リデル・ハート 上村達雄訳『第二次世界大戦』フジ出版(1978/10/25)で、ノルマンディー上陸作戦後の米英軍の将軍達の争いを読んだら、無性にこのゲームをプレイしてみたくなった。
ドイツ軍は、アントワープ(1023)と補給マークが印刷された4ヘクス(0725, 0726, 0627, 0426)を守る部隊をわずかに残して、他の部隊は、ルール[9.7]戦略移動を駆使して、ライン川の東にさっさと後退して戦線を作ってみようと思う。
連合軍は、ドイツ軍に戦線を作らせずにドイツ本土になだれ込みたい。
- 初期配置
- 第1ターン(1944/09/上旬)
- 第2ターン(1944/09/中旬)
- 第3ターン(1944/09/下旬)
- 第4ターン(1944/10/上旬)
- 第5ターン(1944/10/中旬)
- 第6ターン(最終ターン)(1944/10/下旬)
- 勝利条件の確認
- 感想
初期配置
初期配置はフランス国内以外は決まっている。
ルール[7.5]によると、フランス国内では、ドイツ軍は支配地域(ZOC)を失うので、フランス国内に配置する部隊はすぐにフランスから離れられるよう国境線に配置した。
第1ターン(1944/09/上旬)
ドイツ軍はダンケルク(0433)に第712歩兵師団を残し、フランス領を放棄して退却した。
アントワープ(1023)と補給マークが印刷された4ヘクス(0725, 0726, 0627, 0426)に、5個師団が向かう。
連合軍は英軍への補給を優先した。
アントワープ81023)を奪取するにはその方がいいと考えたからだ。
補給を与えられなかったアメリカ軍はルール[6.7](1)(2)により、移動力が2減少し戦闘力が半減する。
英軍はダンケルク要塞を歩兵4個師団に任せて、機甲師団3個はアントワープを目指して直進する。
米軍はセダン(2428)を解放した。
第2ターンの時に気づいたが、本当は米軍はここまで前進できない。登場ヘクスが第1ターンではもっと西だった。だが、このまま継続する。
ダンケルク(0433)にいたドイツ軍第712歩兵師団(2-4)が降伏勧告を無視し「総統万歳!」と叫んで全滅した。
ダンケルク(0433)を英軍が解放し市民の歓呼に迎えられた。
英軍機甲師団はヘクス0726を攻撃し、ドイツ軍第70歩兵師団(2-4)を4ヘクス後退させた。戦闘後前進するかどうか迷うが、包囲されると戦闘比1:2でも1/3の確率で壊滅する可能性があるので、戦闘後前進はやめておく。
ナミュール(1824)では、アメリカ軍機甲師団の攻撃で、ドイツ軍第353歩兵師団が3ヘクス後退した。アメリカ軍機甲師団がナミュール(1824)を解放した。
第2ターン(1944/09/中旬)
ドイツ軍はミュンヘン=グラートバッハ(1814)に第116装甲師団(5-10)が登場した。
そしてアントワープ(1023)防衛隊を除き、全部隊を要塞線へ後退させる。
第2ターンも英軍に補給優先だ。
パットンは「我々に燃料があれば今頃はベルリンだ!」と怒鳴った。
史実だと今頃、マーケットガーデン作戦だが、マーケットガーデン作戦開始地点には、遠く及ばない。
ヘクス0726でドイツ軍第226歩兵師団(2-4)がヘクス0525に退却した。ヘクス0726を英軍が占領した。
ヘクス0627でドイツ軍第59歩兵師団(2-4)が壊滅した。
アントワープ(1023)でドイツ軍第719歩兵師団(1-6)が壊滅した。同市を英軍が解放した。
ヘクス1821でドイツ軍第353歩兵師団(2-6)が全滅した。
第3ターン(1944/09/下旬)
史実だとここでマーケットガーデン作戦が実施されたのだが、今回のゲームだとどうなるだろうか?
ドイツ軍は全力で後退してマース川の手前に戦線を作った。
またスヘルデ河口を4個師団で守る。
なるほど。
この状態なら、マーケットガーデン作戦を開始したらマース川、ワール川、ライン川を突破してアルンヘムに向かう戦いが再現できそうだ。
しかし今回のゲームでは、このターンも連合軍の空挺作戦はなかった。
今回も連合軍の補給は英軍モントゴメリーに優先された。
英軍主力はスヘルデ河口を攻撃する。
また、V2号発射機があるハーグ(0219)に向かって第7機甲師団が前進する。
米軍はマーストリヒト(1718)を解放し、東に向かう。
ヘクス0725でドイツ軍第70歩兵師団(2-4)と第346歩兵師団(2-4)が全滅した。
アントワープと補給マーク4ヘクス中4ヘクスを英軍が解放した。残るはヘクス0426だけだ。
しかしスヘルデ河口は防御力が2倍になるので、攻撃側にとっては難所だ。
次のターンで落とせるだろうか?
