Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン『SIMULATOR』第13号(1984/11/25)

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隔月刊の『SIMULATOR』誌。当時の価格で400円。全67ページ。

p.19 なぜコンピュータなのか? 高田誠

 

この頃は、コンピュータを使ったウォーゲームの勃興期だからいろいろな使い方があった。

第一世代:ボードの補助システム

 SPIが実行しようとしたが、実現しなかった。

第二世代:セントラル・コンピュータ

 フライング・バッファロー社の試みだ。マルチプレイヤーズ・ゲームを、大型コンピュータを使ってプレイするようにしたものだ。通信回線が未発達だったため、データ送信は郵便だったそうだ。

第三世代:ボードからコンピュータへ

 SSI社(Strategic Simulation Inc.)が発売した『COMPUTER BISMARCK』のように、ボードをコンピュータ上にそのまま移行したようなゲームだ。

第四世代:コンピュータ独自のゲーム

 Sir-Tech社の『WIZARDRY』が代表例

 

コンピュータを使ったウォーゲームやRPGの古き良き時代を思い出す記事だ。

 

p.31 新企画1985年ゲーム界はどうなるか!?ゲーム放談

大貫昌幸氏、大野正史氏、鈴木銀一郎氏が語る1985年のウォーゲーム界についての感想や希望や提言だ。

この頃はヒストリカル・ウォーゲームのブームが一段落し、RPGやコンピュータ・ゲームが勃興してきた頃だ。

 

p.40 コンテストのゲームをみて 審査委員代表 黒田幸弘

p.43 シミュレイター オリジナルゲームコンテスト 第一回発表

'84 SIMULATORオリジナル・ゲーム・コンテストの審査状況だ。p.42を見ると、20作の応募があったようだ。

いくつか失格のゲームもあり、その理由も明記されている。

 

p.46 Observation Post 中野雅晴

SPI倒産後、どうなったか、海外の状況をまとめている。TSR社の近況。ダニガンがゲーム・デザインをしていないこと。そして、何と言っても、『戦闘指揮官』(Squad Leader)のデザイナーであるジョン・ヒルの近況が書いてある。彼はもともとイリノイ州ノーマルという町で、CONFLICT GAMES社を起こしたが、洪水被害で、商売を続けられなくなり、GDWに作品を売り渡し、BOYNTON & ASSOSIATESというゲーム問屋に就職しゲーム・デザインは副業だそうだ。そして南北戦争のアクチュアル・ウォーゲーム・ルールをデザインしたそうだ。

 

p.52 新作ゲームガイド「司政官」への反論 有坂純

SIMULATOR誌第12号に載ったTH『司政官』に対する反論だ。

第12号の批判は、主に次の3点で、有坂純氏がそれぞれに対して反論している。

①経済ポイント(EP)にかたより過ぎ 売上計算ゲームに近い

②暴動やテロ行為に対してVPがもたらされる理由がわからない

③司政官プレイヤーはまるでとってつけたような、プレイヤー間のバランス・オヴ・パワーを保つためだけに存在する

 

①戦略級ゲームでは当たり前

②「圧迫される者が、その圧力を払いのけようとする行いは自然なこと」と反論する。反乱軍に相当するプレイヤーは、デモやテロや反乱を起こして、独立するのが目的なのだから、暴動やテロ行為によるVP獲得は当たり前だろう。有坂氏はこの点について、アメリカ独立戦争セポイの反乱(最近はインド大反乱と呼ぶらしいが1984年だとセポイの反乱と呼んでいた)やインディアンを例に挙げて強い調子で反論している。

 

『司政官』はプレイしたことのないゲームだが、第12号の記事と有坂氏の記事を読み比べると、前者は感想の域を出ていないのに対し、有坂氏はきちんと論理立てて説明しているので、私は、有坂氏に軍配を上げる。

 

p.54 プレイヤーズ・ノート SPI不朽の名作!? 大山宏和 

ゲーム評論は難しい 金井昭典

SIMULATOR誌第12号に載ったSPIの西部戦線シリーズに対する意見や反論だ。

ゲーム評論は、コマーシャリズムに乗ってはいけないし、かといって一面的な見方で感想を述べるのもいけない。

プレイしないでゲーム評論を書くのは、商用雑誌としてはまずいだろう。

ゲーム評論の難しさがよくわかる。

 

次号も楽しみだ。