Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

モントゴメリーにこの戦い方を教えてあげて! HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)キャンペーンシナリオ


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HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)のキャンペーンシナリオを、[18.0]選択ルールを採用して、A氏が作成したVASSALモジュールで対戦プレイしてみた。私はドイツ軍を担当した。

 

選択ルールを採用すると、[18.1]天候ルールでは、各日ごとにサイコロを振り、航空支援ポイントと降下可能部隊数に影響が出る。

[18.2]降下地点ルールでは、連合軍は、空中補給店と降下地点をある程度選択できる。

イギリス第1空挺師団とポーランド空挺旅団はワール河以北

アメリカ第82空挺師団はネーデルライン河以南から地図II南端

アメリカ第101空挺師団は地図III及びIV内全域だ。

 

またYSGA例会報告『マーケット・ガーデン作戦(HJ)を甦らせたい』という記事にあるローカル・ルール修正を採用した。

 

ysgapicaro.exblog.jp

============上記リンク先ページからの引用=========================

■今回の対戦で適用した(HJ)マーケット・ガーデン作戦ローカル修正■

1).Hells(VG)に習って、ドイツ軍盤外移動マップでも大河川の渡河制限を加えて、以
下の盤外エリア間では機械化ユニット(自動車化歩兵、装甲擲弾兵も含む)の移動を一切
禁止する。ただし非機械化ユニットのエリア間移動には何ら制限はない。
 従ってネーデル・ライン河とワール河を渡って移動する為には、アルンヘム橋(破壊さ
れなければアルンヘム郊外の大河鉄道橋も可)、ナイメーヘン橋を確保して直接盤上で渡
る他はない。

O-P間
I-H間
H-G間


2).砲兵の防御支援は、その砲兵が所属する師団と同じ師団所属のユニットにしか与え
られない。従ってドイツ軍の師団所属でない独立砲兵は一切の防御支援を禁止される。な
お連合軍の英30軍団直属砲兵だけは、英軍でありさえすれば誰に対しても防御支援でき
るという規定あり。

※なおドイツ軍の攻撃支援射撃と弾幕射撃に関しては何ら制限は科せられない。師団所属
に制限されるのは防御支援のみである。

3).フェリーを利用できるのは、ドイツ軍の非機械化ユニットに限られる。ドイツ軍機
械化ユニット(自動車化歩兵、装甲擲弾兵も含む)のフェリー利用は一切禁止される。

4).孤立についての補給規定を明確化して、〔12.3〕3).そのユニット/スタッ
クのいるヘクスから2ヘクス以内に孤立状態でない自軍ユニットが存在しない。とする。

※もとのルール記載のままでは、友軍ユニットとスタックしていれば決して孤立しないよ
うに解釈できてしまう為、せめてスタックではなく、他のヘクスでの友軍の存在を必須と
した。

5).盤外移動マップは秘匿せず常時オープンとし、連合軍は常にドイツ軍の盤外移動と
存在を確認できる。〔6.24〕改訂

6).連合軍ユニットが隣接した橋梁の破壊判定は、強制判定とする。

※もとのルールでは独軍の任意で判定しないで自動的に保全とする事ができたが、
上記①の制限により、アルンヘム鉄道橋の重要性が増した為、独軍が将来の布石
として敢えてアルンヘム鉄道橋を破壊しないで残しておくというゲーム的展開を封じる
ためのルール修正。なお出目6で鉄道橋が破壊されずに残るのは仕方ない。

■不明瞭ルールの明確化■

1).補給切れにより1攻撃力が0.5攻撃力となって端数切り捨ての原則によりゼロ攻
撃力となったユニットは攻撃に参加することができない。

※ルールには防御力は決して1未満にならないと規定はあるが、攻撃力には言及していな
い。また〔10.21〕〔14.12〕ルールにもゼロ攻撃力ユニットは攻撃に参加できないことを
匂わせる文言あり。従ってゼロ攻撃力のユニットが攻撃側として戦闘後前進に参加するこ
ともない。

