Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

『コマンドマガジン』46号(2002/8/20)を読んでみた(その1)

国際通信社のコマンドマガジン第46号はこちら


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国際通信社の『コマンドマガジン』第46号を読んでみた。

付録ゲームはSSシリーズの『D-DAY』と『バルジの戦い』のリメイク版とだ。

 

目次は次の通り


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今回はp.12からp.14だけだ。

 

p.12 常山の蛇では生ぬるい 

付録ゲーム『D-DAY』について簡潔に紹介している。

 

巨大なヘクス

ボカージュがマップに反映されていないこと

 

[感想]

これには私も驚いた!!一応、ボカージュっぽいのだが、平地となっていて、防御力0だから誤植ではないかと思った。

 

ゲームスケールが1ターン1週間

ゲームターン中に第1から第3作戦フェイズがある

 

ユニット規模は基本的に師団。

 

機甲・装甲師団の作戦能力は3、歩兵師団は2

 

作戦フェイズ中に両軍とも戦闘=>移動の順で活性化でき、戦闘したユニットは移動不可。

 

兵科を問わず2移動力。つまり歩兵師団なら1ターンで4移動力、機甲・装甲師団は6移動力だ。

[感想]

機甲・装甲も歩兵も1フェイズ2移動力というのは驚いた。しかし、1ターンで考えると確かに両者の差が表現されている。

 

敵ユニットがいるヘクスに入ったら移動停止し戦闘結果以外での離脱不可能

 

攻撃はフェイズプレイヤーの任意。

 

戦闘はファイアーパワー方式で、防御側からの反撃がある。

 

損害数=戦闘結果-防御側スタックの最大防御力ー地形

 

損害数分ステップロスか退却する。

反撃では攻撃側は全てステップロスする。

 

ボカージュの分はドイツ軍の防御力の高さに反映されているのだろう。

 

[感想]

なるほど、そういう表現の仕方をしているのか。納得だ。

 

連合軍には最大6枚の空軍マーカーがあり、「航空支援」や「航空阻止」ができる。

「航空支援」では攻撃時に攻撃力+1、防御時ならドイツ軍攻撃力-1できる。

「航空阻止」ではドイツ軍がそのヘクスに入ったら移動停止、そのヘクスからの移動の際には移動力-1となる。

 

また「艦砲射撃」マーカーもある。

 

このゲームの各ターンに史実を当てはめると、次のようになる。

第2ターンにヴィレル・ボカージュでのヴィットマンの活躍

第3ターンにシェルブール包囲開始

第4ターンにシェルブール陥落

第6ターンに英軍によるチャーンウッド作戦開始

第7ターンに英軍によるグッドウッド作戦と米軍がサン・ロー奪取、第8ターン米軍コブラ作戦発動、アヴランシュ陥落

 

連合軍が補給下にある4ユニットを盤外突破させるとサドンデス勝利となる

 

カーンを奪われると防御が難しいドイツ軍なので、カーン周辺で激戦となる。

[感想]

これは実際にプレイしてみて納得できた。

 

第1ターンに米軍4個歩兵師団、英軍4個歩兵師団と1個機甲師団が上陸後、毎ターン第1作戦フェイズにそれぞれ2個師団ずつの増援が得られる。機甲師団は各ターン米・英とも1個師団ずつしか受け取れない。

 

第2ターンにドイツ軍は第2装甲師団、第12SS装甲師団、装甲教導師団など計10個師団の増援が来る。特に第12SS装甲師団と装甲教導師団が都市に入ると、ダメージを与えるためには最低9戦力、実質的に13戦力以上集める必要がある。

経験上、この2個師団はそれぞれカーンとサン・ローにこもることになる。

 

第5ターンには第1, 2, 9, 10SS装甲師団の増援が来る。

 

連合軍は戦力増強に努めながら、受動的になってはいけない。「善く兵を用いる者は、例えば卒然の如し。卒然とは常山の蛇なり。その頭を撃てば尾至り、その尾撃てば頭至り、その中を撃てば首尾ともに至る」という『孫子』兵法にある大原則がこのゲームでは肝に銘じておく至言だという。