ヘクス0917でドイツ軍第711歩兵師団(2-4)が全滅した。
英軍近衛機甲師団がマース川を渡河成功した。
ヘクス2018でドイツ軍第344歩兵師団(2-6)が全滅した。
米軍がアーヘン(2117)に接近する。
ヘクス1517でドイツ軍第708歩兵師団(2-4)が包囲環から脱出できず降伏した。
米軍がルールモント(1615)に接近した。
「補給が優先されない俺たち米軍の方が補給優先されている英軍より先に進んでいる!俺たちに補給を優先しろ!」とパットンがアイゼンハワーに掛け合う。
アイゼンハワーは「いや今、どちらも同じだ。アントワープ(1023)が使えるようになると補給は無尽蔵になる。もう少しの辛抱だ。」とパットンをなだめる。
第4ターン(1944/10/上旬)
前回、この時点でドイツ軍は12ユニットしか残っていなかったが、今回は、20ユニット残存している。
このターンも補給は英軍優先だ。
英軍第7機甲師団(5-12)がついにハーグ(0219)を解放した。
膨大なV2号の機密文書を入手したが、発射基地やV2号本隊は鹵獲に失敗した。
スヘルデ河口は機甲師団は越えられないが、戦闘する。防御側の戦闘力が2倍になるので戦闘比は1:1だ。
英軍近衛機甲師団(6-12)と第11機甲師団(5-12)が、ライン川を渡河して、アルンヘム(0912)を解放した。
その情報を得たパットンが「俺たち米軍に補給があれば俺たちが一番乗りしたのに。モントゴメリーの奴は補給をもらっていい気になりやがって!」と激怒した。
米軍はアーヘン(2117)目指して前進する。
補給不足と要塞地帯のため戦闘比が2:1にしかならない。
だが、リスクを負っても攻撃する。
フルージング(0525)でドイツ軍第64歩兵師団(3-4)と第226歩兵師団(2-4)が退却し、混乱状態でさらに後退し海に追い落とされた。
これで次のターンにはヘクス0426を解放しアントワープ(1023)が補給港として機能し始める。
ヘクス1116でドイツ軍第89歩兵師団(2-4)が壊滅した。
ヘクス1315でドイツ軍第345歩兵師団(2-4)とアメリカ軍第3機甲師団(6-12)が相撃ちになった。
ヘクス2218でドイツ軍第331歩兵師団(1-6)と米軍第83歩兵師団(4-8)が相撃ちになった。
アーヘン(2117)で米軍第28歩兵師団(4-8)と第79歩兵師団(4-8)をドイツ軍第7空軍地上師団が撃退した。
英軍のダイス運が最高によかったのに対して米軍のダイス運は最悪だった。
第5ターン(1944/10/中旬)
ここで連合軍は[11.0]空挺作戦を宣言した。
デュッセルドルフ(1811)近辺でライン川渡河を目指して空挺降下作戦を開始した。
英軍第1空挺師団はヘクス1511へ、米軍第82空挺師団はヘクス1711へ、米軍第101空挺師団がヘクス1911へ降下した。
ここで補給優先は米軍にした。
英軍はヘクス0426を占領して次のターンからアントワープ(1023)が補給港として機能するようにする。
英軍第7機甲師団(5-12)は勝利条件には関係ないがアムステルダム(0216)を解放しアルンヘム(0912)に向かって前進する。
ライン川東岸に前進した近衛機甲師団(6-12)と第11機甲師団(5-12)は西岸に戻り、ヘクス1311の要塞を攻撃する。ここを突破するとヘクス1511に効果した英軍第1空挺師団と手をつなげられる。
その他の英軍部隊は戦略移動を駆使して東進する。
米軍は機甲師団がヘクス1513を攻撃し、空挺部隊との合流を目指す。
歩兵部隊はアーヘン(2117)攻略を目指す。
ヘクス1311でドイツ軍第84歩兵師団(1-6)が壊滅した。
英軍近衛機甲師団(6-12)と第11機甲師団(5-12)がヘクス1511にいる英軍第1空挺師団と合流しライン川を渡河してヘクス1510に機甲突破した。
デュイスブルク(1610)やエッセン(1609)に接近した。
ヘクス1513でドイツ軍第256国民擲弾兵師団(2-6)が後退した。米軍は機甲突破できなかった。
ヘクス1917でドイツ軍第190歩兵師団(2-6)と米軍第28歩兵師団(4-8)が相撃ちになった。