2).盤外エリアBからアイントホーヘンに延びるハイウェイは、南端から延びるハイ
ウェイに連結していると見なす。

ナイメーヘンでは意図的な道路完結が見られるが、アイントホーヘンのそれはマップ接
続の際の印刷ミスと見なす〔もしそうでなくとも連合軍のバランス調整の為にもハイウェ
イ連結としたい〕。

3).ルール上「大河鉄道橋」の定義がなされていないが、濃い青の大河に架かる、道路
の走っていない橋を「大河鉄道橋」とする。薄い水色の運河に架かる、道路の走っていな
い橋は、「運河橋」としてひとつにくくられるものとする。

4).道路がヘクスグリッドを走っていてどちらのヘクスを道路が走っているのか不明瞭
な場所は次の通り。事前にどちらを走っているか規定しておくこと。7106、741
1、7209、7313、4212、0804ヘクス。

5).ルール〔5.32〕記載のヘクス4919は4918の間違いである。

6).シナリオ1「キャンペーン」の連合軍増援部隊★第1ターン:英第1空挺師団の1/1(砲兵)と1(対戦車砲)の降下基準ヘクスは、7005または6805ヘクスである。

※私が持っているルールブックは、これらのユニットについて「7005」ヘクスだけになっていました。対戦相手の持っていたルールでは「7005または6805」となっており、タクテクス14号の作戦研究記事でも、強力な4戦力対戦車砲を6805ヘクス基準で降下させているので、私の持っている最初期バージョンのルールブックが間違っているものと思われます。これまで他人のルールを見て配置していたので違いに気が付きませんでしたが、この点、これからプレイされる方はご注意下さい。ちなみにこのルールの違いは、ホビジャ/TAC誌のエラッタにもありません。 

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■初期配置

連合軍の降下が始まった。A氏のVASSALモジュールは降下のダイスを振るときに「ぐぉ~~~ん」と輸送機の爆音が聞こえる。ダイスを振る度に「Goooooonnnnn」「ぐぉ~~~~~ん」と聞こえて凄い轟音だ。この音のおかげで、当時のドイツ軍や地上にいた民間人が感じた恐怖が伝わってくる。

Aさんは、英軍第1空挺師団をアルンヘムの南北に降下させた。アルンヘムの橋(赤丸)を両岸から奪取するつもりだ。

「こういう降下の仕方をするのかぁ・・・・。やばい!」

降下地点に驚愕した。

この意外性、奇襲による驚愕こそ空挺作戦の神髄だ。

そういう意味ではマーケットガーデン作戦ゲームは、降下地点は連合軍プレイヤーが自由に選べなければいけないと思う。

ドイツ軍の将兵達は、輸送機の爆音を聞きながら、「これはやばいぞ」と冷や汗が出た。

 

英軍第1空挺師団は予定通り、アルンヘム市街に突入し、橋の両岸を確保した!!


英軍第1空挺師団の一部と米軍第82空挺師団の一部でナイメーヘンの橋(黄丸)を挟撃する。

当時の米英軍がどこまでこういう連携作戦を実施できたか不明だが、本ゲームのルール上は問題ない。

どちらも英語だから言葉の問題はないだろうが、無線周波数の問題や同士撃ちのリスクからこういう連携はできなかったと思う。

 

米英両軍はナイメーヘンの橋を占領し、橋の中央で握手した。

 

フラーフェの橋(緑丸)は米軍第82空挺師団の一部が奪取を目指す。

 

米軍第82空挺師団がフラーフェの橋も確保した。

 

 

フェーヘルの橋(青丸)とソン橋(紫丸)は、米軍第101空挺師団が担当する。ソン橋はやはり両岸から占領を目指す。

米軍は橋の確保はできなかったが、ドイツ軍による爆破は失敗し、フェーヘルの橋を守るドイツ軍を包囲した。

ドイツ軍はソン橋の爆破に失敗した。

両岸から橋の占領を目指すAさんがとった作戦は、ドイツ軍を包囲するので確実だ。どうして史実で連合軍はこの作戦をとらなかったのだろうか?

