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約800ページの本体に加えて、72ページにわたる別冊訳注/索引と、61枚の別冊戦況・地図と7ページにわたる年表がついている。
こういう本だと、本文にある地名が戦況図にないことがよくあるが、この本では本文にある地名がちゃんと戦況図にあってわかりやすい。
「第四部 戦火拡大-1941年」を読んでみた。
1941年2月、ルーマニア、対英断交
1941年3月下旬、英領ソマリランド解放
1941年4月5日、ユーゴスラビアでクーデター
1941年4月13日、日ソ中立条約調印
1941年4月下旬、英軍ギリシャ撤退
1941年5月10日、ルドルフ・ヘス英国へ飛ぶ
1941年5月16日、英本土航空決戦終了
1941年5月19日、エチオピアのアオスタ公軍、英軍に降伏
1941年5月20日-27日、ドイツ軍空挺部隊、クレタ島占領
1941年5月23日-27日、英国艦隊、ビスマルク撃沈
1941年6月22日、ドイツ軍バルバロッサ作戦開始
1941年7月、米軍アイスランド進駐
1941年7月16日、スモレンスクの闘い
1941年7月26日、在米日本試算凍結
1941年8月14日、大西洋憲章発表
1941年9月30日、タイフーン作戦開始
1941年10月15日、ゾルゲ事件発覚
1941年10月18日、東条内閣発足
1941年11月18日、英第8軍(カニンガム)十字軍作戦開始
1941年12月1日、ロンメル、トブルクを包囲
1941年12月5日、ソ連軍の反攻開始
1941年12月7日(日本時間12月8日)、日本軍によるハワイ奇襲
1941年12月10日、マレー沖海戦
1941年12月25日、日本軍、香港占領
1941年12月26日、ロンメル、アゲダビヤへ後退
ドイツ軍によるバルカン半島侵攻とクレタ島降下作戦が実施された。
私は、イタリアのムッソリーニがギリシャに攻め込まず、ドイツ軍がバルカン半島に援軍に行かないで、バルバロッサ作戦を5月中に始めていたらドイツ軍が勝ったのではないか、といつも思っていた。
しかし、本書を読むと、5月のソ連は泥濘状態で、まともに進めなかったそうだ。だから、仮にバルカン作戦がなくても、ドイツ軍はやはり6月にバルバロッサ作戦を開始し、11月には例年より早く厳しい冬将軍がやって来て、ドイツ軍は苦戦しただろう、と言うのが本書の主張だ。
なるほど、地図を見ているだけではわからない、それぞれの土地の気候や事情があるものだ、と思った。
ガダルカナル島の戦いで内陸からの迂回作戦を考えて人も、地図を見て、日本やせいぜい中国の地形を想定し、迂回可能、と判断したのだろうなぁ、と思った。
そして、ドイツ軍は、バルバロッサ作戦を開始する。装甲部隊を引き剥がして別な地点に投入するなど、目標がブレて、冬将軍の到来までに目標を達成できず、苦戦していく状況がよくわかる。
北アフリカ戦線ではロンメルが登場して、ドイツ軍が寡兵で攻勢に出る。少ない兵力で補給が少なくても攻勢に出るロンメルの戦い方は、かなり無理があるように思った。とはいえ、当時のドイツアフリカ軍団(DAK)が防御に徹しても士気が下がるばかりだったろう。ロンメルの攻勢が最高潮の時に、あと1個師団がロンメルの手元にあったら、どうなっただろうか、と思う。
そして12月7日、日本軍によるマレー半島上陸、真珠湾奇襲攻撃により、太平洋戦争が始まった。
本書は、第二次世界大戦を、詳細な戦況図や説明していて、通史として読むには不朽の名作だと思う。
第二次世界大戦をテーマにしたウォーゲームをプレイするとき必須の本の一つだ。
復刻していないかと思ってAmazonを検索したら、中央公論新社から出版されているようだ。
kindle版もあるようだ。
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