『プラン・サンセット』vol.5を読んでみた。
特集はOCS(Operation Combat Series)。
表紙はヨーロッパの地図とアジアの地図にOCSシリーズのマップを重ねたもの。OCSにどんなゲームがあり、どこを舞台にしているかがよくわかる。
もくじは以下のとおり。
OCSは、私がウォーゲームを買ったりプレイしていた時代にはなかったシリーズだ。
どうやら作戦級ゲームで、ゲームスケールは1ターン=0.5週間、1ヘクス=5マイル(約8Km)、中隊から師団レベルのようだ。
BCSやらGTSに、OCSとかSTSとかTCSなどいろいろあって、どれがどれで、どんな特徴があるかチンプンカンプンだった。(追記:GOSSやTSWWというのもあるらしい)
「OCSはどれもフルマップ2枚以上でユニットも1,000個以上で金額も10,000円以上で、ルールも難しくて、きっとプレイできないビッグ・ゲームなのだろうなぁ。最初から手を出さない方がいいなぁ。」と根拠なく勝手に想像していた。
今号の特集を読んで、なかなか面白そうなシリーズだと思った。
p.5 ヴィテブスク入門シナリオ研究 OCS『スモレンスク』システム&シナリオ詳細解説 Chip Saltsman 訳:松浦豊
紹介記事ともいえるし、リプレイ(AAR)記事ともいえて、研究記事といったほうがいいのかも知れないこの記事、とてもいいと思った。このゲームを持っていないし、「OCSはビッグ・ゲーム、ゆえに手を出さない。」と思っていたが、ルールや作戦がよくわかる。
p.25 エル・アラメインはいかにうまく要素を切り捨てたか? エポック『エル・アラメイン』とのシステム比較
ウォーゲームは現実から、再現するものとしないものを、取捨選択している。当然ながら再現するものが多ければ多いほど精密になり史実の再現度が高まるが、プレイアビリティーは落ちていく。デザイナーは自分が描きたいことを強調して表現したり、史実とプレイアビリティのジレンマの中で、どこかに落とし所を見つけたりして、ゲームをデザインする。そのため同じテーマでもゲームによってずいぶん様子が異なる。
この記事ではエポック『エル・アラメイン』(現在だと国際通信社『ドイツ戦車軍団』中の1ゲームとして販売されている)とOCS『DAK2』を比較している。
地雷原、燃料、防御戦、航空戦力、砲兵の観点で比較している。
入門ゲームの『エル・アラメイン』と比較するのは違いが大きすぎて比較にならないのではないか、と最初は危惧したが、コントラストがはっきりしていてよくわかる。
p.30 『キャンペーン・フォー・ノースアフリカ』その伝説の全貌
プレイできないビッグ・ゲームと言われるSPI『キャンペーン・フォー・ノースアフリカ』(Campaign for North Africa)とOCSの『DAK2』の比較記事。
何と言っても圧巻なのは、SPI『キャンペーン・フォー・ノースアフリカ』とOCS『DAK2』のマップを見開きで比較しているページだ。凄い!!
ゲーム・システム、ルールやユニットの違いがよくわかる。
p.37 ライン川を越えろ!OCS『ビヨンド・ザ・ライン』ゲーム紹介
OCS初の西部戦線をテーマにしたゲームだそうだ。ノルマンディー上陸作戦やマーケットガーデン作戦やバルジの戦いをテーマにしたものがこれまでなかったのが意外だった。
1944年9月5日ターンから1945年4月29日ターンまでだから、パットンのメッツ攻略戦やマーケットガーデン作戦もバルジの戦いも含まれている、と思うと、お買い得な製品だ。
p.51 OCSミニシナリオ総覧
OCSにはなんと0.5ターンという練習向けシナリオがあるらしい。
そうなると、単なるビッグ・ゲームというより、昔、SPIが発売していた4個のゲームを1ボックスにしたクワドリゲームに近い、と考えることができる。そうするとなんだかお買い得感が出てきた。
p.60 OCSルソン誕生秘話
日本人ゲーマーが自作したものがシリーズに追加されて発売されることになる、とのこと。グローバル化した現代らしい協業だ。日本人としてなんだか嬉しい。
p.64 サンセットゲームズのサポートサービス
駒を紛失したら1個単位で購入できるとは驚いた。ゲーマーとしてはありがたいが、企業としてそれで元をとれるのだろうか?