Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

アバロン・ヒル『激闘マジノ線』(France 1940)の思い出

 最初に買ったシミュレーション・ゲームは、『タクテクスⅡ』(TACTICSII)だった。二個目に買ったのが、このゲーム、アバロンヒルの『激闘マジノ線』(Fracne 1940)だった。初めて買ったヘクスを使ったゲームだった。

 一度手放したが、もう一度プレイしてみたいと思って入手した。日本語タイトルは、『激突!マジノ線』だと記憶していたが、ホビージャパン発行ルールブックのタイトルを、今見ると、『激闘マジノ戦』だ。『タクテクス』誌第2号の広告では『激闘マジノ線』で『タクテクス』誌第19号では『激突マジノ線』と書いてある。どっちでもいいけどどっちなんだろう?

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『激闘マジノ線』(France 1940)のコンポーネント

 ポスト・ホビーの店頭に並んでいるゲームとパンフレットや『ホビー・ジャパン』の広告を見ながら、難易度が高くないものを選んだ。当時はボックスアートの将軍の横顔がロンメルだと知らなかったし、日本語タイトルの「マジノ線」が何なのかも知らなかった。フランスが1940年のドイツ軍の攻撃でわずかな期間で降伏したのも知らなかった。プラモデルを作ったことがあったので、ボックスアート右下のⅡ号戦車と、左上のJu87スツーカを知っていたくらいだ。Ⅱ号戦車は、初めて作った戦車のプラモデルだったのでこのボックスアートを見た時、とても親近感があった。

 ルールは、シンプルで、移動=>戦闘=>機械化移動を繰り返すものだ。空軍による地上支援や敵基地への空襲などもシミュレートされている。空挺部隊による降下もある。後年、機械化移動の元祖がこのゲームであり、画期的なことだったことを知った。

 要塞もそれらしく盤上に印刷されている。エバン・エマール要塞は重要拠点なので空挺部隊で確実に落とさないといけない。日本語タイトルの「マジノ線」が要塞であり、防御力が強いことがわかった。しかし、要塞は迂回されてしまうとそこにいる兵力が遊んでしまい役に立たなくなることも、ウォー・ゲームだからこそよく理解できた。「主役は機甲部隊でありマジノ線でないのに、なんでこの日本語タイトルつけたのだろう?」と不思議に思った。

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マジノ線

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エバン・エマール要塞は重要拠点


 戦闘序列(Order of Battles)が、ドイツ軍6種類、連合軍11種類あり、組み合わせると66個のシナリオがついているのも魅力だ。戦闘序列にはそれぞれ特色が書いてある。例えば「マジノ線に投じた予算を戦車や空軍に使った」「ドイツ軍がデンマークノルウェーに侵攻しなかった場合」などだ。当時自力で訳そうとしたが、あまりよくわからず、かろうじてマジノ線が必要かどうかだけ理解した。戦闘序列の翻訳は『タクテクス』誌にも載らなかったと思う。どこかに転がってないかなぁ・・・。Google先生に翻訳してもらおうか。

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戦闘序列のカード

  このゲームで「一番凄いなぁ~」と思ったのが、下の『デザイナーズ・ノートとキャンペーン分析』(Designer's Notes and Campaign Analysis)だ。何とか翻訳しようと試みたが当時の英語力では難しかった。それでも当時使っていた研究社『新英和中辞典』の受験用の単語より、戦争や兵器に関する単語ばかり赤線が引いてあった。後に『タクテクス』(TACTICS)第19号(1985/01号)に翻訳記事が載ったのはとても嬉しかった。自分が訳してみたところがほぼ同じ意味だったのもさらに嬉しかった。

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充実のデザイナーズ・ノートとキャンペーン分析

  かろうじて表だけ理解できた。自力で翻訳しているときにMortarsが迫撃砲を指すのをこのとき知った。これで見ると連合軍の方が戦力大きかったのだ。

なのにあんなに惨敗したのだ。これには当時かなり驚いた。

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連合軍の方が戦力あったのは驚いた

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戦車のスペック比較表

 戦車のスペック表は、後に『戦闘指揮官』(Squad Leader)シリーズを購入したときに、ユニットでよく確認したものだ。

 また「Historical Situation Map」という一枚物が入っていて、史実では、ゲームの地図盤にどう配置し、どう進撃していったのかがわかる一枚物の史料も入っていた。これがとても勉強になった。後にサンケイブックスの『パリ陥落—ダンケルクへの敗走』を読んだが、理解がとても深まった。

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Historical Situation Map これがとても勉強になった

 このゲームのおかげでドイツ軍のフランス侵攻には今でも興味がある。他にもいろいろと同じテーマのゲームがあるがついつい手を出したくなるテーマだ。このゲームは、シミュレーション・ゲームに本当にはまったきっかけになった思い出深いゲームだ。