Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン タクテクス TACTICS 第61号(1988/12/1)


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タクテクス』(TACTICS)第61号(1988/12/1)を読んでみた。

特集は「ビッグゲーム」

 

付録ゲームは『春のめざめ作戦』(Fruehlingserwachen)

表紙は、SPI/HJ『モスクワ侵攻作戦』(Operation Typhoon)のプレイ中の様子。

 

目次は次の通り


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p.4 大きいことは好いことだ!?ビッグゲームの世界 桜井真一

ここでのビッグゲームの定義=フルサイズ(55cmx85cm)3枚以上

時間=決着がつくまで3日以上

魅力=与えられた条件が少なく、プレイヤーが独自の判断できる部分が大きく、1ランク上の視野を保てて、複数人数でプレイすることで発生する実戦さながらの増援の奪い合いや作戦方針の不徹底などの事態が発生すること

 

ビッグゲームの例として13個のゲームをとりあげ、その魅力を書いている。

1) La Bataille de la Moskowa <ME/GDW> 1975

デザイナー=Laurence Groves

マップ=GDW標準マップx4

カウンター=1400個(うち1000個がユニット)

テーマ=ナポレオンのモスクワ遠征

 

2)Terrible Swift Sword (TSS) <TSR/SPI> 1976/1986

デザイナー=リチャード・バーグ

マップ=フルマップ3枚

カウンター=2000個(うちユニット800個)

テーマ=ゲティスバーグの戦い

このゲームシステムはTSSシステムと呼ばれ、他ゲームに影響を与えている。

 

3)Wellington's Victory<TSR/SPI> 1976/1983

テーマ=ワーテルローの戦い

 

4)Wacht am Rhein <SPI> 1977

マップ=フルマップ4枚

カウンター=1600個

テーマ=バルジの戦い

5),6)のゲームシステムに影響を与えた。

 

5)大西洋の壁<HJ/SPI> 1978

マップ=フルマップ5枚

カウンター=2400個

テーマ=ノルマンディー上陸作戦

 

6)Korsun Pocket <People Wargames>1979

デザイナー=ジャック・ラディ

マップ=フルマップ4枚

カウンター=2400個

テーマ=コルスン包囲戦

 

7)第二次欧州大戦<HJ/SPI>1976

 

8)Highway to the Reich <SPI>1977

マップ=フルマップ4枚

カウンター=2400個

テーマ=マーケット・ガーデン作戦

 

9)現代ヨーロッパの攻防(The Next War)<SPI>1978

 

10)モスクワ侵攻作戦(Operation Typhoon)<HJ/SPI> 1978

マップ=フルマップ3枚

カウンター=800個(うちユニット400個)

戦力チット式

 

11)Operation Crusader <GDW> 1978

デザイナー=フランク・チャドウィック

マップ=GDW標準マップ5枚

カウンター=2400個(うちユニット1500個)

プロット式の同時移動が特徴

 

12)Campaign for North Africa <SPI> 1979

デザイナー=リチャード・バーグ

マップ=フルマップ5枚

カウンター=1800個

極力抽象化を避ける基本方針のためルールが精緻

 

13)War in the Pacific <SPI> 1978

マップ=フルマップ7枚

 

どれも一度はマップを広げてユニットを並べてみたいものだ。プレイするのは躊躇するが何の気兼ねなくプレイできる身分になれたらやってみたい。

 

p.10 両雄再び!ノルマンディの一番長い日 "大西洋の壁"vs"史上最大の作戦"徹底比較 瀬戸利春

SPI『大西洋の壁』(Atlantic Wall)とAH『史上最大の作戦』(The Longest Day)を詳細に比較した記事だ。どちらも大隊規模で1ターン1日程度だが、ずいぶんと違うようだ。

とてもわかりやすい比較記事だ。

 

p.17 よくわかるタイフーン作戦 SPI/HJ『モスクワ侵攻作戦』(Operation Typhoon)リプレイ

p.39 OPERATION TYPHOON モスクワ侵攻作戦 和久尊

 