ヘクス2318でドイツ軍第47歩兵師団(1-6)と第48歩兵師団(1-6)が壊滅した。
アーヘン(2117)でドイツ軍第7空軍地上師団(2-6)が奮戦空しく玉砕した。
米軍第2歩兵師団(4-8)と第79歩兵師団(4-8)がアーへン(2117)を占領した。
ドイツ軍装甲師団が米軍第82空挺師団と第101空挺師団に反撃をする。
ヘクス1711で、米軍第82空挺師団がドイツ軍第116装甲師団(5-10)、第1SS装甲師団の包囲攻撃を受けて全滅した。
ヘクス1911で、米軍第101空挺師団がドイツ軍第17SS装甲擲弾兵師団(4-10)と装甲教導師団(6-10)の攻撃を受け、機甲突破してきた第116装甲師団(5-10)に包囲されて、全滅した。
第6ターン(最終ターン)(1944/10/下旬)
いよいよ最終ターンだ。
連合軍は勝利条件を考えてどう動くか決めたい。
ルール[4.2]連合軍の勝利得点
(1)アントワープの開港 1VP
(2)ライン渡河 英軍は2ユニット、米軍は0ユニット 0VP
(3)ドイツ国内の都市 アーヘン(2117)1都市占領したので1ポイント 0VP。
(4)ハーグ 支配している 1VP。
連合軍合計2VP
ルール[4.3]部隊の損耗
ドイツ軍機械化部隊 0
連合軍空挺部隊 3ポイントx2部隊=6ポイント
米軍部隊 1ポイントx3=3ポイント
9ポイントなので、ドイツ軍1VP
連合軍は2VP-1VP=1VPだ。
(2)米軍3個以上、英軍1個以上、ライン渡河すると2VP獲得。
(3)ドイツ領の都市を2ヘクスまたは町を4ヘクス占領すると、1VP獲得。
連合軍はこれを目指して前進する。
英軍第7機甲師団が南下しドルステン(1308)を占領しヘクス1408に移動した。
これで(2)ライン渡河した英軍が3個以上になったので1VP獲得だ。
カナダ第2歩兵師団がヴェセル(1310)を攻略しヘクス1408に移動した。
これで(2)ライン渡河した英軍が4個になりドイツ国内の町2つを占領して1ポイント加えて2ポイントになった。あと都市1個か町2個を占領すると1ポイント加わり3ポイントとなって1VPだ。
英軍近衛機甲師団(6-12)と第11機甲師団(5-12)がドルトムント(1607)を占領しヘクス1608に移動した。
これで都市1個を占領して3ポイントになり1VP加わり2VPとなる。
英軍歩兵部隊がオーバーハウゼン(1509)を占領した。3.5ポイントだ。
米軍機甲師団3個がライン川を渡河して1VPを獲得する。これで3VPになるはずだ。
米軍歩兵部隊がユーリッヒ(2015)とデューレン(2115)を占領し町2個を占領して1ポイントになり4.5ポイントだ。
米軍第9機甲師団が全速前進してケルン(2212)を占領した。
これで都市1個を占領して5.5ポイントになる。
ヘクス1508でドイツ軍第275歩兵師団(2-6)が全滅した。
エッセンの一部ヘクス1508を英軍が占領した。これで6.5ポイントだ。
デュイスブルク(1510)でドイツ軍第1SS装甲師団(6-10)、第363国民擲弾兵師団(2-6)が英軍の大軍を撃退した。
ヘクス1613でドイツ軍第256国民擲弾兵師団が全滅した。
ミュンヘン=グラートバッハ(1814)でドイツ軍第49歩兵師団(1-6)、第85歩兵師団(2-6)が全滅した。
同市を米軍が占領して7.5ポイントとなった。
ボン(2413)でドイツ軍第6空軍地上師団が全滅した。
同市を米軍が占領して8.5ポイントになった。
最後のドイツ軍プレイヤーターンだ。
ドイツ軍も勝利条件を確認する。
ルール[4.2]連合軍の勝利得点
(1)アントワープの開港 1VP
(2)ライン渡河 英軍は8ユニット、米軍は4ユニット 2VP
(3)ドイツ国内の都市 8ポイント 1VP。
(4)ハーグ 支配している 1VP。
連合軍合計5VP
ルール[4.3]部隊の損耗
ドイツ軍機械化部隊 0
連合軍空挺部隊 3ポイントx2部隊=6ポイント
米軍部隊 1ポイントx3=3ポイント
9ポイントなので、ドイツ軍1VP
連合軍は5VP-1VP=4VPだ。
このままだと連合軍勝利だ。
英軍部隊を壊滅させて[4.3]部隊の損耗と都市の奪還を図る。
