Haruichiban0707のウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開したウォーゲーマーのノート。

英雄開発事業団『桶狭間戦棋』の紹介

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英雄開発事業団の『桶狭間戦棋』をボドゲーマから購入した。

デザイナーは九条まさはる氏だ。

 

添付されているデザイナーズノートがとてもいい!!

 

先人の研究を踏まえ、ご自身の考えをまとめていて、とても説得力があっていい内容だと思う。

九条まさはる氏は惜しげもなくWeb上に公開しているので読むことができる。興味ある方はぜひ読んでほしい。

 

デザイナーズノート「実験・桶狭間の戦い」:はじめに | 9Joeのらくがき帳

デザイナーズノート「実験・桶狭間の戦い」:第1章 各説の概要 | 9Joeのらくがき帳

デザイナーズノート「実験・桶狭間の戦い」:第2章 新見解 | 9Joeのらくがき帳

デザイナーズノート「実験・桶狭間の戦い」:第3章 実証実験 | 9Joeのらくがき帳

デザイナーズノート「実験・桶狭間の戦い」:さいごに | 9Joeのらくがき帳

 

帝国参謀本部の説、藤本正行氏の正面攻撃説、それぞれを要約し、問題点をあげている。

参謀本部説は、約2000名の織田信長悪天候をついた奇襲作戦で、4万5000の大軍を率いてきた今川義元を討ち取った、ということになっている。

九条まさはる氏はまず兵力数に着目している。

信長公記』が桶狭間合戦の年を、本来は永禄3年(1560)であるべきところを天文21年(1552)と誤記している点だ。尾張八郡のうち四郡を支配していたか七郡を支配していたかで動員できる兵力数が大きく変わってくる。もし四郡支配なら約5千人。定説は後者から兵力数を推定しているが、七郡支配していたら信長は約1万3千人を動員できたのだ。

1560年頃の尾張国の年貢を納めた帳簿のようなものが出てきたらこの点を証明できるだろう。あるいは下四郡以外の村から信長軍に参加した足軽の日記や動員命令のような書類が出てきたら実証できるだろう。そういうものが見つかるといいなぁ~。

 

一方、今川義元は駿遠三の三か国を支配していたが合計約70万石。1万石あたり250名動員すると約1万8千名。あれ?意外と少ない。しかし説得力がある。

こうなると、桶狭間合戦の様相がずいぶん変わってくる。

 

約20倍の今川軍を奇襲したのか、ほぼ同数の軍同士の戦いだったのか?

 

私は、参謀本部説のような特攻隊的な成算のない戦い方は信長らしくない、と思っていた。九条氏が言うように兵力数が同等だったら、信長が出陣したのはもっともだと思うし、今川義元を討ち取るという想定以上の戦果を上げた戦いだったと思う。

参謀本部説によって、日本陸軍は寡兵で迂回しての戦いをずいぶん実施したが、参謀本部説が間違いだったとすると、太田牛一の『信長公記』の誤記が、歴史に大きな影響を与えた誤記になったといえるだろう。

 

九条氏が疑問に思っているのは、松平元康(のちの徳川家康)が夜間に行った大高城への兵糧入れだ。これは私も疑問に思っていた。九条氏の答は新たに今川についた三河勢全軍を先鋒隊にした、というものだ。兵糧入れ説よりずっと説得力がある。

 

ここからはウォーゲームによる実証実験ということだ。

 

以下は本ゲームの概要だ。

 

【1】コンポーネント

ルール=11ページ

マップ=A4一枚

ユニット数=48 (織田軍12、今川軍19、マーカー17)

 

写真にあるようなケースに入っている。

マップはとても美しい。

惜しい点は、ターントラックのところに当時の時刻表記を入れてあるとよかった。

「行動済」マーカーももっと枚数がほしいが、これは自作したい。

 

【2】ゲーム・スケール

1ヘクス=約500m

1ターン=1刻(約2時間)

ターン数=9ターン

1ユニット=約1000名

 

【3】ゲーム手順

(1)織田軍行動フェイズ

(2)今川軍行動フェイズ

 

【4】行動フェイズ

スタック不可。

移動力は8。ただし今川義元は輿に乗っているため6。

織田軍は間道を利用できるが、今川軍は利用できない。

敵部隊に隣接していると移動禁止。

敵部隊に隣接すると停止しなければならない。

 

特徴的なのは、1ユニットずつ行動させることだ。

当時は通信手段が限られているため個々の部隊がそれぞれ別個に移動し連携とれないことをシミュレートしている。

行動は、移動と戦闘の2種類だが、どちらか一つの行動しかとれない。

つまり、移動して敵部隊に隣接したら、そのターンは攻撃できず、次ターンに攻撃できるのだ。これがこのゲームの肝の一つだ。

自軍行動フェイズの終了時に自軍ユニット上の「行動済」マーカーを取り除くことができる。

 

隣接している敵を攻撃してもしなくてもいいメイアタック。

戦闘結果表は戦闘比。

戦闘後前進は必ずしなければならない。これも本ゲームの肝の一つだ。

目の前の手柄を立てることに集中しすぎて前進しすぎて逆に包囲される可能性がある戦国時代の合戦の雰囲気をうまく表現していると思う。

戦闘は同一ユニットを複数回攻撃しても可。

戦闘結果で防御側退却が出ると、「行動済」マーカーを載せ、次ターンの自軍行動フェイズ後まで移動も戦闘もできなくなる。ここは『ドイツ戦車軍団』シリーズと同じルールだ。

 

織田軍は戦闘力や武将名が見えない裏面で登場する。戦闘後、表面にする。

 

天候ルールは選択ルールになっている。

 

以上がルールの概要だ。

次回は実際に本ゲームをソロ・プレイしてみる。