Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

ジェームズF・ダニガン 『ウォー・ゲーム・ハンドブック』(The Complete Wargames Handbook) ホビージャパン(1982/11/25)

amazon紙版

 


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1982年に出版されたときすぐに購入した本だ。

SPI社を作り、多数のウォーゲームを世に送り出したジェームズF・ダニガンの著作だ。

 

『1944年メッツ進撃作戦』(Drive On Metz)をベースに、ウォーゲームのプレイの仕方やデザイン手法や市場動向などをわかりやすく解説している。

 

第1章 ウォーゲームとは何か

実際に『1944年メッツ進撃作戦』(Drive On Metz)のプレイを詳しく解説しながらウォーゲームとは何かを解説している。

 

第2章 プレイのABC

ウォーゲームをプレイする際のコツをわかりやすく解説している。

ゲームの分析については、興味深かった。戦闘力と移動力を単純にかけ算してターン別の両軍の戦闘力を算出している。

野球でもセイバーメトリクスという手法で統計的な分析をしているが、ウォーゲームでも同様の分析をするのは、アメリカ人的な発想だと思う。

ただ、戦闘力と移動力をかけ算するだけではいかにせん単純化しすぎだと思う。

完封した投手とホームランを打った打者を同列にできないのと同じだ。

セイバーメトリクスでは、WARWins Above Replacement)といって、打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して、選手の貢献度を表す指標を作っているが、そのようなものを作らないといけないだろう。ただ、ゲームによって戦闘力や移動力の重みが異なるので、作るのは大変そうだが・・・。

 

第3章 コンピュータとウォーゲーム

この章は、現代の目で見ると、当時のコンピュータ能力ではこうだった、という歴史的意味しかない。

 

第4章 戦いの歴史

太古の昔から現代までの戦争の歴史とそれを扱ったゲームについて概要をまとめている。

 

第5章 ウォーゲームの歴史

ウォーゲームの歴史を簡単にまとめている。

 

第6章 ウォーゲーマーの実態

SPI社のアンケート結果をもとにして当時のアメリカのウォーゲーマーの実態をまとめている。

日本や最近ウォーゲーマーが増えている中国と比較してみると面白いだろう。

 

第7章 ゲームをデザインする(付『1944年メッツ進撃作戦』ルール)

10ステップに分けて、ゲームをデザインする過程を『1944年メッツ進撃作戦』(Drive On Metz)を使って、説明している。戦場で使われたマップにヘクスが重なりウォーゲームのマップに変わっていくところやユニットの数値を決めるところなどは興味深かった。

ディベロップメント(development)を「欠点の矯正」と訳しているのも印象的だ。

訳者の鈴木正一氏は相当考えたことだと思う。

 

 

さて、本書については、下記リンク先によると、1992年に第2版、2000年に第3版が出版されたそうだ。

legalalien.sakura.ne.jp

驚いたことに全文オンラインやPDFでダウンロードできるのだ!!

著作物をPDFで無料公開するとは、太っ腹というか何というか・・・。

日本とは考え方がずいぶん違うものだ。

英語だから世界中の人が読むので、PDFで無料配布しても一定数の読者が本も購入してそれなりにもとがとれるのだろう。

原書オンライン版

原書PDFダウンロード

本書が出版された後、コンピュータが急速に普及したので、その点でダニガンがどういう考えを持っていたか知りたいので、第2版や第3版を読んでみたい。

 

なお、Drive On Metzは下記リンク先からダウンロードできるようだ。

web.archive.org

https://web.archive.org/web/20131207060218/http://victorypointgames.com/details.php?prodId=61

 

 

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