Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

『コマンドマガジン』179号(2024/10/20)を読んでみた


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国際通信社の第179号はこちら

 

国際通信社の『コマンドマガジン』第179号を読んでみた。

付録ゲームは『冬戦争の切り札』(Talvisota)だ。

デザイナーは砂漠化のキタキツネ氏だ。

同氏デザインの切り札シリーズの第三作だそうだ。

前の二作は次のとおりだ。

 コマンドマガジン第132号『マンシュタインの切り札』

 コマンドマガジン第141号『ノルマンディーの切り札』

 

マップ1枚、ユニット数は124個と手頃なサイズだ。

ルールブックは8ページ。

カード32枚

第178号の修正カウンター16個と『決戦連合艦隊・改』の修正・追加カウンター18個もついている。

 

もくじは次のとおりだ。


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p.4 「冬戦争(タールヴィソタ)ーー氷点下の戦い」 大木毅

戦況図、戦闘序列があり、付録ゲームのヒストリカル・ノートとして冬戦争を理解しやすい。 ご自身もウォーゲーマーの大木毅氏ならではの、ウォーゲーマー向けに、わずか10ページで、過不足なくまとめた良記事だ。

本文が二段組みでフォントも大きくて読みやすい。

p.14 マンネルヘイムの憂鬱 『冬戦争』リプレイ三番勝負 文/岩永秀明

付録ゲームの『冬戦争』のゲーム紹介と大久保氏との三度にわたるリプレイをまとめた記事だ。

とてもわかりやすくて、画像も豊富で、プレイ意欲がかきたてられる!!

画像を見るとVASSALモジュールでプレイしたようだ。

そのうち公開されるのだろうか?

 

p.25 スオミの話をしよう ユニットよもやま物語(第143回) 文/生駒望人

GDWのエウロパシリーズが、今も続いていて、第二次世界大戦シリーズ(TSWW)と名を変えているとのこと。なんだかうれしかった。三谷幸喜氏の映画『スオミの話をしよう』とかけたタイトルがいい。

 

p.26 ゲームから本へ、本からゲームへ 第97回 冬戦争と『リンドグレーンの戦争日記』 桂令夫

長くつ下のピッピ』や『やかまし村の子どもたち』などで有名なアストリッド・リンドグレーンの日記が紹介されている。彼女はフィンランドではなくスウェーデン人だが、第二次世界大戦では、隣国ノルウェーフィンランドが戦場になったので、日記にも、その影響が出ている。この記事ではごくわずかな引用だが、第二次世界大戦時の北欧の状況が生々しく垣間見える。

 

p.28 Next Issue

次の180号の付録は『ゴラン』(Golan)だそうだ。かつて、SPI社から出て『タクテクス』誌33号の付録になったゲームと同一だろうか?

次号は180号ということは創刊30周年??

凄い!!

もっと大々的にイベントをやってもいいのになぁ

 

p.30 フランク・チャドウィックのゲーム(第五回)チャドウィックの戦術級ゲーム ボードとミニチュア 高梨俊一

GDWのフランク・チャドウィックがミニチュアゲームもデザインしていたとは知らなかった。

この記事は三段組みでフォントが小さい。

記事によって、段組やフォントサイズが異なっていたことに、今頃気づいた・・・

 

p.38 主計将校:東部戦線 文/宮永忠将

ホビージャパンライセンス生産している『主計将校:東部戦線』(Quartermaster General East Front)のゲーム紹介記事だ。

ゲームの魅力をわかりやすく伝えており、プレイしたくなってしまう。

記事の最後に、このゲームのタイトルについて、コメントしている。全ての物資を、いつどこにどのくらい送るか計画するのが主計将校で、彼等が戦争を支えている。しかし、日本だと、彼等が戦争指導に関わっていたという実感はない。作戦を考える参謀や、戦場で部下達に命令する大将は高く評価されるが、主計将校の評価は、確かに低いように思う。

「主計将校」以外の訳が見つからない、と書いているが、確かにそうだと思う。

 

p.48 決戦連合艦隊・改 追加シナリオ シナリオ制作/小林拓哉

ビスマルクプリンツ・オイゲン vs プリンス・オブ・ウェールズとレパルスの戦いを描いたシナリオだ。

プレイしてみるのが楽しみだ。

 

p.50 Age of Dogfight 文/宮永忠将

世界で初めて個空気が軍事使用されたのは、イタリア・トルコ戦争で1912年10月26日だった。このときトルコ人地上空でイタリア軍機が手榴弾を落としたのが最初だそうだ。