目標はエッセン(1508)だ。ここをヘクス1408とヘクス1609から包囲して退却不能にして英軍部隊2個を撃破しエッセン(1508)奪還を目指す。
戦闘比は1:2なので1/3の確率で英軍部隊を除去できる。逆に1/3の確率でドイツ軍部隊が壊滅する。これはギャンブルだ。
ドイツ軍が、ドルトムント(1607)、ドルステン(1308)を奪還した。
またドイツ軍がケルン(2212)奪還を目指して装甲部隊が逆襲する。
ケルン(2212)で、ドイツ軍装甲教導師団(6-10)と第116装甲師団(5-10)と第17SS装甲擲弾兵師団(4-10)による逆襲で、ライン川の西岸に撃退し、同市をドイツ軍が奪還した。
エッセン(1508)の戦いは、英軍がドイツ軍を撃退した。
勝利条件の確認
ルール[4.2]連合軍の勝利得点
(1)アントワープの開港 1VP
(2)ライン渡河 英軍は8ユニット、米軍は3ユニット 2VP
(3)ドイツ国内の都市 4都市4町 6ポイント 1VP。
ドイツ軍 都市 ミュンスター(1302) ドルトムント(1607) エッセン(1609) デュイスブルク(1610) デュッセルドルフ(1811) ケルン(2212)
町 ドルステン(1308) ハム(1605) ヴッパータール(1708) ハーゲン(1807)
連合軍 都市 エッセン(1508) ミュンヘン=グラートバッハ(1814) アーヘン(2117) ボン(2413)
町 ヴェゼル(1310) オーバーハウゼン(1509) ユーリッヒ(2015) デューレン(2115)
(4)ハーグ 支配している 1VP。
連合軍合計5VP
ルール[4.3]部隊の損耗
ドイツ軍機械化部隊 3ポイントx0部隊=0ポイント
ドイツ軍非機械化部隊 0ポイントx24部隊=0ポイント
連合軍空挺部隊 3ポイントx2部隊=6ポイント
米軍部隊 1ポイントx3=3ポイント
9ポイントなので、ドイツ軍1VP
連合軍は5VP-1VP=4VPだ。
4VPのため連合軍勝利
感想
米英のライン川渡河をめぐる競争は英軍に軍配が上がった。オランダとドイツ国境付近でライン川を渡河したのが正解だった。
ドイツ軍は24個歩兵師団が壊滅し、南部から攻撃する米軍は撃退したが、オランダとの国境付近から突進してきた英軍にやられてしまった。この方面には要塞や防御に適した地形がないので守りにくい。
米軍は空挺2個師団、地上部隊3個師団(うち1個は機甲師団)を失う損害を被った。南部からの東進では一度はケルン(2212)を奪取したがドイツ軍の反撃に遭い、奪還されてしまった。
英軍は、アントワープ占領に時間がかかったが、スヘルデ河口での戦い時のダイス運がよかった。ダイスの目によってはあと1ターンか2ターンかかっていたら、勝利はなかっただろう。
英軍がオランダでライン川を渡河してそこから南下してエッセン(1508, 1609)に攻勢をかけて勝利を得た。
今回は、マーケットガーデン作戦に相当する空挺作戦は不要だった。
それよりも英軍はもっと大部隊をオランダでライン川を渡河させて南下させるとよかっただろう。
米軍はアルデンヌの森を突破して正面からアーヘン(2117)を攻撃するのは無理があるようだ。
ルールムント(1615)の北で要塞線が切れている所から攻勢をかけるのがいいのではないだろうか。
ドイツ軍は戦略移動をうまく使って、戦線を張りながら組織的に後退できたと思う。
特に南部のアルデンヌの森での守りは良かった。ライン川を渡河した米軍を撃退しケルン(2212)を奪還できた。
しかし、オランダ方面の守りが手薄だったのが今回の敗因だ。
マース川、ワール川、ライン川の3本の大河をもっとうまく使って防衛するべきかもしれない。兵力が少ないのが悩みだが、この方面にももう少し兵力を回しておくべきだった。
このゲームは、タイトルは「マーケット・ガーデン作戦」だが実際には、「ラインへの道」や「ライン河を越えろ!」というゲームだとあらためて思った。
簡単なルールで連合軍の快進撃とドイツ軍の苦しい防御戦を味わえる面白いゲームだ。
次回プレイするときには、ドイツ軍は、兵力配分や戦線の作り方について、もう少し工夫してプレイしてみたい。