Haruichiban0707のウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開したウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン タクテクス TACTICS 第41号(1987/4/1)


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TACTICS第41号(1987/4/1)を読んでみた。

特集は「戦略大爆撃 狂気の総力戦」

付録ゲームは<TSR/SPI>の『イエナ・アウエルシュタット』(The Battle for Prussia)

 


もくじは次のとおり。


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p.6 TARGET MATERIALS

ウォーゲーム以外のゲーム紹介記事が増えてきた印象だ。

 

p.10 インテリジェンス・レポート

AH 『砂漠のロンメル』(PANZER ARMEE AFRICA)

元々はSPI社から発売されたものをアバロンヒル社から再発売されたものだ。

1941年4月から1ターン1ヶ月で1942年11月まで計18ターン。

連隊、旅団規模。

移動力がなんと40から60もあるが、平地でも1ヘクス3移動ポイント、山地だと1ヘクス10移動ポイントも使う。必然的に1ヘクス1移動ポイントの街道に集まってくる。

戦闘力差を使ったCRT。独特なのは防御側に反撃ができること。

補給が重要だった北アフリカ戦線なので、補給ルールがやはり重要だ。

 

p.12 ウォーゲーマー・ゲーム特集

『ウォーゲーマー』(WAR GAMER)誌の46号から50号までの付録ゲーム紹介記事だ。

ホビー・ジャパン社の他のゲームと同じ表紙のゲームがいくつかあるが、なんだか紛らわしい。

 

p.20 HJ/WE R.A.F 大四畳半戦争 飯島真

HJ/WE『R.A.F.』は、バトル・オブ・ブリテンソリティア・ゲームだ。この記事はこのゲームを実際にプレイしているかのうような緊迫感と随所に見える四畳半の部屋という現実が交錯したいい記事だ。

 

p.28 攻撃目標ーシュバインフルト 前期出撃せよ! <ツクダホビー>"第8空軍"リプレイ 河瀬宏

米英軍によるドイツ本土空襲と、都市を守ろうとするドイツ空軍の戦いをテーマにしたゲームだ。ゲーム・マップを使って戦況を表しており、面白い記事だ。両軍の損傷の大きさには驚く。戦いの状況がわかる、いいリプレイ記事だと思う。

 

p.32 私観・戦略爆撃史 渋田道夫

戦略爆撃とは、「選定された一連の重要目標に対し戦力を組織的に使用することによって、敵がもはや戦争で報復する能力または意志を持続しえなくなるところまで、敵の戦争遂行能力を漸進的に破壊し、崩壊させる」爆撃だそうだ。(1983『最新軍事用語辞典』三修社)

日本の本土爆撃も悲惨だったが、ドイツ本土爆撃も悲惨だったのがよくわかる。

 

p.34 あの敵機を討て! 日本本土防空戦3機の新参戦闘機について Leighton Kato/訳・三原一郎

川崎キ-100五式戦、三菱雷電、中島月光についての解説記事とシナリオ集だ。

 

p.37 ハンブルク炎上~レトロゲーム復活の日!?~<AH>ナチ・ドイツ空軍より

このゲームは一回、プレイしたことあるが、丸いユニットが印象的なゲームだった。

ドイツ本土空襲を狙う米英軍と、本土防衛に尽力するドイツ空軍の戦いの様相をうまく表現したゲームだった。

 

p.46 SPI式ゲーム・デザインの秘密 その3 ステファン B. パトリック 井上譲二/訳

テスト・プレイとディヴェロップを説明した記事だ。

読んでみて、「テスト・プレイもなかなか難しいものだなぁ。」と思った。

ディヴェロッパーが何をする仕事なのか理解できていなかったが、本記事を読み、よくわかった。その重要性もよくわかった。

 

p.71 War in the East 「ソ連空軍の壊滅」山下竜二

1920から30年代に最も多くの4発爆撃機を持っていたのが、アメリカではなく、ソ連だったのは驚きだ。だが、1941年6月22日のバルバロッサ作戦開始時に、ソ連軍は12,000機から14,000機保有しており、そのうち新型機が2,859機しかなかったことは、ここにも粛清の影響があったのだと思った。そして、バルバロッサ作戦初日だけで、ソ連軍は、1,489機を地上で、322機を空中で、失い、ドイツ軍の損害が35機だったとは驚いた。7月1日にはわずか120機になったとは・・・。

