HJ『フリート・バトルズ』(Fleet Battles)は、『大日本帝国海軍』(IJN)の拡張版だ。
登場艦船やシナリオが増え、たとえばサマール島沖海戦シナリオができるようになっている。
『大日本帝国海軍』(IJN)では、雷撃すると即サイコロを振って結果を出していが、『フリート・バトルズ』(Fleet Battles)では、雷撃戦ルールが拡張され、魚雷が実際に走る。魚雷ユニットはなく、紙に座標と方向を記載し、隠密移動させる。
前回、『大日本帝国海軍』(IJN)で大和以下の艦隊が沖縄に突っ込んだが、あっさり大和が沈められてしまった。同じシナリオを『フリート・バトルズ』(Fleet Battles)でプレイしてみた。
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初期配置
第1ターン
矢矧と冬月の砲撃でフレッチャー1に1発命中。
第2ターン
矢矧、冬月、涼月、雪風、磯風、浜風がフレッチャー1を砲撃したが、水柱が上がるばかりで命中弾なし。
大和はフレッチャー2を砲撃した。水柱に包まれたが、水柱の中から出てきたフレッチャー2は無傷のようだ。ゲームではどれだけの損害を与えたかわかるが、本来だったら防御側がどんな損害を受けたか攻撃側はわからないはずだ。そこまでシミュレートするのは、中立の立場のレフェリーがいないと難しい。
日本軍必殺の酸素魚雷が米軍艦隊に向かって進んでいる。米軍は気づいていない。
魚雷マーカーはAH『サブマリン』(Submarine)のもの。
『フリート・バトルズ』(Fleet Battles)では魚雷マーカーは使わないので本来は以下の写真のとおり。
日本軍がフレッチャーに砲撃するが水柱が上がるばかりで外れる。
大和の砲撃がフレッチャー3の周りに水柱を上げるが命中弾なし。
米軍も反撃を開始するが命中弾なし。
魚雷はこうなっている。
第3ターン
朝霜にアイオワとアストリアの砲弾が魚雷発射管に命中し、火災発生!
グアムとバルチモアの砲撃が霞に命中。
アラスカ、クィンシーの砲撃が初霜に命中。
フレッチャー3,4の砲撃が浜風に命中。
大和がアイオワに距離25000mで砲撃。巨大な水柱がアイオワを包む!砲弾が命中した火柱が上がった!
矢矧の砲弾がフレッチャー1に命中。主砲が吹き飛んだ。
霞の砲撃がフレッチャー5に命中。
フレッチャー1に魚雷命中。沈没!!
フレッチャー2に3本魚雷命中し轟沈!!
フレッチャー3に魚雷命中したが不発。さらに次の魚雷が命中し轟沈!!
フレッチャー4に魚雷命中したが不発。次の魚雷が命中!
矢矧の砲撃がフレッチャー1に命中。
大和の砲撃がアイオワに命中!主砲塔を貫通した。操舵室を破壊し火災発生。
フレッチャー7の砲撃が初霜の操舵室に命中し火災発生。
グアム、アラスカ、アイオワの砲撃が大和を包むが大和に損害なし。
バルチモア、クインシーの砲撃が磯風に命中。
ビンセンス、アストリアの砲撃が浜風を包むが命中なし。
バルチモアに魚雷命中し航行不能に。
クインシーに二本魚雷命中。
ビンセンスに魚雷命中し航行不能に。火災発生。
第4ターン
バルチモアとクインシーの砲撃が霞に命中。
磯風にフレッチャー4の砲撃が命中。
大和の砲撃がアイオワに命中。
フレッチャー4に矢矧と涼月の砲撃が命中。
米軍の保護水準が0になった。この時点でゲームの勝利条件としては、日本軍の勝利だが、このまま継続する。
大和の砲撃がアイオワに命中。砲撃が沈黙した。
矢矧の砲撃でフレッチャー4沈没。
バルチモアとクインシーの砲撃で矢矧に1発命中。
初霜にフレッチャー5,6の砲撃が命中。火災発生。攻撃力を完全に失った。
フレッチャー7,8の砲撃が朝霜に命中。
第5ターン
グアム、アラスカの砲撃が矢矧に命中。矢矧の弾薬庫に貫通し轟沈!!
