国際通信社から発売された『バルジ大作戦』だ。
http://wargame-classics.jp/lineup/004/index.html
オリジナルは1981年に鈴木銀一郎氏デザインでエポック社から発売された『バルジ大作戦』のリメイク版だ。発売当時、私は、なぜかバルジの戦いゲームをプレイしたことがなかったので、このゲームも初プレイになる。
本ゲームには『コンプリートガイド』が付いてくる。かつて『シミュレーター』誌に発表された作戦研究記事などを集めたものだ。
『タクテクス』誌の第6号や第36号に作戦研究記事が載っていたが、今回はそれらの記事を読まずにプレイしてみた。
■初期配置
師団レベルで配置する範囲が決まっているが、その中で自由配置できる。
鈴木銀一郎氏の考えが生きている。
私個人は、史実の配置と自由配置の両方できるといいと思う。
■第1ターン(1944/12/16)
独軍の激しい砲撃のあとアルデンヌの森に独軍戦車のエンジン音が響き渡った。
米軍第106歩兵師団第423,424連隊、第4歩兵師団第8連隊、第2歩兵師団第9連隊が一蹴された。
ディーキルヒ(1733)、クレルヴォー(2228)を独軍が占領した。
独軍は4点獲得
■第2ターン(1944/12/17)
エヒタナハ(1638)で米軍第4歩兵師団第12連隊が独軍の包囲攻撃を撃退した。
2427で独軍第116装甲師団の攻撃で米軍第28歩兵師団第112連隊全滅
2529で米軍第28歩兵師団第109連隊が独軍を撃退した。
2530で米軍第14騎兵グループ壊滅
3730で米軍第99歩兵師団第393連隊全滅
3832で米軍第99歩兵師団第394連隊全滅
4129で米軍第2歩兵師団第23連隊全滅
独軍第2装甲師団と教導装甲師団がサン・ヴィット(3229)に着いた。
バストーニュ(1922)には米軍が第9機甲師団の2個連隊と第106歩兵師団
独軍第9SS装甲師団はマルメディー(3626)を、突破した。
独軍は5点獲得し9点
バストーニュ(1922)に米軍第10機甲師団が続々と到着した。
北からは第7機甲師団がスパ(3822)に到着した。
■第3ターン(1944/12/18)
1932で孤立していた米軍第4歩兵師団第22連隊全滅
3725で米軍第1歩兵師団第18連隊全滅
4030で米軍第2歩兵師団第38連隊全滅
モンシャウ(4229)が陥落した。
3826で米軍第1歩兵師団第16連隊全滅
独軍がオイペン(4426)占領。
独軍は4点獲得し13点
米軍第82,101空挺師団がバストーニュ(1922)に到着した。
■第4ターン(1944/12/19)
包囲されていたエヒタナハ(1638)で米軍第4歩兵師団第12連隊潰滅
2529で、米軍第28歩兵師団第109連隊潰滅
独軍はサン・ヴィット(3209)を完全に包囲した。攻撃するには戦闘比が低くリスクをとって攻撃できない。
3927で米軍第1歩兵師団第26連隊潰滅
独軍がヴェルヴィエ(4121)に迫ってきた。
北の方にバルジ(突出部)が形成された。
独軍は3点獲得し16点
米軍第10機甲師団と第82空挺師団がサン・ヴィット(3229)救出に向かう。
ここで第2ターンに登場したVDHが本当は空挺降下する事に気づいた。
後の祭りなのでこのまま続ける。
■第5ターン(1944/12/20)
ウィルツ(1927)で米軍第28歩兵師団第110連隊潰滅
ヴェルヴィエ(4121)も完全に包囲され、米軍第30歩兵師団の3個連隊が全滅した。
4429で米軍第9歩兵師団の2個連隊潰滅
独軍がスパ(3822)を包囲攻撃する。両軍1ステップロスした。
独軍は6点獲得し22点
モントゴメリーの英軍の増援がリエージュ(4114,4115)に到着した。
サン・ヴィット(2729)救出に向かっている米軍第10機甲師団が独軍第62国民擲弾兵師団を蹴散らした。
■第6ターン(1944/12/21)
1924で米軍第101空挺師団を独軍が包囲した。
バストーニュ(1922)に独軍が迫ってきた。
2828でサン・ヴィット(3229)救出に向かった米軍第10機甲師団が逆包囲された。
1824と1924で米軍第101空挺師団が包囲された。
サン・ヴィット(3229)では独軍の激しい攻撃が続く。
スパ(3822)にいた米軍第7機甲師団が潰滅した!!
4427で米軍第9歩兵師団第60連隊潰滅
サン・ヴィット(3229)もバストーニュ(1922)も陥落していないが、独軍は史実より北から米軍戦線に突出部を作り、アントワープへ突破しようとしている。
独軍は4点獲得し26点
バストーニュ郊外の1823で両軍2ステップロス。
独軍第212国民擲弾兵師団の2個連隊と米軍第101空挺師団の2個連隊が戦力半減。独軍第212国民擲弾兵師団はこれで全連隊戦力半減した。
オイペン(4425)を米軍が奪還しその勢いで4326で、損耗していた独軍第277国民擲弾兵師団2個連隊全滅!!