[感想]

孫子』第十一「九地篇」からの引用だ。意味としては、常山にいる卒然という蛇は、頭を撃つと尾が助けに来て、尾を撃つと頭が助けに来て、中程を撃つと頭と尾が助けに来るので、そのように兵を動かすべきだということだ。

本記事筆者は、常山にいる蛇では生ぬるく、もっと激しく荒れ狂ってドイツ軍を片っ端からやっつけないといけない、という。

 

「十分な厚みをもつ戦線を構築して敵部隊を捕捉し、強力な予備部隊を決勝点に投入して、一点突破を狙うという方針に立つべき」とのことだ。

そしてシェルブールが重要な拠点となる。

 

第3ターン終了時ユタ海岸には4個師団しか上陸していないので3個師団によるシェルブール包囲は不可能だが、4ターン中にはシェルブール奪取が必要だ。

7ターンまでにコブラ作戦に匹敵する突破を果たし8ターン中に4ユニットを盤外突破させなければいけない。

 

つまり、シェルブールを早期に陥落させ、ドイツ軍の反撃に対抗できる縦深と部隊予備を捻出し、サン・ロー突破の足がかりを作るのだ。

4ターンまではカーン~サン・ロー戦線でドイツ軍主力を拘束し、コタンタン半島で積極的な攻勢をかけ、5ターンのドイツ軍増援をあしらいつつ、盤外突破を目指すという方針だ。

 

この後、実際のマップ上にユニットを並べての作戦解説だ。


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写真のように艦砲射撃と空軍マーカーを展開する。

0808は航空阻止で、ジュノー海岸へのドイツ軍の反撃を妨害する。

第82空挺師団と第101空挺師団はヴァローニュ(0306)とカランタン(0407)のドイツ軍第709国民擲弾兵師団、第91国民擲弾兵師団を拘束する。

 

0105のドイツ軍第243国民擲弾兵師団はシェルブール(0203)への籠城、ヴァローニュ(0306)への投入、南方離脱の3つの動きがあるが、南方離脱以外は第2ターン・第1作戦フェイズに歩兵1個師団で対応できる。

 

[感想]

実際に盤上に並べるとよくわかる。次回、実際に試してみたい。

 

第2ターンの方針は次の通りである。

 ユタ海岸に機甲師団を上陸させ、シェルブールに突入する。その場合、守備隊の防御力3+都市1=4なので最低5攻撃力が必要になるから機甲師団に支援マーカー1枚以上つけることで第3ターン中にシェルブール陥落確率が14%となり、第4ターンも合わせると60%弱になる。

 歩兵師団1個を海岸の守りに置く。

 ヴァローヌ(0306)とカランタン(0407)は、艦砲射撃と空挺師団の組み合わせで守る。

 空挺師団が壊滅していたら、歩兵師団+支援マーカー2枚で守る。

 カランタン(0407)に歩兵師団と空挺師団をスタックさせないこと作戦能力の低い空挺師団との連携ではドイツ軍除去が難しいことが理由だ。

 

 第2ターンの航空阻止マーカーはアヴランシュ(0213)、ヴィルディユ(0411)、コンデ(0712)、ファレーズ(0912)、1009に配置するとドイツ軍増援を阻止できる。

 

このゲームは戦闘結果のバラツキが大きいので、あまり窮屈な作戦計画を立てることは非現実的だ。だから予備が重要になる。

 

[感想]

戦闘結果のバラツキが大きいことは私も思った。

ただ、だから予備が重要ということは、私にとっては目からウロコだった。

 

この後、リプレイ記事がある。この号は、『バルジの戦い』についても作戦研究やリプレイ記事や他のバルジの戦いゲームの詳細な紹介にマーケット・ガーデン作戦計画段階の検証記事など盛りだくさんだ。しばらくこの号を隅から隅まで読むことになりそうだ。