『ゲームジャーナル』第90号を読んでみた。まだ全部は読んでいないが、感想を書いておく。
付録ゲームは『モントゴメリーの憂鬱』(Monty's Melancholy Lonely struggle for Arnhem 1944)だ。
エリア方式のマップとカードがついたソロプレー専用ののゲームだ。
デザイナーは呼拉中村氏だ。
なかなか面白そうなゲームだ。
もくじはこちら
p.4 最新SLG情報
最新ゲームが18種類紹介されている。
ワグネルの氾濫をテーマにしたCSL『プリゴジンの正義の進軍』(Prigozhin's March of Justice)は、事件からあまりに早いタイミングでの商品化に驚く。
同人誌からのゲームやフランスの雑誌もありどれも面白そうだ。
p.8 ゲームの殿堂 ゲームの中のマーケットガーデン作戦 近藤友樹 森哲史 古徳敏郎 大尉 望月学 諸岡幸治
今回は「ゲームの中のマーケットガーデン作戦」ということで、次の8作品を紹介している。
GMT『ホランド'44』(Holland '44)
HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)
AH『アルンヘム強襲』(Storm Over Arnhem)
VG『へルズ・ハイウェイ』(Hell's Highway)
SPI『遠すぎた橋』(Highway to the Reich)
GJ043『アクロス5ブリッジズ』
MMP『Monty's Gamble:Market Garden』
MMP『The Devil's Cauldron: the Battles for Arnhem and Nijmegen』
GMT『ホランド'44』(Holland '44)は決定版と言っていいそうだ!
HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)については、中村氏が辛口だ。
このゲームのドイツ軍側の必勝法が下記リンク先にある。
必勝法が見つかったからバグがある、だから問題だという。
近藤氏が「自由降下なら問題ない」と反論するが、「自由降下は選択ルールであって基本ゲームではないからやはり問題だし、ドイツ軍の自由度が高すぎてバランスが破綻している」というのが中村氏の意見だ。
それを「バグ」と中村氏は呼んでいるが、私は「バグ」は言い過ぎだと思う。「バグ」の定義にもよると思うが、私は「バグとは、ゲームがプレイできなくなるような不具合だ」と思っている。必勝法が見つかったことは、プレイができているのだからバグではないと思う。
また、自由降下を選択ルールにしてあるが、デザイナーズノートで、「オプション(選択)ルールを全て採用してプレイをしてみてほしい。(中略)シテュエイションの自由設定のためのものとしてある。」と書いているからだ。
歴史を知っているプレイヤーが空挺作戦ゲームをプレイする以上、自由降下にしないと空挺部隊プレイヤーが不利になると私は思う。
AH『アルンヘム強襲』(Storm Over Arnhem)
エリア形式の陸戦ものゲームという意味で画期的なゲームだったのは確かだ。
私はプレイしたことはないが、VP上勝利しても部隊が壊滅している状況になるようだ。
VG『へルズ・ハイウェイ』(Hell's Highway)は、今でもよくプレイされているらしい。
SPI『遠すぎた橋』(Highway to the Reich)は、『「ルールは多ければ多いほどシミュレーションとして精密でルールブックが厚いほど良いゲーム」などと信じられていた時代のゲーム』だった、という中村氏の言葉に納得だ。
GJ043『アクロス5ブリッジズ』は旧ゲームジャーナル誌の付録ゲームだそうだ。こういうミニゲームはぜひプレイしてみたい。
MMP『Monty's Gamble:Market Garden』は、エリアマップ方式でマーケットガーデン作戦全体を扱うようだ。4ターンで終了するとのことに驚きだ。
MMP『The Devil's Cauldron: the Battles for Arnhem and Nijmegen』は、グランド・タクティカル・シリーズの一作でマップ4枚でナイメーヘンからアルンヘムまでを再現している。写真で見るとずいぶんと細かく美しいマップだ。
今回の殿堂入り作品になった。記事を読んだ印象では納得だ。
p.16 歴史概説 マーケット・ガーデン作戦 戦史概説 アルンヘムまで何マイル?
本文:中村達彦 イラスト:松田大秀
今回の付録のマップを使った図とイラストと登場人物のコラムで、とてもわかりやすい説明だ。
p.62 データで見る日米海戦史 第63回 航空母艦の発展と戦術の変化② 森哲史
日本海軍航空隊の誕生から太平洋戦争直前までの、空母と艦載機の発展をまとめている。「日本海軍において米英海軍に劣っていたのは(中略)戦力を有効発揮するための考え方とそのための投資の方向性にあったと思える。」というまとめの一文に私は同意する。
p.66 世界で評価されるGame Journalのゲーム群
宣伝のページだが、日本発祥ゲームが海外に輸出されていて、しかもチャールズロバーツ賞にいくつも輝いているのはなんだかとても嬉しい。
p.82 次号予告
2024/6/1に『クロニクル・オブ・ジャパン』となるようだ。邪馬台国から明治維新までを描いたゲームだそうだ。いったいどういうルールでそんなに長い時代を一貫して表現するのだろうか?