だが、その後、1941年後半だけで2,653機を製造したというのにも驚くばかりだ。

 

p.98 石川輝の戦術基礎講座 攻撃編2 包囲と突破(2) 石川輝

今回は迂回と突破についてまとめている。

迂回は、次のようにまとめられている。

(1)敵主力に対しての攻撃、あるいは牽制を行うと同時に、味方に一部、あるいは主力を敵側面から迂回させ、敵後方に進出させる。

(2)敵主力に対しては、単に遮蔽に任ずる小部隊のみをあて、主力をもって迂回を行い敵後方に進出する。

(3)ある地域で敵味方が対峙している状況で、他方面から敵後方の緊要地形へ進出できる前進路がある場合に、迂回を行うことにより、敵の防御企図を挫折させようというもの。

 

そして迂回を行うためには、(1)敵翼側に前進路が必要。(2)敵翼側について十分な情報が必要。(3)敵より大きい機動性が必要。

ノモンハンガダルカナル日本陸軍がこれを読んでいたらなぁ・・・。

 

突破とは、包囲または迂回ができないときに行う。

突破とは、主力をもって敵防御陣地の正面から攻撃し、敵陣地を分断することによって、これを各個撃破しようという攻撃方法である。いわゆる正面攻撃とは異なる。

次のフェイズに分かれる。

第1フェイズ 突破口の形成

第2フェイズ 突破口の拡大

第3フェイズ 突破目標の占領

突破正面で圧倒的な優勢な戦闘力が必要。その圧倒的な戦力が突破目標占領まで維持しなければならない。迅速な機動力の発揮も重要だ。

 

p.103 みなさんのお便り

『タクテクス』35号で山崎雅弘氏のお便りに始まり、36号での時田進氏の論や38号の松本直極氏による時田氏への反論、40号で山村右近氏による松本氏への反論、山崎雅弘氏の書物も写真も絵画もゲームと変わらない、という意見に対して、本号では戸島毅氏が反論している。戸島氏は、松本直極氏の意見に近く、40号の山村氏に反対の立場だ。

 

「(シミュレーション・ゲームをプレイすることは)「歴史の追体験」といったものではなく、「自分の考えた歴史的可能性の確認行為」というものを「他人がデザインしたシミュレーション・ゲーム」というハードウェアの下に、そのシミュレーションを実行しているに過ぎない。」

「「ゲームで歴史を完全に追体験でき、ゲームで歴史を完全に学べる」という考えは根本的に誤っている。」

「「歴史の学習(或いは研究)」における基本的要素とは、この「当事者達が何を思い、何を行おうとしたかを理解すること」にある。」

「「歴史の教訓」と言われていることを自らのプレイの中から導き出し、再発見することこそが「ゲームを通して歴史から学ぶ」ということ以外の何物でもない」

「「シミュレーション・ゲームの限界性」とプレイの場におけるプレイヤーの「ゲーマーとしての問題点」」

「シミュレーション・ゲームに過大な評価を与えることはやはり危険な行為だ」

 

う~~~む。

スターリングラードミッドウェイ海戦の例をあげて「歴史の追体験」について、史実で敗者になった方のプレイヤーは、歴史通りにプレイしないだろうから、プレイヤーが「歴史の追体験」をしない、できない、という説明は、とても説得力があった。

当時は戦争に行った人もまだまだ健在だったので「戦争をゲームにして”遊ぶ”とはけしからん!」という声があがった時代だった。兵器を擬人化してゲームで遊べる現在とは全く違った時期だった。それだからこそ「遊んでいるのではない。ゲームを通して歴史が学べるのだ。」という論が出てきたのだ。

このテーマは次号でいよいよ最終回となる。