4119で英軍が独軍第1SS装甲師団に反撃する。両軍1ステップロスした。
米軍第10機甲師団が独軍第62国民擲弾兵師団の2個連隊壊滅させてようやく包囲を解くことに成功した。
4227で独軍第277国民擲弾兵師団の残りが潰滅して同師団が全滅した。
米軍が5部隊壊滅させて5点獲得して21点。
■第7ターン(1944/12/22)
バストーニュ(1922)郊外で米軍第101空挺師団は包囲されて危機的状況にある。遂に第501,502,327グライダー連隊が潰滅した。
サン・ヴィット(3229)は激戦が続く。
4220で英軍第53歩兵師団が潰滅した。
リエージュ(4115)で英軍ステップロス1。
バストーニュ(1922)の米軍第9機甲師団CCRが潰滅し、同市陥落!!
サン・ヴィット(3229)でも米軍第9機甲師団CCA、第106歩兵師団第422連隊が潰滅した。残りは第10機甲師団CCBだけだ。
4219で英軍第43歩兵師団が潰滅した。
独軍は12点獲得し33点
米軍がヴェルヴィエ(4121)の独軍第326国民擲弾兵師団第751連隊を壊滅させて同市を奪還した。
リエージュ近郊の4116で英独の激しい大戦車戦が繰り広げられた。
米軍はスパ(3822)奪還を目指す。ここを奪還すると独軍の補給を止めることが可能になる。ここを守っていた独軍第326国民擲弾兵師団第752,753連隊が潰滅し、同市奪還に成功した。
スパ(3822)を米軍が奪還したことでリエージュ近郊にいる独軍3個装甲師団が非補給下になる可能性が出てきた。
ついにサン・ヴィット(3229)の米軍第9機甲師団CCBが力尽きて潰滅した。
米軍が6部隊潰滅させ、そのうち3部隊が装甲部隊なので9点。1部隊潰滅したので1点。差し引き8点獲得して25点。
■第8ターン(1944/12/23)
独軍がヴェルヴィエ(4421)を奪還し、スパ奪還を試みる。第2SS装甲師団はユイ(3508)に向かう。
1824で米軍第101空挺師団第506連隊潰滅!!
3027で米軍第82空挺師団第p504,508連隊潰滅
3428で米軍第99歩兵師団第395連隊潰滅
独軍はユイ(3508)占領
ウーファリーズで米軍第10機甲師団が包囲された。
独軍は4部隊潰滅させたので4点獲得し30点。
このターンから天候が回復し航空支援を得られる。
米軍がバストーニュ(1922)、ヴェルヴィエ(4121)第10機甲師団救出作戦を開始した。
ヴェルヴィエ(4121)は攻撃をあきらめた。
4427で独軍第212空挺師団の2個連隊潰滅
ヴェルヴィエ(4121)では両軍ステップロス
米軍が7部隊潰滅させ、そのうち3部隊が装甲部隊なので9点。4部隊潰滅したので4点。差し引き13点獲得して17点。
独軍がバストーニュ、サン・ヴィット、ヴェルヴィエ、ユイを奪取したが、このうちヴェルヴィエは包囲されているので占領の定義にあてはまらない。
ユイは独軍が一度も通ってない道路で補給線が通じている。この場合はどうなるのだろう。ま、占領していることにする。
3点
勝利得点20点で35点以下のため連合軍の勝利だ。
■感想
調子に乗って前進して逆包囲される・・・
いつもの悪い癖が出た。
独軍は途中までは順調だと思ったのだが・・・。
北から入ってくる連合軍の援軍に、独軍は結局圧倒された。
スタッキングしていると包囲されてしまう。スタッキングしないと戦力不足だ。
なかなか考えることが多く難しい。
ゲームとしてはバルジの戦いらしく、プレイアブルで、さくさく進み、作戦に集中できていい。ボックスの記載では、プレイ時間「360分」つまり、6時間となっているが、そこまでかからないと思った。1ターン30分という感じだ。あ、今回は8ターンだったからそんなにかからなかったが、最大13ターンだから6時間くらいかかるのか。
バルジの戦いゲームはいろいろな要素が混ざってくるので、例外が多く、ターンごとの特別ルールが多い。それらの確認でルール・ブックをめくる煩わしさが少ないのがこのゲームの魅力だ。
また、限定的だがフリー・セットアップなので史実とは違った作戦を検証できるのもいい。
本ゲームの勝利条件は面白い。ターン終了時の勝利得点状況によって、独軍か連合軍の勝利かが決まり、そこでゲーム終了となる。多くのゲームが野球のように、決まったターン数プレイして、その時点での点数によって勝敗が決まる。しかしそうすると最終ターンには無茶な戦い方をすることになる。現実を考えるとそれはありえない。そういう点では本ゲームの勝利条件設定は現実に近くていい勝利条件だと思う。
精密な歴史再現性とプレイアビリティーのどこでバランスをとるかはデザイナーそれぞれの考え方だと思うが、私個人は、本ゲームくらいのバランスが好みだ。
本ゲームには『バルジの神話』という作戦研究冊子が入っている。また、『タクテクス』や『シミュレーター』誌に記事があると思う。
今度はそれを読んだ上でまた試してみたい。