『タクテクス』(TACTICS)第57号(1988/8/1)を読んでみた。
特集は「作戦級」
付録ゲームは<TSR/SPI>の『カポレット1917』(Caporetto 1917)
表紙は、HJ『チュニジア大突破』のシナリオ6の第2から3ターン目の展開をあしらったものだそうだ。
編集長が村川忍氏だ。
目次は次の通り
- p.4 CASE WHITE ポーランド電撃戦 リプレイ 瀬戸利春
- p.10 現代作戦級ゲームの系譜 桜井真一
- p.14 北アフリカ作戦級ゲームのシステム比較 斎藤勇一
- p.18 Game Review ワールド・イン・フレームズ by Toru. Honma
- p.39 "ワールド・イン・フレームズ"めざめる巨人、太平洋戦争 1941-1945シナリオより 九曜大亮
- p.20 Game Review Moscow 1941 by Lord Blackthorn
- p.22 作戦級ゲームに見るシステムの変遷 佐藤弘明
- p.26 もっと強くなりたい作戦級初心者のための作戦級ゲームの戦い方 岡崎友三
- p.30 中東戦争と作戦級ゲーム 鍵和田淳
- p.34 タクテクスに付いた作戦級ゲーム 渡辺卓人
- p.48 イタリア軍の破局 付録ゲーム"カポレット,1917"ヒストリカル・ノート 和久尊
- p.68 フォークランド タスクフォースの危機 "フリート・シリーズ<VG>"&"ハープーン<GDW>"ヴァリアント 和久尊
- p.76 海戦戦術入門 潜水艦戦 瀬戸利春
- p.80 新書英雄伝 「3つの問い」:エパミノンダス伝(上) 有坂純
- p.82 戦国時代の戦略と戦術 軍事的に見た戦国史 第7回 戦国時代の城の機能 福田誠
- p.84 古今東西珍本閑談 その3 新しい人類スラン 黒澤慶助
- p.101 ルウェリン・ギャンビット ”アルンヘム強襲”イギリス軍プレイヤーへのアドバイス ジェネラル誌21巻1号ステファン・ルウェリン 訳/佐藤行一
- p.114 求人広告
p.4 CASE WHITE ポーランド電撃戦 リプレイ 瀬戸利春
このゲームを知らない私にも特徴がよくわかるリプレイ記事だ。
ポーランド軍の勝利がほぼ無理のようだ。
p.10 現代作戦級ゲームの系譜 桜井真一
SPI 『NATO』, SPI 『The Next War』, SPI『Central Front』シリーズ, VG『NATO』, GDW/HJ『The Third World War』などが紹介されている。
p.14 北アフリカ作戦級ゲームのシステム比較 斎藤勇一
AH『ドイツアフリカ軍団』(Afrika Korps), AH/SPI『砂漠のロンメル』(Panzer Army Afrika), GDW『北アフリカ中東戦域』(Western Desert/The Near East), QD『Rommel's War』, WE『Rommel In North Africa』の特徴と違いをわかりやすく比較している。比較の軸は、ゲームスケール、補給ルール、トブルク、ロンメル将軍、勝利条件の観点だ。
p.18 Game Review ワールド・イン・フレームズ by Toru. Honma
p.39 "ワールド・イン・フレームズ"めざめる巨人、太平洋戦争 1941-1945シナリオより 九曜大亮
このゲームは第二次世界大戦を、独、伊、日、米(仏・中を兼ねる)、英、ソで、欧州、太平洋の両面に渡ってプレイする戦略級ゲームだそうだ。
すごいゲームだ。
ゲームスケールは、1ターン=2ヶ月、陸軍=軍または軍団、海軍は主要艦1~3隻、小艦艇は多数だそうだ。
AH『第三帝国』をより細かいスケールにし、太平洋も含めたようなものだろうか。プレイ時間は2時間~50時間と書いてあるが、実際には一体何時間かかるのだろうか?(車の燃費に関するデータと同じでウォーゲームのプレイ時間の記載はあてにならない。あくまで個人の感想です。)
九曜大亮氏の記事はウラジオストック攻略作戦に関する研究で興味深い。
p.20 Game Review Moscow 1941 by Lord Blackthorn
SPI『Moscow 1941』は、1941年10月から1942年1月にかけてのモスクワ周辺の戦闘を1ターン=4日、歩兵は師団レベル、1ヘクス10kmで再現する作戦級ゲームだ。パッケージのソ連兵の表情が恐い。SPI『モスクワ侵攻作戦』(Operation Typoon)ほどビッグではないらしい。いくつかシナリオがあり4ターンで終わるシナリオもあるようだ。
p.22 作戦級ゲームに見るシステムの変遷 佐藤弘明
シーケンス、ZOC、戦闘、コマンド・コントロールの4個の観点で、作戦級ゲームの進歩をわかりやすくまとめた記事だ。佐藤氏の言葉では「進歩」を否定する。佐藤氏は「多様化」と表現している。この記事から34年経過しているが、佐藤氏は今の作戦級ゲームの変遷を何と呼ぶだろうか?