80年前にタイムスリップしてAさんがモントゴメリーに教えてあげればマーケットガーデン作戦は成功したかもしれない。


 

■第2ターン(1944/09/17夜)

●イギリス第1空挺師団の戦域

英軍第1空挺師団はアルンヘム市街外郭を早くも確保しドイツ軍の攻撃に備えている。

ナイメーヘンの橋は米英両軍でがっちり確保した。

 

 

アメリカ第82空挺師団の戦域

ドイツ軍はマース=ワール運河の橋をいくつか破壊した。

米軍はナイメーヘンの橋とフラーフェの橋を確保し、地図盤下からのドイツ軍の侵入を防ぐために防衛戦を張った。

アメリカ第101空挺師団の戦域

米軍はフェーヘルの橋(青丸)にいるドイツ軍を包囲した。

ドイツ軍はアイントホーフェン(黒丸)を占領した。ここを確保すれば英軍第30軍団は前進できない。

地図盤下にいるドイツ軍がどこから侵入するか不気味だ。

 

●イギリス第30軍団の戦域

英第30軍団は次ターン(1944/9/18午前)にはアイントホーフェンへ突入する勢いだ。

だがドイツ軍は地形効果が高い市街地で待ち構えている。そう簡単にはやられないぞ!

 

■第3ターン(1944/09/18午前)

天候はPoorだ。

連合軍は、アルンヘムの都市部を占領した。

また、下図の赤い丸で囲んだ橋を占領した。ドイツ軍がアイントホーフェンとシントーデンローデで、かろうじて第30軍団の突破を防いでいる。

ドイツ軍はアイントホーフェンとシントーデンローデとウデンで連合軍のハイウェイを遮断しようと試みる。

ドイツ軍の反撃で連合軍は工兵を1部隊失った!これはドイツ軍にとって大戦果だ。

連合軍は破壊された橋を修理できなくなるからだ。

後で考えると、ドイツ軍は地図盤外マップから地図盤内に入る素振りだけ見せて、実際には地図盤内に入らない方がよかった。

 

 

■第4ターン(1944/09/18 PM)

連合軍は各空挺師団が散らばって、側面からのドイツ軍の侵入を防ぐために戦線を張った。

この辺がA氏の駒さばきの上手な点で感心する。

ドイツ軍はアルンヘムを包囲するために大部隊を集結させた。

しかしアルンヘムの都市部の防御力が高いので、時間をかければ1ヘクスずつ奪還できるかもしれないが、奪還するのは確率的にかなり難しそうだ。

中央のウデン周辺でハイウェイを遮断した。シントーデンローデに増援を送ったが、アイントホーフェン近郊で部隊が補給切れや孤立に陥った。

 

■第5ターン(1944/09/18夜間)

英第1空挺師団はオースタービークを放棄しアルンヘムにスタック制限一杯に兵力を集中する。

アイントホーフェン近郊では、ドイツ軍は橋の爆破にことごとく失敗し、英第30軍団がドイツ軍を包囲する。

ドイツ軍のアイントホーフェンを守る部隊は風前の灯になった。

 

ドイツ軍は、アルンヘムを包囲したが、スタック制限一杯で市街地にこもる英軍第一空挺師団に対する攻撃はなかなかうまくいかない。

アイントホーフェンでは補給切れや孤立状態になった部隊が瀕死の状態だ。

早めに地図盤外に撤退させて地図盤外移動をする素振りで連合軍部隊を牽制するべきだった。

 

また、下の写真の赤い線が今回適用したローカル修正ルール1)で機械化部隊が移動できない河だ。5)の盤外移動マップは秘匿せず常時オープンとするルールのこの2つが効いてきた。

 

ドイツ軍が装甲部隊を赤い線より左に送れない、つまり有効な反撃するには戦力が不足するため、アイントホーフェンで包囲殲滅されそうなことが今後も起き続けることになる。


■第6ターン(1944/09/19午前)

天候はGood

午後に連合軍が追加の空挺降下をすることが確実だ。

連合軍を率いるA氏はそのための準備として態勢を整える。

 

■第7ターン(1944/09/19午後)

