Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

『コマンドマガジン』175号(2024/2/20)を読んでみた

Amazon Kindle版はこちら

 

国際通信社のコマンドマガジン第175号はこちら


f:id:Haruichiban0707:20240224162356j:image

 

国際通信社の『コマンドマガジン』第175号を読んでみた。

付録ゲームは『諸国民の戦い』(The Encirclement at Leipzig, 16-19 October 1813)だ。

もともとはSPI『Napoleon At War』の4ゲームのうちの1つだ。

これで4ゲーム全てが揃ったことになる。

他の3作品は以下のリンクを参照。

haruichiban0707.hatenablog.com

haruichiban0707.hatenablog.com

haruichiban0707.hatenablog.com

 

 

目次は次の通り



f:id:Haruichiban0707:20240224162454j:image

 

p.4 歴史ノート ライプツィヒの戦い 文/宮永忠将

 

ナポレオンがイギリスと敵対していたが海軍がないためイギリスを屈服させることができない。フランスは財政難に陥っていたが、増税や国債発行で補う気がないナポレオンは「戦争を戦争で賄う」ためにロシア遠征を始めた。ロシアは焦土戦術によりモスクワまで後退しモスクワまで放火し燃やしてしまった。フランス軍は冬将軍や補給切れによって後退し、潰走した。

スウェーデンやプロイセンやオーストリアがフランスに反旗を翻し主にドイツを戦場にして戦いが始まり、ライプツィヒの戦いに至った。

兵力数では連合軍が有利だった。そして激しい戦いの末、ナポレオンは敗北し戦場を脱出した。そして戦場はフランスに移りナポレオンは退位しエルバ島に流された。

 

[感想]

ナポレオンのロシア遠征の経緯からライプツィヒの戦いとその後について簡潔にとてもわかりやすくまとめてある。

 

p.10 NAWを始める人のための『諸国民の戦い』チュートリアル 文/コマンドマガジン編集部

付録ゲーム『諸国民の戦い』を使ってNAWシリーズの特徴やプレイ例を解説した記事。

『諸国民の戦い』と他の3作との違いは次の3点だ。

  1. 砲兵が登場しない
  2. 士気の存在
  3. シナリオが3個ある

戦闘例が9枚の写真付きで解説している。

 

デザイナーのエドワード・カーラン(Edward Curran)によるデザイナーズ・ノートやプレイノートがついている。

フランス軍プレイヤーは、中央陣地の有利性、強いフランス軍、選択した目標ヘクスに対して大きな戦力を集中できることが、有利な点だ。

連合軍は粘り強く戦うことが重要で、エルスター川西岸には戦力を割かないことが重要だ。

 

[感想]

戦闘例が写真付きで付いていてわかりやすい。

私の最初のソロプレイから見るとこのプレイノートの記述は少し意外な気がした。

 

 

p.18 ゲームから本へ、本からゲームへ 第93回ライプツィヒの戦いと『天の涯まで』桂令夫

池田理代子『天の涯まで』『エロイカ』が同時期に描かれ、共通のキャラクターが登場する。ポーランド最後の王スタニスワフ二世の甥ポニャトフスキはナポレオンの指揮下に入りライプツィヒの戦いで殿をつとめ水死した。

 

[感想]ライプツィヒの戦いを扱った漫画があったのは意外だった。

 

p.20 もう一つの頭脳ーグナイゼナウ小伝 大木毅

[感想]

グナイゼナウとシャルンホルストはドイツ海軍の戦艦として知っていたが、当人については知らなかった。

 

p.22 Next Issue ヒトラー暗殺計画

次号は、中嶋学『ヒトラー暗殺計画』だ。

[感想]

私はこのゲームの存在すら知らなかった。オリジナルマップの画像が載っているが、少数のエリアしかないマップだ。どんなゲームシステムなのだろう?

 

p. 24 新シミュレーションゲーム批判序説 フランク・チャドウィックとGDWのヨーロッパシリーズ 高梨俊一

GDWのヨーロッパシリーズの紹介記事だ。

[感想]

ロゴをよく見ると、Europe Series(ヨーロッパシリーズ)ではなくEuropa Series(エウロパシリーズ)なのだ!!