p.26 もっと強くなりたい作戦級初心者のための作戦級ゲームの戦い方 岡崎友三
ゲームを把握する、作戦計画を練る、移動・戦闘の時に考えること、戦況を把握する、当たり前だが、私はこういうことを考えずにプレイしてきた。もっと早く読んでおきたかった。
p.30 中東戦争と作戦級ゲーム 鍵和田淳
4度の中東戦争の概要とそれをテーマにした中東戦争作戦級ゲームの紹介記事だ。中東戦争テーマは興味なかったが、『タクテクス』(TACTICS)誌の紹介記事を読むと興味が湧いてくるから不思議だ。
p.34 タクテクスに付いた作戦級ゲーム 渡辺卓人
『タクテクス』誌第24号以降、付録ゲームとなった7作品の紹介記事だ。どれも箱入りで単独で販売できる作品だと思うが、800円の雑誌の付録で、7作品もあったことに驚いた。
p.48 イタリア軍の破局 付録ゲーム"カポレット,1917"ヒストリカル・ノート 和久尊
第一次世界大戦のイタリア軍の戦いについては、ほとんど知らなかった。学生の頃は、もともと三国同盟側だったのに、裏切って連合国として参戦した、卑怯者と思っていた。この記事を読み、イタリア軍は第一次世界大戦でも弱かっ・・・いや、結構、粘っていたのだ、と思った。
p.68 フォークランド タスクフォースの危機 "フリート・シリーズ<VG>"&"ハープーン<GDW>"ヴァリアント 和久尊
VGの『フリート・シリーズ』もGDWの『ハープーン』(Harpoon)のシナリオだ。
フォークランド紛争は、リアルタイムでテレビで見た西側主要国による最初の戦争だったのでこの戦いをテーマとしているゲームには興味が湧く。(ベトナム戦争はほとんど記憶にない。)
p.76 海戦戦術入門 潜水艦戦 瀬戸利春
潜水艦の戦術と対潜水艦戦闘を簡潔に解説している記事だ。
p.80 新書英雄伝 「3つの問い」:エパミノンダス伝(上) 有坂純
ペルシア戦争後、アテネが覇権を握り、それに反発したスパルタ他のポリスとペロポンネソス戦争となり、スパルタが覇権を握り・・・・。人間は、覇権を握ると増長し、他からの反発を招き、悲劇につながるものだ。21世紀の今も繰り返されていると改めて思う。
p.82 戦国時代の戦略と戦術 軍事的に見た戦国史 第7回 戦国時代の城の機能 福田誠
戦国時代の城の役割と城攻めの戦法を説明している良記事だ。
p.84 古今東西珍本閑談 その3 新しい人類スラン 黒澤慶助
元々社という聞いたことがない会社の『新しい人類スラン』の紹介。藤子不二雄が神田の古本屋街で探すほどの名作だったようだ。
p.101 ルウェリン・ギャンビット ”アルンヘム強襲”イギリス軍プレイヤーへのアドバイス ジェネラル誌21巻1号ステファン・ルウェリン 訳/佐藤行一
3枚の地図盤とユニットの写真付きの作戦研究記事だ。このゲームも持っていないが現代まで続いているゲーム・システムの一つだから、一度、プレイしてみたいものだ。
p.114 求人広告
求人広告から「男子」の記載が消えた。雇用機会均等法の影響だなぁ。