バルチモアの砲撃が朝霜に命中。朝霜が沈黙した。
クインシーの砲撃で朝霜沈没。
アストリアの砲撃が冬月をとらえた!冬月の電路切断!
大和の砲撃でアイオワ沈没!!
グアムに魚雷命中。最高速度が半減。
大和の砲撃でビンセンス沈没。
グアムとアラスカの砲撃が冬月に命中。
バルチモアの砲撃が涼月に命中。
グアムに魚雷命中し沈没。
第6ターン
アラスカの砲撃が冬月に命中し攻撃力がなくなった。
大和の砲撃がバルチモアに命中。機関室に浸水。
大和の砲撃が航行不能のバルチモアに集中する。
バルチモアの砲撃が涼月の通信室に命中し火災発生。
雪風にクインシーの砲撃が命中。方位盤破壊され、通信室に命中し火災発生。
磯風にアストリアの砲撃が命中。
第7ターン
アラスカの砲撃で冬月沈没!!
バルチモアの砲撃で涼月沈没。
クインシーの砲撃で雪風の攻撃力がなくなった。
大和の砲撃でバルチモア沈没。
大和の砲撃がアラスカに命中。
クインシーの砲撃で歴戦の勇者雪風沈没。
アストリアの砲撃で磯風沈黙。
日本軍は大和、浜風、霞しか戦闘力がなくなった。
アストリアが戦場離脱に成功した。
第8ターン
クインシーの砲撃で磯風沈没。
クインシーに魚雷命中し沈没。
大和の砲撃がアラスカに命中。機関室に浸水し航行不能。
フレッチャー4隻が離脱成功した。
第9ターン
航行不能のアラスカに、大和の砲撃が命中し火災発生。
第10ターン
大和の砲撃でアラスカ沈黙。
アラスカに魚雷命中!弾薬庫浸水し沈没!!
沈没した艦艇
米軍
戦艦 アイオワ
大型巡洋艦 グアム、アラスカ
重巡 バルチモア、クインシー
軽巡 ビンセンス
300点中241点
日本軍
軽巡 矢矧
150点中78点
残存艦艇
米軍
軽巡 アストリア
59点
日本軍
戦艦 大和
駆逐艦 浜風、霞、初霜
浜風は軽微な損傷
霞は小破
初霜は中破
72点
感想
記入シートはもう少し記入スペースが広いといい。特に魚雷の発射位置と現在位置と方向が必要だ。
マーカーももう少し種類があるといい。例えば「砲撃時+2」や「2ターン回頭不能」などだ。
雷撃力計算式は、数字が小さい方が魚雷を発射した側に有利になっている。しかし、数字が大きいほど魚雷を発射した側に有利になった方が自然だと思う。
『大日本帝国海軍』(IJN)には艦種ごとの、砲の威力と装甲厚の違いがあまりシミュレートされていなかった。『フリート・バトルズ』(Fleet Battles)では、艦種によるコラムシフトがルール化されている。そのため戦艦は沈みにくくなっている。今回、大和が最終ターンまで健在だったのはその修正が大きい。
大和のアウトレンジ戦法、命中時の46cm砲の威力は、戦闘比の形で表現されている。砲撃力が劣る場合、被害を与える確率が下がることになる。
なるべく簡単に水上戦を盤上で再現しようとしているのがこのゲームの特徴だと思う。そのためテンポよくプレイできるようになっている。テンポが悪くなってしまい、実時間5分をプレイするのに1時間かかったとしたら、シミュレーションとしては正確でも、現実の再現性という点では疑問を持つ。
そのへんのバランスをどこに持ってくるかが、デザイナーの腕の見せ所だと思うが、その点では本ゲームは成功していると思う。