IV『ナルビク強襲』(Narvik)が、ゲームスケールやゲームシステムが異なる、全く別物であることに驚いた。高梨氏が「デザイナーは相当悩んだと思う。」と書いているが私もそう思う。ゲームシステムが異なればシリーズとは言えない、と言い出す人が出てくるだろうからだ。この決断について「シリーズを全体の連結性にこだわらずに、ヨーロッパ戦線の作戦を全部やるシリーズと割切って個別ゲームをつくるという決断は評価すべきだろう。」と高梨氏が書いているが、本当にそうだと思う。

 

p.36 GMT THE LAST HUNDRED YARDS Volume4 The Russian Front 諸岡幸治

1ヘクス50ヤード、分隊規模。臨機射撃を簡略化し、小火器と車両による攻撃を統一ルールにしている。

マップに細かい等高線が入りLOSが細かいこととイニシアティブが重要な要素になっている。

[感想]

Squad LeaderシリーズやAdvanced Squad Leader(ASL)シリーズがあるから陸戦戦術級ゲームはもういいや、と思っていたが、この記事は、The Last Hundred Yardsシリーズの良さがよくわかる。

 

p.40 第一次世界大戦航空機列伝 その15 Aviatik DFW C.V 文/宮永忠将 イラスト/伴義之

ベルンハルト・マイヤーとDFW C.Vについての記事だ。

[感想]

どんな業界でもそうだが、草創期にはいろいろと面白い人が登場する。今回もそんな一人だ。

 

p.48 地中海戦史 第118回 トブルクの危機 八木田和男

[感想]

この連載は面白いので最初から読みたいのだが、単行本化してくれないだろうか

 

p.52 ウォーゲーム・メカニクス 第23回 活性化(2) 文/堀場亙

今回は活性化の2回目だ。行動順の無作為決定、応用編について解説している。

(2024/02/28追記)

私はこの「活性化」というルールが嫌いだった。動かしたいユニットを自由に動かせない理由がわからなかった。だが、堀場氏のここ2回の連載を読んでいて、活性化ルールが戦場をうまく表現しているルールだと思うように変わった。戦場では動かしたい部隊が言うことを聞かず動かなかったり、動かそうと思っていない部隊が予想外の場所に動いてしまったりする。それを表現しているのが活性化ルールなのだろう。そう思うことで活性化ルールを見る目が変わってきて面白くなってきた。

 

p.58 開発者のためのゲーム 野獣げぇまぁ拡大版[第78回]徳岡正肇

コンピュータゲーム制作の現場ではウォーゲームのデザイン技法はロストテクノロジー化が進んでいる。開発者の初心者にプレイしてもらうには、ヘクス形式では『ドイツ戦車軍団』がいいが、ポイント・トゥ・ポイントやカード・ドリブンだったらどれがいいかわからない。

[感想]

ロストテクノロジー化が進んでいる、というのは驚いた。

確かにJavaしか知らないプログラマーにはC言語やCOBOLはロストテクノロジーだから、どんな産業でもそうなるのだろう。

「ゲーム制作」が日本の4年制大学ですら講座や学科として広がりつつある」ことにも驚いた。

 

p.64 編集部便り@不定期 文/コマンドマガジン編集部(くらはし)

コマンドマガジン値上げ

ゲームマーケットへの出店

新作予定

 『決戦連合艦隊』『装甲擲弾兵・東部戦線』など

[感想]

編集部からの今後の予定などについてこういうスペースをとっているのはいいことだと思う。p.66によるとじんぼ氏からくらはし氏に担当が変わったらしい。

それはp.64で大々的に書くべきだ、と思った。

 

付録ゲーム『諸国民の戦い』(The Battle of NATIONS)

オリジナルのシルエット版ユニットとイラスト版ユニットの二種類がついている。

ルールブックではこれまでのエラッタやわかりにくかった点を修正してとてもわかりやすくしている。

本ゲームで使わない砲兵ルールは網掛けしており区別している。

 

[感想]

NAWシリーズ最後を飾るだけあっていい修正が加わっている。

一点どう使えばいいのか不明だったのが、ユニットに付属していた「Kaiju」退治に命をかけてユニットだ。このゲームを入手しようと思ったらどうしたらいいのだろう?

 

とはいえ次回も楽しみだ。