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約800ページの本体に加えて、72ページにわたる別冊訳注/索引と、61枚の別冊戦況・地図と7ページにわたる年表がついている。
こういう本だと、本文にある地名が戦況図にないことがよくあるが、この本では本文にある地名がちゃんと戦況図にあってわかりやすい。
「第五部 転換期-1942年」を読んでみた。
1942年1月、ワシントンで連合国共同宣言26か国署名
1942年1月、ウォルホフ戦
1942年1月11日、クアラルンプール攻略
1942年1月29日、ドイツ軍、ベンガジ奪還
1942年2月8日から4月中旬、デミヤンスク包囲戦
1942年2月10日、ビル・ハケイム戦
1942年2月14日、パレンバン攻略
1942年2月15日、シンガポール攻略
1942年3月8日、日本軍、ビルマ占領
1942年4月5日、ブラウ作戦発令
1942年4月18日、ドゥーリトルによる日本初空襲
1942年5月4日から8日、珊瑚海海戦
1942年6月4日から6日、ミッドウェー海戦
1942年7月1日、第1次アラメイン戦
1942年8月7日、米軍ガダルカナル島上陸開始
1942年8月30日、アラム・ハルファの戦い
1942年10月23日から11月初旬、第2次アラメイン戦
1942年10月27日、南太平洋海戦
1942年11月8日、連合軍、たいまつ作戦開始
1942年11月19日、ソ連軍、スターリングラードで反撃開始
1942年11月27日、独伊軍、ツーロン占領。ヴィシー政府解体。
独ソ戦については、1942年のドイツ軍には、1941年の時の力がもうなかったようだ。
それに対してソ連軍は、米英からの支援があったとはいえ、あれだけドイツ軍にやられたのにその動員力や武器の生産力には驚くばかりだ。
北アフリカのロンメルは、絶頂期を迎える。この小兵力で、攻勢に出て、よく戦っている。イタリア軍も、よく戦っていると思う。イタリア軍は弱いとバカにしてはいけない、と思った。
米軍地上部隊がとうとう北アフリカに上陸しロンメルにとどめを刺した。
太平洋では、ドゥーリトル隊による日本初空襲、珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島の戦いと流れていく。米軍が、戦略レベルで、次にどこをどれだけの戦力で攻略するか、決めているのに対して、日本は、方針が統一されていないため、少数兵力がさらに分散して後手に回っていることがよくわかる。
日独伊が全体主義国家だから民主主義国家の米英より意思が統一されている、と何となく思っていたが、第二次世界大戦については、米英の方が、日本より遥かに意思統一が進んでいると思った。
それでも米英間の意見の相違、米軍内部でのマッカーサーとニミッツの戦いなどの人間ドラマがあって、面白かった。米英と日本の違いは、意見の相違があって合意に至らない時に、上に上げて解決を図るか、下でゴニョゴニョやって妥協をはかるかの違いだと思った。米英は、意見の相違があれば、将軍に上げ、最後は、ルーズヴェルトやチャーチルに上がって、彼等が最終判断し、当然不満はあるだろうが部下はそれに従う。
日本はそういう意思決定のプロセスがない。
大西洋の戦い=Uボートと護衛船団の戦いが面白かった。
両軍が、必死になって、新兵器や新戦法を工夫して繰り出して戦いを繰り広げている。
日本も第一次世界大戦で、もっと通商破壊戦の戦訓を勉強していたら、もう少し・・・潜水艦を漸減作戦に投入して軍監を沈めようという発想だったから、変わらなかったか。
連合軍と枢軸軍は互角に戦っているように見えるが、アメリカが参戦したことで、枢軸軍の勝利が遠のいたことが、よくわかる。
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本書は、第二次世界大戦を、詳細な戦況図や説明していて、通史として読むには不朽の名作だと思う。
第二次世界大戦をテーマにしたウォーゲームをプレイするとき必須の本の一つだ。
復刻していないかと思ってAmazonを検索したら、中央公論新社から出版されているようだ。
kindle版もあるようだ。