Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン タクテクス TACTICS 第44号(1987/7/1)


f:id:Haruichiban0707:20220722173950j:image

タクテクス』(TACTICS)第44号(1987/7/1)を読んでみた。

特集は「1942:ターニングポイント」

ヨーロッパ、太平洋の双方で、1942年はターニングポイントになった戦いが行われた。1942年の戦いをテーマにしたウォーゲームのリプレイやヒストリカル・ノートの特集だ。

 

付録ゲームは<TSR/SPI>の『砂漠の戦いーエル・アラメイン』(Battle of El Alamein October 1942)

表紙は旋回する空母上空を飛ぶ零戦だ。

 

目次は次の通り
f:id:Haruichiban0707:20220722174006j:image

 

この号から編集者が斉藤純氏から佐藤光市氏に変わっている。ホビー・ジャパン社の創設者であり当時の社長の佐藤光市氏自ら編集長になったようだ。

 

次号から奇数号がウォーゲーム、偶数号がロールプレイングゲーム(RPG)に誌面変更する。ウォーゲームの新製品や広告が減り、RPGが増えているのを見ると、ウォーゲーム・ブームが終わりつつあるのを実感する。

 

そんな中でもウォーゲームの新製品として、VG『パシフィック・ウォー』(Pacific War)、HJ『地中海キャンペーン』が登場している。前者は最近、再版されたから35年の長きにわたって人気作品だ。後者については、地中海の戦いの史実解説を『タクテクス』(TACTICS)誌で第14号から第20号(1985/03/01)にかけて連載していたが、2年と少し遅かったのではないだろうか・・・。

 

p.20 The 1942 Game ! 佐藤弘明

1942年をテーマにしたゲームの紹介記事だ。北アフリカ戦が8作、西部戦線が3作、東部戦線は2作、太平洋戦線が5作、紹介されている。SPI 『KHARKOV』、SPI『Drive on Stalingrad』はPanzergruppe Guderianシステム(いわゆるPGGシステム)だそうだ。

 

p.24 目標!スターリングラード<エポック社>"失われた勝利"シナリオバリエーション&リプレイ ORG

このゲームはプレイしたことはないが、STRデザインコンテスト入選作品だから相当いいゲームなのだろう。1942年7月から1943年3月までのドイツ軍青作戦シナリオとそのリプレイ記事だ。読んでいるとプレイしてみたくなる。

 

p.30 決戦海域ミッドウェー<ツクダホビー>"ミッドウェー海戦"リプレイ&感想戦 河瀬宏

両軍の艦隊移動がゲーム盤上に描かれていて、よくわかる。米軍が意表を突いた動きをしたが、日本軍が偶然、先に米軍空母を発見し、米軍のもくろみは外れた。なかなか面白い戦いだった。こういうリプレイ記事は、プレイしたことないゲームや持っていないゲームでも、同じテーマの他のゲームのプレイの参考になる。

 

p.34 屈辱のガダルカナル戦記 ファーストインプレッション オブ ガダルカナル・キャンペーンシナリオ 井上成美

VG『パシフィック・ウォー』(Pacific War)のガダルカナル・キャンペーンシナリオのリプレイ記事だ。自然とヒストリカルな展開になりそうだが、それでもプレイヤーの選択肢があり、興味深い。ビッグ・ゲームに手を出さないのが信条だったが、これは例外になりそうだ・・・。

 

p.36 デミヤンスク包囲戦 和久尊

1942年から1943年のデミヤンスクの戦いのヒストリカル・ノート。

スターリングラードの二の舞にならないよう、必死に戦い、包囲を免れたドイツ軍の厳しさがひしひしと伝わってくる。

 

p.38 BATTLE OVER BURMA 石川輝

1942年のビルマ進攻航空戦のヒストリカル・ノート。日本軍が優勢で英軍はコテンパンにやられたのだろう、と思っていた。日本軍は優勢なのに防御の思想がないため、飛行場が空襲を受け、思わぬ損失を出していたのに驚いた。AH『ヨーロッパ上空の戦い』(Air Force)、AH『ドーントレス』(Dauntless)を使って、シナリオを作ってプレイしたい。

 

p.72 Squad Leader Clinic スコード・リーダー・クイズ 問題10:シナリオ11ライン渡河作戦 回答・討論編 ジェネラル誌19巻4号 ビル・ナイチンゲール 訳/小山純一

実際にユニット並べて考えて、研究してみたい。

 

p.78 War in the East 山下竜二

K2P『ドイツ装甲軍団1』(スモレンスク攻防戦)が描いた戦いのヒストリカル・ノートだ。ちょうどK2P『ドイツ装甲軍団1』(スモレンスク攻防戦)をプレイした後なので、勉強になった。これがこの連載の最終回というのが残念だ。

 

p.86 石川輝の戦術基礎講座 防御編3 機動防御 石川輝

今回のテーマは機動防御。

読み始めて「機動防御と攻撃の違いは何だろう?」と思った頃に、ちょうど「機動防御には待受の利があり、攻撃にはない」という主旨の記述が出てきた。

機動防御のためには、陣地守備隊、機動打撃部隊、警戒部隊が必要で、特に機動打撃部隊の機動打撃力が強大でないといけない、とのこと。1942年夏以後の旧日本陸軍が相手にした軍に対しては、この条件を満たせなくなっていた、と思う。

今回もとても勉強になった。

 

p.105 書籍紹介 

アメリカSF作家協会『SFとは何か?』(講談社)はGGG稲葉氏による紹介記事だが、なんと3ページを超えて、紹介されている。凄い紹介記事だ。

永井陽之助『現代と戦略』(文藝春秋)は小勝建男氏によるものだが、こちらも2ページに渡る紹介記事だ。

どちらも紹介を超えた凄い記事だ。