Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン『SIMULATOR』第7号(1983/11/25)


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隔月刊の『SIMULATOR』誌。当時の価格で400円。全59ページ。
特集は二本立てで『戦術級ゲームの変遷』と『バトルレポート マーケットガーデン作戦』だ。

 

p.4 戦術級ゲームの変遷 浅野徹也

 

以下の戦術級ゲームがシステムの特徴とともに紹介されている。

AH『パンツァーブリッツ』(Panzer Blitz)、AH『パンツァーリーダー』(Panzer Leader)、AH『アラブ・イスラエル戦』(The Arab-Israeli Wars)の流れ。

 

プロット式のSPI『Kampf Panzer』、プロット式をやめたSPI『Panzer '44』、SPI『Mech War '77』、SPI『Panzer Battles』

 

日本の戦術級ゲームはEPC『装甲擲弾兵

 

AH『戦闘指揮官』(Squad Leader)は戦闘級にあたるとして、簡単に触れている。

 

p.9 バトルレポート マーケットガーデン作戦 中島春信

HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)の自由降下によるキャンペーンゲームのバトルレポートだ。

ヒストリカルに降下すると歴史を知ってるドイツ軍ゲーマーの勝利が確実だ。

だが自由に降下位置やタイミングを選べると連合軍にもチャンスがくる。

なかなか面白い展開になったバトルレポートだ。

 

p.15 ゲームデザイン講座 秘匿行動の可能性 鈴木銀一郎

前号は休載だったが今号で復活した。

秘匿行動に関するシステムについての解説だ。「つい立て方式には審判を」、「プロット方式は時間がかかる」、「ダミー方式も数の制限がある」、「ソロプレイを秘匿移動で」の4章だ。

秦郁彦教授が日本最初のウォーゲームをデザインしつい立て方式でプレイしたそうだが、そんなことがあったとは知らなかった。

 

秘匿移動についてはコンピュータを使わないと厳密には再現できないと思う。

 

p.20 SWG界へ、新しい試み アド・テクノス、ゲーム付書籍発表

アド・テクノスのゲーム付書籍について。これは個人的には衝撃的だった。

 

 

p.32 アメリカ小売商との、直接取引の仕方教えます② 中野雅晴

インターネットがなく、国際郵便しかない時代に海外からゲームを輸入するための方法をまとめている。

 

当時のハードルの高さがよく伝わってくる。

 

 

p.38 How to Win 近代戦に学ぶ戦略戦術 近代海戦に学ぶ戦略戦術 大平英樹

珊瑚海海戦の編成、経緯を、戦況図、AH『日米航空母艦の戦い』(Flat Top)の地図盤上の動きも合わせて解説していてわかりやすい。

 

当時の空母が電波を発信できなかったこと、それゆえに索敵機帰還のために空母の移動が制限されたこと、それらが空母戦ゲームには反映されていないこと、に驚いた。

商用ウォーゲームは、「シミュレイション」というより「ゲーム」であり、歴史の再現には限界があるものだ。とはいえ、「だからダメ」と決めつけず、そういう限界を知りつつ楽しめばいいとあらためて思う。

 

p.42 クロス・レヴュー

この号では藤川俊一氏からのEPC『スターリングラード』に対する疑問点に対してデザイナーの黒田幸弘氏と岡本和之氏が回答している。

藤川氏の疑問点は、次の4点。

1. ユニットの戦力、ステップ数が正確性不足

2. スタック制限なしというルールへの疑問

3. 「モスクワへの突破」欄への疑問

4. 作戦級ゲームに戦略級の要素を含めようとして発展途上の物になった

 

これに対する黒田氏からの回答は次のとおりだ。

1. 戦力の決め方。アントライドシステムゆえにユニット一つ一つではなく総戦力から戦力を決めた。ドイツ軍についてはプレイアビリティから一律の戦力とした。

2. 1個師団辺りの防衛線は西部戦線で8km。東部戦線では20kmを超えることもある。また史実ではスターリングラード包囲時のソ連軍は30ユニット相当以上で枢軸軍20個相当以上のユニットを包囲した。そこから本ゲームではスタック制限をなくした。

3. 歴史のifをどう取り込むか、プレイヤーがどの立場なのか、相手の手の内がわからないことをどうゲームにとりこむか、などをわかりやすく説明している。

 

ゲームにかけている時間がプレイヤーとデザイナーでは全然違うので、デザイナーの黒田氏の回答は明確で説得力がある。

 

p.59 よくでる作戦演習問題

今回は、EPC『ダンケルク』からの出題。

 

次号も楽しみだ。