ軍の攻撃もほめられたものではない」と言っている。Brian Swisherは「ソ連軍分隊が何個排除されているかは不明である」と言っており、残るソ連軍分隊の数によって、突撃するか否かは変わってくる。
ビル・ナイチンゲール氏は「プレイにおける多くの問題は、完璧なプレイにおいてではなく、プレイヤーが戦術的な誤りを犯した場合や、運の介入する度合いが強い場合に発生するものである。自らの過ちを克服し、かつ敵の過ちを巧みに利用するプレイヤーこそ、真の勝利者になり得る」とNayyer Aliさんに反論している。確かにその通りだ、と思った。
p.103 読者コーナー
今回の読者コーナーは、いつもの好き嫌いだけの記事ではなく、読み応えがある記事があった。倉元栄一氏によるおたよりは、不満を述べるだけでなく前向きに提案しよう、というもので、いつの時代も変わらない。もう一通は、山崎雅弘氏のおたよりだ。ご本人かどうか確認していないが、文体から見ると同姓同名の別人とは思えない
この時、氏は19歳のはず。19歳でここまで書けるとは、さすがは、後年、文筆家として活躍するだけはある。
読者コーナーの中の文での主張は次の二点。
確率論の否定。
なぜゲームをプレイするか?「問題解決の努力」との答えだ。
荒削りとはいえ、読者を引きつける文章力がある。
今の私よりずっと文章力がある。