このシナリオは、アメリカ軍第82空挺師団の戦域の戦いを再現したショートシナリオだ。
このゲームのデザイナーの石川輝氏が『タクテクス』第14号(1984/03/01)の「橋は遠すぎない!〈HJ〉"マーケットガーデン作戦"コンメンタール」で詳細な作戦研究をしている。今回その記事を元に取り得る作戦を研究してみた。
- ■初期配置
- ■第1ターン(1944/09/17 PM)
- ■第2ターン(1944/09/17 夜間)
- ■第3ターン(1944/09/18 AM)
- ■第4ターン(1944/09/18 PM)(最終ターン)
- ■感想
■初期配置
ドイツ軍はわずか4部隊。攻撃力3防御力5
第1ターン6部隊攻撃力13防御力14
第2ターン8部隊攻撃力18防御力20
第3ターン11部隊攻撃力26防御力28
対するアメリカ軍第82空挺師団
第1ターン11部隊攻撃力21防御力31
第4ターン15部隊攻撃力31防御力39
アメリカ軍の勝利条件は次のとおり。
①フラーフェ橋(4811-4911)とフラーフェ(4711)の占領
②マース・ワール運河にかかる5個の橋のうち1個の確保
③ナイメーヘン橋(5914)とナイメーヘンの合計8ヘクスの占領
④空中補給点の保持
①については第504空挺連隊の2個大隊を向かわせる。第2ターン以後補給切れになるので第1ターンにフラーフェを確保したい。
4-1→奇襲効果5-1なので58.3%の確率で壊滅できる。
②については、504連隊の1個大隊でマルデン橋(5115)経由ユメン(5017)からモーレンホック橋(5117)を狙う。5320から505連隊の1個大隊をモーレンホック(5117)に向かわせる。
4-1→奇襲効果5-1なので58.3%の確率で壊滅できる。後退不可能にすれば72.2%の確率で壊滅できる。
③④については、第508連隊を何部隊ナイメーヘンに送り、何部隊で空中補給点を守るか決断に迫られる。今回は2部隊をナイメーヘンに送ることにする。また対戦車砲部隊と砲兵隊もナイメーヘンに送る。
その場合、4-1→奇襲効果5-1だがナイメーヘンは都市なので地形効果レベルが5のため、損害なしが75%。ステップロスで壊滅できる確率はわずか8.3%、後退させるのも8.3%だ。第2ターンには砲兵隊の支援ができるようになる。
■第1ターン(1944/09/17 PM)
アメリカ軍第82空挺師団の降下成功
5115-5216の橋爆破失敗
5017-5117の橋爆破失敗
5014 5-1 サイコロ7 戦果なし
5117 3-1 サイコロ6 D2 1ヘクス後退不可能なためMolenhock対空砲部隊壊滅壊滅
4711 5-1 サイコロ6 D4 フラーフェ対空砲部隊壊滅!!
フラーフェ(4711)占領。
ドイツ軍はナイメーヘン防衛と空中補給点占領を目指して前進する。
■第2ターン(1944/09/17 夜間)
アメリカ軍は第1ターンにナイメーヘンを確保できなかったのでドイツ軍第9SS装甲師団第9装甲偵察大隊の援軍到着後はナイメーヘン占領は可能性が低い。移動力の関係で第1ターンにナイメーヘン守備隊を攻撃できるのは第508連隊の2個大隊だけなのでナイメーヘン占領の可能性は16.6%しかない。
フラーフェを占領した部隊が空中補給点から10ヘクス以上離れているため非補給下になるのがアメリカ軍としては痛い。
5914をアメリカ軍が占領し第9SS装甲偵察大隊が5914に登場できない場合、どうするのだろうか?この部隊はアルンヘムの北から来るので地図盤Iの6014に到着するのが妥当だろう。
ナイメーヘンの5914は11-6つまり1-1。ドイツ軍の損害は0%。EXが5.6%。36.1%の確率でアメリカ軍が戦力段階損失だ。
分が悪い。
ドイツ軍は空中補給点に攻撃だ。
10-6→1-1
ドイツ軍の戦力段階損失は36.1%、後退は16.7%、EXは5.6%、アメリカ軍後退8.3%、戦力段階損失8.3%、両軍損害なしが25%だ。空中補給点なのでアメリカ軍は後退しないだろうから戦力段階損失は16.6%といえる。
5520 サイコロの目10 A1(1)
ドイツ軍戦力段階損失して1ヘクス後退。
第406保安連隊I壊滅。
■第3ターン(1944/09/18 AM)
アメリカ軍はナイメーヘンの戦力比を高めたいが移動力が届かない。
ドイツ軍は5720を攻撃する。
17-(3+2)→3-1
ドイツ軍戦力段階損失は11.1%、後退11.1%、EX5.6%、損害なし13.9%、アメリカ軍後退や戦力段階損失58.4%だ。
サイコロの目6 D2 1戦力段階損失+1ヘクス後退
■第4ターン(1944/09/18 PM)(最終ターン)
アメリカ軍の増援降下成功
アメリカ軍はナイメーヘンに砲兵の攻撃支援をしたいが射程が届かない。
仕方ないので空中補給点の守備に全増援を向ける。
ナイメーヘンは13-6→2-1で攻撃する・・・ドイツ軍の損害の可能性は0%だ。EX 5.6%だ。
5621 15-6→2-1はアメリカ軍の後退の可能性が13.9%もあるので攻撃しないで防御に徹する。
ドイツ軍は空中補給点を狙うが、12-6に砲兵の防御支援が加わると12-12→1-1
ドイツ軍はナイメーヘン確保して勝利確定なので無理しない。
ドイツ軍の勝利だ。
■感想
このシナリオはアメリカ軍には選択肢が少なく、勝利の可能性がきわめて低いと思う。
第1ターンにナイメーヘン守備隊を壊滅できるか、16.6%のサイコロにかかっている。
あと1ヘクス足りなくて届かなかったり、あと1戦力足りなくて勝利条件を満たす攻撃ができないことが多い。
ターン数を5か6に増やすと、第4ターンの増援砲兵をナイメーヘンに向けられるので状況が変わってくる。
そうすると22-6→3-1となり、アメリカ軍戦力段階損失11.1%、EX5.6%、両軍損害なし80.6%、ドイツ軍後退2.8%だ。
これでも確率はかなり低いがアメリカ軍に勝機が出てくる。
ゲームバランスをとるにはそのくらいが丁度いいとは思う。
史実だとナイメーヘン橋を、第82空挺師団と第30軍団が共同で確保したのは9/20なので、このゲームのターン番号でいうと、第9から11ターンになる。
4ターンでは短かすぎる。
とはいえ9ターンまでプレイすると増援に第30軍団が必要だ。
これ以降はナイメーヘン(5914)と空中補給点(5620)を巡ってサイコロ振るだけになるから面白味がないからこれでいいのかもしれない。