最初の空中戦は1913年のメキシコ内戦だった。互いに拳銃で撃ち合ったそうだ。

どちらも第一次世界大戦でなかったのかぁ・・・

 

第一次世界大戦で、航空機の技術的進歩により、戦闘機が開発され、ドッグファイトが始まる。

「空戦の父」と呼ばれるオズヴァルト・ベールケが空戦術規則を作る。

1)攻撃の前に我の優位を確保するよう努めよ。可能であれば、太陽を背にし続けよ

2)攻撃を開始したならば、常に完遂させよ。

3)敵機を近距離で、的確に照準器に捕らえたときのみ射撃せよ。

4)常に敵機を視界に捕らえ、決して敵の策略に乗せられてはならない。

5)どのような攻撃の態勢でも、敵機の後方から襲撃することが重要である。

6)敵が上空から降下攻撃を仕掛けてきたら、それを避けようとしてはならない。常に的に機首を向けよ。

7)敵の領空に侵入する際には、退路を確保することを忘れてはならない。

8)4機あるいは6機の編隊で攻撃せよ。単騎同士の交戦に入ったときには、2機で同じ敵機を攻撃しないように注意せよ。

 

原理原則を簡潔にまとめており、空戦ウォーゲームでもおそらくそのまま使えるのではないだろうか

 

やがて、戦闘機のエンジンが100馬力を超え、時速200kmを超えるようになると、ドッグファイトから一撃離脱戦術へ、変わっていった。

第一次世界大戦で既に一撃離脱戦術が登場していたのは驚きだ。

 

p.54 地中海戦史 第123回 2/17の結末 八木田和男

1942年6月のマルタ島に向かう輸送船団GM4船団を巡る戦いだ。

地中海での輸送船団を巡る戦いを読むと、先の大戦で日本軍が海上護衛を疎かにしていたことが残念でならない。

 

p.58 ウォーゲーム・メカニクス 第27回 ゲームの解析と考察 文/堀場亙

GMT『Bayonets & Tomahawk』の戦闘システムの紹介記事だ。

戦闘の勝敗と実損害が一致しない、独特なシステムとのことだ。

最初、何のことかよくわからなかったが、戦闘ルールについて、懇切丁寧な解説をしている。

そのおかげで、このゲームの戦闘システムがよくわかり、非対称の戦い向けのシステムであることがよく理解できた。

 

p.68 野獣げぇまぁ拡大版[第82回] ウォーゲーム実況の可能性 徳岡正肇

TRPGにゲーム実況があり、それなりに盛況なマーケットがあることを、私は初めて知った。

考えてみれば、囲碁や将棋やチェスは、観戦するしプロが解説してくれる。

それと同じことを他のゲームでもやっていても不思議はない。

本誌p.14のリプレイ記事のようなものを実況したら見てみたい。

 

実況者には、以下の三種類のスタイルがあるそうだ。

・説明者型:ゲームが好きな実況者

・タレント型:キャラクター性が強い実況者

・コラボ型:集団を重視する実況者

徳岡氏は、「ウォーゲーム実況に可能性があるか?」と問うている。

ウォーゲームの場合、観客がそのゲームの史実や背景やルールを把握しているか、というと、難しいと思う。「ルール(勝利条件)を伝えるというパートを最小化しつつ、かつ、自然言語で(=制作すべき動画コンテンツの文脈から外れずに)その部分を提供できる。こんなことが可能なアナログゲームはほとんど存在しない。」と徳岡氏が書いているがその通りだと思う。

 

そして、「「実況向けのウォーゲーム」は、可能なのだろうか?」と、徳岡氏は自問し、「とても苦しい」と自答している。

そして「本当に可能性がないのかということになると、まったく無理ということもないだろう、とは思う。(中略)「ゲームとしてのウォーゲーム」を画面に出さないと割り切れば、小さなチャンスはあるかもしれない。「十分なチャンス」とは言えないのが残念だが、ゼロではない・・・はずだ。きっと。」と結ぶ。

 

リプレイ記事が好きな私も「とても苦しい」が「小さなチャンスはあるかもしれない」と思う。思うのだが、その形がどうあると需要があるか、というと答はない。