もくじはこちら
約800ページの本体に加えて、72ページにわたる別冊訳注/索引と、61枚の別冊戦況・地図と7ページにわたる年表がついている。
こういう本だと、本文にある地名が戦況図にないことがよくあるが、この本では本文にある地名がちゃんと戦況図にあってわかりやすい。
第八部 終幕-1945年と、第九部 エピローグを読んでみた。
1945年1月16日 ドイツ軍のアルデンヌ攻勢敗退
1945年1月17日 ワルシャワ陥落
1945年1月31日 ソ連軍、ドイツ本土侵入
1945年2月4日 米軍、マニラ突入
1945年2月19日 米軍、硫黄島上陸
1945年3月3日 フィンランド対独宣戦布告
1945年3月6日 連合軍ケルン占領
1945年3月7日 米第1軍 レマゲン橋でライン川渡河
1945年3月7日 ユーゴスラビアでチトー新政権成立
1945年3月9日 東京大空襲
1945年3月14日 連合軍、ジークフリート線総攻撃
1945年3月16日 硫黄島の日本軍玉砕
1945年3月20日 英軍、マンダレー攻略
1945年3月22日 米第3軍、ライン川渡河
1945年4月1日 米第1軍、ルール地方包囲
1945年4月1日 米軍、沖縄上陸開始
1945年4月6日 ソ連、日ソ中立条約廃棄
1945年4月7日 戦艦大和沈没
1945年4月11日 英米軍、エルベ河畔到達
1945年4月20日-25日 ソ連軍、ベルリン入城。エルベ河畔で米軍と邂逅
1945年4月29日 イタリア戦線で降伏文書署名
1945年4月30日 ヒトラー自決
1945年5月1日 英軍、ラングーン攻略
1945年5月2日 イタリアのドイツ軍、無条件降伏
1945年5月7日 デーニッツのドイツ臨時政府、連合国に無条件降伏
1945年6月21日 沖縄陥落
1945年6月26日 国際連合憲章調印
1945年7月5日 マッカーサー、フィリピン解放宣言
1945年7月16日 ニューメキシコで初の原子核爆発実験成功
1945年7月17日-8月2日 ポツダム会談
1945年7月26日 チャーチル退陣
1945年8月6日 広島に原爆投下
1945年8月8日 ソ連、対日宣戦布告
1945年8月9日 長崎に原爆投下
1945年8月15日 日本ポツダム宣言受諾、天皇の終戦放送
1945年9月2日 ミズーリ上で日本降伏文書調印
1945年9月11日 国共内戦開始
東部戦線、イタリア戦線、西部戦線のいずれもドイツ軍は敗走を重ねていく。
もう挽回する可能性はない。
そんな中、1945年2月、ドイツ軍イタリア駐在SS隊長カール・ヴォルフ将軍は、スイスにいたアメリカ戦略情報本部(OSS)長アレン・W・ダレスの間で、ドイツ軍降伏をめぐる交渉が始まっていたが、結局実を結ばなかった。
イタリア戦線では、ヒトラー存命中に、降伏文書の署名が行われていたのは知らなかった。
日本を敗北に追い込んだものについては、潜水艦による通商破壊戦だった、とリデル・ハートは書いている。
また戦略空軍による爆撃で日本の大都市が灰燼に帰し、機雷敷設で日本の船舶が航行不能になったことも記している。
リデル・ハートは、連合軍による枢軸国への無条件降伏要求が、戦争を長引かせた要因だとして厳しく批判している。原爆投下に関しても投下不要だった、と断定している。
リデル・ハートは、第二次世界大戦は「不必要な戦争」と呼んだチャーチルの言葉を引用している。
1936年のラインラント進駐が分岐点だった、と述べている。
確かに、この時ならば、ドイツ軍はまだ弱体だったから、英仏が本気で軍隊を出して、止めていたら、ヒトラー政権が転覆し第二次世界大戦は起こらなかったかもしれない。ラインラント進駐が成功し、オーストリア併合、チェコスロヴァキア併合と、ヒトラーは成功体験を重ね、要求を拡大させていった。
第二次世界大戦は、ドイツ軍によるポーランド侵攻で始まった。この時、ポーランドとフランス軍の師団数は合計150個。ドイツ軍は総計98個だった。数の上では連合軍は勝てそうだが、当時のポーランド軍やフランス軍の古い軍事思想に染まった軍隊でドイツ軍に勝利できたかは、疑問である。
独ソ戦ではドイツは、ソ連の予備部隊の兵力、ソ連軍の原始性を読み誤ったのが、ドイツ軍の敗因と書いている。
また、枢軸国が戦線の短縮を図らず、ひとつの拠点が崩壊するまでしがみついたことが、敗北を早めたと論じている。
そして、連合軍による「無条件降伏」要求が、戦争を不必要に長引かせ、結局、スターリンだけの利益になったと厳しく断じている。
1939年9月1日に始まった第二次世界大戦は、6年と1日後の1945年9月2日にようやく終わった。
802ページの本書も終わった。
第二次世界大戦を概説した本としては、トップクラスの本だと思う。
復刻していないかと思ってAmazonを検索したら、中央公論新社から出版されているようだ。ぜひ手に取って読んでほしい。
kindle版もあるようだ。
haruichiban0707.hatenablog.com
haruichiban0707.hatenablog.com
haruichiban0707.hatenablog.com
haruichiban0707.hatenablog.com
haruichiban0707.hatenablog.com
haruichiban0707.hatenablog.com
haruichiban0707.hatenablog.com