これまで手を出さなかったビッグ・ゲームだが、ビッグ・ゲームの中では現実にプレイできるゲームだそうだ。

入手してやってみたくなってきた。

 

p.22 世界が炎に包まれた日々 "World in Flames"リプレイ 瀬戸利春

第二次世界大戦をヨーロッパ、アジア、太平洋を合わせて地球規模でプレイできるゲームがあったのは知らなかった。

まさか英独が手を組むとは・・・

面白いリプレイ記事だった。

 

 

p.28 これぞナポレオン風雲録 "La Grande Armee"のシステムについて Mr.ありがち

ゲーム・システムがよくわかる記事だった。

ナポレオニック・ゲームだしビッグ・ゲームだがやってみたくなる良記事だった。

 

p.32 灼熱のタンク・リーダー [STR]NORTH AFRICA その究極のシステム 音丸

SPIの誤植かと思ったら、国産ゲームで、STRがあったそうだ。翔企画のことのようだ。

ルールだけで45ページもあるビッグ・ゲームだそうだ。

 

p.38 AIR SUPERIORITY, AIR STRIKE 桜井真一

デザイナーのJohn D. Websterは、本職のゲーム・デザイナーではないが、海軍経験が7年間あるジェット・パイロットだそうだ。

この二作の存在は全く知らなかったが、ぜひプレイしてみたいものだ。

 

p.42 続欧州の嵐 ディプロマシー<AH>ワイドリプレイ[後]

イギリス、トルコ連合vsイタリア、オーストリア同盟の戦いになる。

中央のイタリア、オーストリアに対して、東西から包囲するイギリス、トルコ。

トルコを同盟に引き込むが、すでに遅し。イギリスが単独で勝利した。

 

p.47 SS装甲軍最期の目覚め ヒストリカルノート 和久尊

SS部隊によるサボタージュのようなことがあったのは驚いた。

 

p.68 石川輝の実践戦術教室 最終回/第5回

 

1個歩兵中隊の防御正面は800から1200m。(記事中では8000から1200mとあるが間違いと思う。)

相互間隔は500から800m位。

『戦闘指揮官』(Squad Leader)シリーズだと

9から12個分隊の正面が20から30ヘクス。小隊同士の間隔が13ヘクスから20ヘクスということか。

地図盤1枚の長辺が32ヘクスだから9個分隊で地図盤長辺を守るということか。

この連載は読み応え、考え応えがあるいい連載だったので終了が残念だ。

実際の戦術級ゲームで解説してくれると嬉しい。この連載に書いてあったことを自分で検証するしかないな。

 

p.72 海戦戦術入門 最終回 水雷戦 瀬戸利春

この連載も面白かったので終了が非常に残念だ。

魚雷発射時の射三角や駆逐艦の協同襲撃は実際のゲームで検証してみたい。

 

p.76 第二次欧州大戦概説史 戸島毅

楽しみな新連載だ。

ゲルニカ日本海軍による上海爆撃は、無差別爆撃による住民虐殺と教わったが、実は戦術爆撃や軍事目標に対する精密爆撃だった、とは驚いた。

 

 

上については丁寧に出典も明記してある。

フィリップ・ナイトリー 芳地昌三訳『戦争報道の内幕 隠された真実』時事通信社 1987年pp146-156

 

歴史は勝者にとって都合がいい説が通説になるのだなぁ、とあらためて思った。

この部分については、案の定、次号63号で早速、読者から反論のお便りが届いた。

 

p.80 戦国時代の戦略と戦術 軍事的に見た戦国史 第9回 桶狭間の合戦(2) 福田誠

 

今回は、「通説」と言われていた今川義元上洛説、織田信長北方迂回奇襲策の紹介。

 

p.83 新書英雄伝 第9回 「3つの問い」:エパミノンダス伝(特別編) 有坂純

テーバイ軍が最強スパルタ軍を破ったレウクトラの会戦をわかりやすい図面で解説している。

 

p.88 古今東西珍本閑談 その5 A Century of Punch 黒澤慶助

教科書にも挿絵が載っているイギリスの漫画雑誌『PUNCH』のベスト・セレクト集。戦争中もユーモアを忘れないイギリスの底力を感じる。