Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

英第30軍団の作戦研究 HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)


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HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)における英第30軍団の作戦研究だ。

 

 

 

このゲームの特徴は戦闘結果表だ。多くの戦闘結果表だと、戦力比をいくつにするとどのくらいの割合で相手を壊滅させたり後退させたり自軍の損害がどのくらい出るか計算できる。

そのため「あと3戦力持ってくると戦闘比が○になって勝てる。近くに3戦力のユニットないかな」というゲーム的な動きが起こる。

しかし、このゲームの戦闘結果表はパッと計算できない。

どのくらいの戦力を集めればいいのかパッとわからない。

戦闘比とサイコロの目と地形効果レベルの3次元で構成されているからだ。

 

シナリオ5「第30軍団の突破」のドイツ軍の初期配置でイギリス軍が第1ターンに隣接できるヘクスについて、突破するにはどうしたらいいか、ということで研究してみる。

 

【1】地形効果レベル

まず地形効果レベルを算定する。

0511 町(2)+運河橋(2)=4

0406,0513 平坦地(1 )+運河橋(2)=3

0609 Brokenや森(2)

0507 平坦地(1)

 

【2】防御力

それぞれのヘクスに配置されているドイツ軍ユニットの防御力は次のとおり。

0511 3

0406,0513 3

0609 3

0507 1

 

【3】50%以上の確率でドイツ軍に損害が出る戦闘比

戦闘結果表でDnとEXが出て何らかの損害が出る確率が50%を超える戦闘比を調べた。

 

0511 6-1

0406,0513 5-1

0609 4-1

0507 3-1

 

【4】イギリス軍に必要な攻撃力

【3】の戦闘比を作るのに必要なイギリス軍の攻撃力を計算した。

一番左の数字が単純な戦闘比。

中央の数字が第1ターンの奇襲効果によるコラムシフトを考慮したもの。つまり1コラムシフト分、攻撃力が減っている。

一番右の数字が航空支援1ポイントを考慮したものだ。

 

0511 18-15-12

0406,0513 15-12-9

0609 16-12-8

0507 3-2-1

 

【5】理想的な攻撃

ここから過不足なく最大の効果が得られそうな攻撃力配分をしてみたのが下の写真だ。


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0511 8+3+3+2=16 ただし攻撃力3の2部隊は非機械化状態とする。

0406 8+4=12

0513 8+2=10→10+砲兵の攻撃支援5=15

0609 8+8=16

0507 3

 

写真の一番下にある3部隊は余剰になる。

 

EXが出たときの損害担当部隊として、またさらに戦闘比を上げて有利にするためにどこかにスタックするといいだろう。

 

下の写真のようにしてみた。


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砲兵は0406を攻撃支援する。

 

0511 8+3+3+2=16 ただし攻撃力3の2部隊は非機械化状態とする。

0406 8+4=12→12+砲兵の攻撃支援5=17

0513 8+2=10→10+砲兵の攻撃支援5=15 航空支援1ポイント

0609 8+8+3=19

0507 3+2=5

 

【6】検証1

0511 16-3→5-1→奇襲効果6-1

 サイコロ8,9,10で戦果なし

 サイコロ11で両軍1戦力段階損失

 サイコロ12でイギリス軍のみ1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失

 

0406 17-3→5-1→奇襲効果6-1

 サイコロ9,10で戦果なし

 サイコロ11で両軍1戦力段階損失

 サイコロ12でイギリス軍のみ1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失

 

0513 15-3→5-1→奇襲効果と航空支援1ポイント7-1

 サイコロ10で戦果なし

 サイコロ11で両軍1戦力段階損失

 サイコロ12でイギリス軍1戦力段階損失 ドイツ軍1ヘクス後退か1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失

 

0609 19-4→4-1→奇襲効果5-1

 サイコロ9,10で戦果なし

 サイコロ11で両軍1戦力段階損失

 サイコロ12でイギリス軍のみ1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失

 

0507 5-1→奇襲効果6-1

 サイコロ10で戦果なし

 サイコロ11で両軍1戦力段階損失

 サイコロ12でイギリス軍のみ1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失 0507を守る6 Penaltyは戦力段階が1なので除去されてイギリス軍は2ヘクス戦闘後前進できる。

 

一番確率が高い状況が下の写真になる。
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【7】検証2

【6】検証1だと全戦線に渡って攻勢をかけているがもっと強弱をつけたい。

0406と0609に重点を置いたのが下の写真になる。


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0511 12-3→4-1→奇襲効果5-1

 サイコロ7,8,9,10で戦果なし

 サイコロ11で両軍1戦力段階損失

 サイコロ12でイギリス軍のみ1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失

 

0406 16+砲兵の攻撃支援5=21→21-3→7-1→奇襲効果と航空支援9-1

 サイコロ2で3戦力段階損失+ドイツ軍1ヘクス後退か1戦力段階損失のため4ヘクス戦闘後前進できる。

 サイコロ3で2戦力段階損失+ドイツ軍1ヘクス後退か1戦力段階損失のため3ヘクス戦闘後前進できる。

 サイコロ4で1戦力段階損失+ドイツ軍1ヘクス後退か1戦力段階損失のため2ヘクス戦闘後前進できる。

 サイコロ12でイギリス軍1戦力段階損失ドイツ軍1ヘクス後退か1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失

 

0513 2-3→1-2なので攻撃しない。

 

0609 27+砲兵の攻撃支援5=32→32-4→8-1→奇襲効果と航空支援で10-1

 サイコロ2から4でドイツ軍3戦力段階損失1ヘクス後退1戦力段階損失のため4ヘクス戦闘後前進可能

 サイコロ12でイギリス軍1戦力段階損失ドイツ軍 1ヘクス後退1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失

 

0507 5-1→奇襲効果6-1

 サイコロ10で戦果なし

 サイコロ11で両軍1戦力段階損失

 サイコロ12でイギリス軍のみ1戦力段階損失

 その他 1ヘクス後退1戦力段階損失 0507を守る6 Penaltyは戦力段階が1なので除去されてイギリス軍は2ヘクス戦闘後前進できる。

イギリス軍にとって最高の結果が出たときの状況が下の写真になる。


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このゲームのデザイナーの石川輝氏が『タクテクス』第14号(1984/03/01)の「橋は遠すぎない!〈HJ〉"マーケットガーデン作戦"コンメンタール」で石川輝氏は、次の①から⑤の作戦を提示している。

①軍団全力で1級道路を主攻軸とする

②1級道路を進むが両脇のドイツ軍に対して警戒部隊を置く。

③主攻軸を1級道路、左翼の2級道路の二本で攻撃する。

④主攻軸を1級道路、右翼の2級道路の二本で攻撃する。

⑤中央の1級道路には若干の部隊を残し左右の2級道路を主攻軸とする。

 

上の検証から右翼より左翼の方が攻めやすいということがわかった。

とはいえ、戦闘結果は運の要素もあるので、戦い方は、まだまだいろいろな工夫ができる。