Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

エキサイティングな展開! TAC051『星作戦』(Operation Star)バトル・レポート(AAR)第4弾


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『タクテクス』(TACTICS)誌第51号(1988/02)の付録ゲーム『星作戦』(Operation Star)をプレイしてみた。このゲームは、もともとは、SPI社『南方軍集団』(Four Battles of Army Group South)の4作中の1作だ。基本ルールとそれぞれのゲーム独自ルールがある。

 

スターリングラードで勝利したソ連軍による、1943年2月から3月にかけてのウクライナにおける冬季大反攻作戦を扱ったゲームだ。史実では、マンシュタインが、ハリコフを一旦、放棄し、ソ連軍の戦線が伸びきったところで、装甲部隊を集中して反撃した戦いだ。

 

ゲーム・スケールは、1ターン5日。1ヘクス10.5km。

 

SPI社の『パンツァーグルッペ・グデーリアン』(Panzergruppe Guderian)のルールを基本としている。

 

手順は、移動=>戦闘=>機械化移動だ。

ソ連軍の約半分は戦闘に参加するまで戦力がわからない未確認部隊がある。

スタックは3個まで。

ZOCに入ったら停止。ドイツ軍と防御態勢のソ連軍はZOCから離脱する際、2移動ポイント使用する。[22.0]。これは本ゲーム独自ルールだ。

装甲部隊は、移動や機械化移動中にオーバーラン攻撃ができる。

第8ターンからは、雪解けによって移動力が半減する。

 

勝利条件は、相手ユニットをステップロスさせることと、都市を占領することによる得られる勝利得点が多いこと。ソ連軍は地図盤端右から30戦力以上突破させると自動的勝利がある。

 

前回まで何らかのルール見落としがあったので、今回は最後までちゃんとルールを適用してプレイしてみたい。

 

【0】初期配置

今回は地図が北を向くように少し斜めに写真を撮ってみた。
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【1】第1ターン(1943/02/04)

ドイツ軍は戦線を整理するためにグロスドイッチュラント装甲師団、第2SS装甲師団、第7装甲師団を後退した。第1SS装甲師団は少し前進して薄い戦線を張った。


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ソ連軍は前進する。「ウラー!!」


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このターンの両軍の損害


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【2】第2ターン(1943/02/09)

ドイツ軍が薄い戦線を張って耐える。


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ソ連軍は全戦線で猛攻を仕掛ける。

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ソ連軍はドイツ軍を包囲したいが移動方向が西側3方向に限られているので難しい。

ドイツ軍栄光のグロスドイッチュランド自動車化歩兵師団が包囲されており苦しい。


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両軍のこのターンの損害状況



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【3】第3ターン(1943/02/14)

ドイツ軍はソ連軍の弱い部隊に反撃に出る。


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ドイツ軍第11装甲師団がソ連軍第4親衛戦車軍団にオーバーランをしかける。


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ソ連軍第4親衛戦車軍団が全滅した。


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ソ連軍が勢いにまかせて突進する。

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ソ連軍がドイツ軍の防衛線を分断した。

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このターンまでの両軍の損害状況


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【4】第4ターン(1943/02/19)

史実だとここからドイツ軍の反撃が始まる。

ドイツ軍はオーバーランを使ってソ連軍戦車旅団4個を全滅させた。
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ドイツ軍がソ連軍第1親衛軍の司令部と第6軍司令部を包囲した。


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ソ連軍はサドンデス勝利を目指して地図端Lを目指す。攻撃力32がL端のすぐそばまで近づいた。


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ソ連軍がハリコフの一角を解放した。
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このターンの両軍の損害状況


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【5】第5ターン(1943/02/24)

ドイツ軍はサドンデスを防ぐためにソ連軍第1親衛軍司令部の包囲を装甲師団は解き、歩兵師団に委ねる。


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ソ連軍第10、第18戦車軍団が壊滅した。

なんと20攻撃力分だ。

このターンのソ連軍のサドンデス勝利はなくなった。


ソ連軍はハリコフを包囲したがドイツ軍の抵抗力が強いので持久戦に入る。


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このターンまでの両軍の損害状況


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【6】第6ターン(1943/03/01)