連合軍は赤い丸で囲んだ地点に追加で降下した。

英軍地上部隊の増援も到着した。

アイントホーフェンで断末魔の状態だったドイツ軍を包囲殲滅し、シントーデンローデも英軍が占領した。

まだアイントホーフェンに孤立したドイツ軍がいるが、殲滅するのは時間の問題だろう。

ウデン周辺はドイツ軍が確保しているが、この兵力だと英軍が前進すれば確実に蹴散らすことができそうだ。

ドイツ軍は中央のフェーヘルの橋を目指してウデンや地図盤下から反撃を試みる。

また第30軍団の後方を脅かす。しかし戦ってみてわかったが、装甲部隊がいないと戦闘力が小さくてなかなか勝てない。

第30軍団に増援が来るのを完全に見落としていた。ドイツ軍が反撃をするならこのタイミングではなく、英軍の増援がなくなってからにするべきだったが後の祭りだ。

アルンヘムはドイツ軍が持っているユニットと砲兵を集めて攻撃をするが、英軍の守りが堅く全く進展しない。

 

■第8ターン(1944/09/19夜)

ドイツ軍がこの程度の部隊数で反撃を試みてもゲリラ部隊が正規軍に戦いを挑むようなもので、連合軍に逆包囲されてしまうのだった。

 

■第9ターン(1944/09/20午前)

英軍がドイツ軍の反撃を各個撃破する。

そしてついにアイントホーフェンが陥落した!!ドイツ軍としてはフェーヘルの橋を奪取してそこで連合軍を分断したいが、反撃が成功しない。

■第10ターン(1944/09/20午後)

連合軍はゲリラ部隊と化したドイツ軍を包囲し確実に殲滅していく。

 

■第11ターン(1944/09/20夜)

連合軍はフェーヘルの橋(赤い矢印の先)を捨て置いて、その南北から突破を開始した。

この連合軍を防ぐだけの兵力がドイツ軍にはもうない。

 

■第12ターン(1944/09/21午前)

天候はGoodだ。

英軍はフェーヘルの橋(赤い矢印の先)を迂回してフラーフェの橋に前進する。

ここを確保すれば連合軍の勝利だ。ドイツ軍には悲しいことにそれを防ぐ部隊がない。

 

■第13ターン(1944/09/21午後)

ついに連合軍は下の写真に描いた緑色の線でアルンヘムまで連絡路を貫通させた!!

■第14ターン(1944/09/21夜)

ついに英軍第30軍団がアルンヘムに到達した!!

ドイツ軍はシントーデンローデ(赤い矢印の先)を奪還した!!何とか連合軍の連絡路を遮断したいが下の写真にある緑色のルートを止めるだけの兵力がない。



■第15ターン(1944/09/22午前)

連合軍の戦略的勝利だ!!

 

■感想

空挺作戦の肝は奇襲だから、空挺降下する場所は、プレイヤーの自由にするべきだ。

今回、A氏は、橋の両岸に降下して橋を確実に占領することに成功した。

この降下の仕方によってアルンヘムの橋の両岸を確保できた。

タイムマシンがあったら、モントゴメリーに教えてあげたい。

 

それにしてもA氏の駒さばきは素晴らしかった。

主要な道がダメなら迂回路を探し出し連絡路を貫通させた。

ゲリラ的な反撃をするドイツ軍を確実に包囲殲滅しながら進んでいった。

ハイウェイの左右(この写真では上下)を守備する部隊を確実に配置しながら突き進んでいった。

 

ドイツ軍はこちらの投稿にあるとおり、「3.両師団とも包囲し攻撃しない。」を徹底するべきだった。ゲリラ的な反撃をするなら、すくなくとも、第30軍団の増援が来た第7ターン以後にすべきだった。反撃したことによって包囲殲滅されてしまい、肝心な時に兵力が残っていなかったからだ。

 

https://goodgamersgroup.web.fc2.com/70_toukou/1993-10-10.htm

 

goodgamersgroup.web.fc2.com

今回、ローカル修正ルール 1)を採用したが、これはドイツ軍にとってかなり不利だった。

装甲部隊が反撃に使えなかったからだ。

 

このゲームは、サイズが手頃でマーケットガーデン作戦を十分に堪能できる傑作ゲームだと思う。

 

今回は負けてしまったが、また機会があったらプレイしてみたいものだ。