ドイツ軍があちこちで反撃する。

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ソ連軍第6軍司令部が壊滅した。

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ソ連軍の攻勢が続く。

ハリコフの北にいるドイツ軍は断末魔の状況だ。


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ドイツ軍第17装甲師団が壊滅し、ソ連軍第1親衛軍司令部への補給路が貫通した。


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両軍の損害状況


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【7】第7ターン(1943/03/06)


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Popovの司令部が壊滅し、Popovは行方不明になった。
ドイツ軍はハリコフ北方のソ連軍を壊滅させ包囲環を解くことに成功した。


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ソ連軍が攻撃を続ける。


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ハリコフ北西でソ連軍は大損害を被った。第181R軍司令部も壊滅してしまった。


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両軍の損害状況


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【8】第8ターン(1943/03/11)

雪解けとともに道路が泥濘状態になった。

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ソ連軍がハリコフに攻勢をかけようとするがなかなかうまくいかない。

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両軍の損害状況


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ドイツ軍はハリコフとBelgord(1011)を死守している。

 

【9】第9ターン(1943/03/16)


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ソ連軍第3戦車軍司令部壊滅!

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ソ連軍にスターリンからの激しい攻撃命令だ。

「ウラーーー」

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両軍の損害状況


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両軍とも勢いがなくなってきた。

【10】第10ターン(1943/03/21)(最終ターン)

ドイツ軍はハリコフを守りきりそうだ。


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ソ連軍には最後の突撃命令が下された。「ウラー!!」

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ソ連軍は明らかに攻勢限界点に達していた。
ついに攻撃中止命令が出された。

ドイツ軍はハリコフとらBelgord(1011)を守りきった。


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両軍の損害状況


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ソ連軍はユニット数で78個、ドイツ軍は34個失った。



 

【11】勝利条件の確認

ソ連軍残存部隊


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ソ連軍の損害
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ドイツ軍の獲得VP

1

狙撃兵旅団5

自動車化狙撃兵旅団3

戦車旅団19

合計27VP

 

2

狙撃兵師団24

騎兵師団1

合計75VP

 

3

親衛狙撃兵師団2x6+1x5=17ステップロス

17x3=51VP

 

4

騎兵軍団2x2=4

戦車軍団2x6+1x3=15

自動車化歩兵軍団1x2=2

21ステップロスx3=63VP

 

5

司令部4x6=24VP

 

合計240VP

 

ドイツ軍残存部隊

ほとんどの装甲連隊、自動車化歩兵連隊が損害を受けている。


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ドイツ軍の損害


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1

歩兵2x4+1x21=8+21=29

 

2

装甲4x2+2x6=8+12=20

自動車化歩兵

4x9=36

2x11=22

20+36+22=78

 

都市の占領


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35VP

 

142VP

 

240-142=98

 

ポイント差が61点以上なので

 

ドイツ軍の戦略的勝利

【12】感想

エキサイティングな展開だった。

ソ連軍の敗因は、サドンデスを狙った部隊が壊滅した第5ターンだっただろう。

それまで優位に進めていたが、一気に互角になった。

 

Popov司令部が撃滅されたり、その後も司令部が狙い撃ちされたのがソ連軍の敗因の一つだ。

戦線に穴を開けて、突破をはかる作戦だったが、それが敗因だったと思う。

ソ連軍は進撃方向に制約があるので、敵陣を通り過ぎてしまい、迂回して戻って来られない。

戦線を維持しながら前進した方がいいと思った。

 

また、Belgord(1011)を死守して、そこにソ連軍を引きつけることができたのも大きかった。

その分、ハリコフに向かうソ連軍を吸収できたからだ。

 

ドイツ軍はかろうじてハリコフを死守できた。

しかし装甲部隊がかなり損害を受けたので、この年の春から夏にかけては戦力の充実を図らざるを得ないだろう。

クルスクの戦いは起こらなかったかもしれない。

 

このゲームは、戦おうとした時に判明するソ連軍ユニットの戦闘力が判明した時の喜びや落胆といったスリル、移動も戦闘も派手なエキサイティングな展開が楽しめ、何度もプレイしたくなる魅力がある傑作ゲームだ。

 

次は、同じシステムを使ったTAC043『コルスン包囲戦』(KORSUN)をプレイしてみたい。