Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

K2P『ドイツ装甲軍団2』(レッド・タイフーン)ゲーム紹介


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国際通信社から2022年8月10日発売された『ドイツ装甲軍団2』はワールド・ウォー・シリーズの第10作目となり、『モスクワ'41』と『レッド・タイフーン』の2 in 1ゲームだ。そのうちの『レッド・タイフーン』をご紹介する。

本ゲームは『ドイツ装甲軍団』シリーズの第4作目だ。ちなみに第1作が『スモレンスク攻防戦』、第2作が『マーケット・ガーデン作戦』、第3作が『モスクワ'41』だ。『ドイツ装甲軍団1』に含まれる『ガザラの戦い』は含まないようだ。

 

1942年1月5日から3月2日までのソ連軍の反撃がテーマだ。

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■ゲーム・デザイナー

ゲームデザイナーは、平野茂氏だ。

 

■最初の発表

2009年2月の『コマンドマガジン』第85号で発表されたゲームだ。もう13年前なのかぁ・・・。

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その後、2017年9月13日『コマンド・ザ・ベスト』第15号として再版された。

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■ゲーム・スケール

ゲーム・スケールは、次の通りだ。

●1ユニットが師団、旅団レベル

●1ターンは、記載がないが57日間が9ターンなので、約1週間だ。(単純にわり算すると1ターン6.3日)

●1ヘクスの対辺距離は・・・あれ?書いてないですね。

 

■地図盤

地図盤はA1(594×841mm)1枚。特殊コート紙が採用されている。

戦闘結果表やターン記録トラックなどが印刷されている。

 

■ルール・ブック

ルール・ブックは7ページ(表紙除く)

■ユニット数

ユニット数は179個だ。

汎用マーカーとして、A)戦闘比マーカー(上の写真の一番左)、B)戦闘の順序マーカー(上の写真の左から二番目と三番目)、C)MOVEマーカー(上の写真の一番右と右から二番目)の三種類が用意されている。

 

A)戦闘比マーカーは、『ドイツ戦車軍団』シリーズや『ドイツ装甲軍団』シリーズでおなじみだ。

B)戦闘の順序マーカーは、数字の下に「ORDER」と書かれているシンプルなマーカーだ。どの順番で戦闘を実施するかを明らかにしたものだ。作戦級ゲームでは、どの組み合わせの戦闘をするか、どの順番でどんな戦闘比で戦闘するか、よく忘れるので、とてもありがたい。使ってみるとこれはとても便利だ。これまでありそうでなかったのが不思議な気がする。

C)MOVEマーカーはアルファベットの下に「MOVE」と書かれている。アルファベット1文字が2枚組になっている。移動前に1枚を配置し、移動後どこまで到達できるかを数えるのにもう1枚を使える。作戦研究に便利だ。

 

■勝利条件

勝利条件は、サドンデス勝利を除き、最終ターン(第9ターン)終了時に判定し、得点の多い方が勝利だ。

サドンデス勝利条件は次の通りだ。

ソ連軍:ドイツ軍策源ヘクスの3ヘクスを全て支配すること

ドイツ軍:ソ連軍策源ヘクスの4ヘクスを全て支配すること

 

ソ連軍の得点

 (1)地図上に記載のあるソ連軍得点源ヘクスの支配

 (2)1SAユニットの撤収したターンに応じて失点する。

 (3)1SAユニットの除去により失点する。

 (4)WL所属の1SAユニットをゲームで使用すると失点する。

ドイツ軍の得点

 (1)地図上に記載のあるドイツ軍得点源ヘクスの支配

 

■シーケンス

シーケンスは、次のとおり。

A.ソ連軍軍プレイヤー・ターン

 1.行動ポイント受領フェイズ

 2.移動フェイズ

 3.戦闘フェイズ

 4.1SA撤収フェイズ(第4~8ターンのみ)

 5.空挺部隊配置フェイズ(第4~7ターンのみ)

 6.パルチザン配置フェイズ(第4~6ターンのみ)

 7.回復フェイズ

B.ドイツ軍プレイヤー・ターン

 1.行動ポイント受領フェイズ

 2.移動フェイズ

 3.戦闘フェイス

 4.回復フェイズ

 

■支配地域(ZOC)

支配地域(ZOC:Zone Of Control)に入ったら停止。最初からZOCにいる場合、一旦、ZOC外に出てから再度ZOCに入る。いわゆるZOC to ZOCの移動はできない。

 

■スタック

スタックはドイツ軍は3個まで。ソ連軍は2個までソ連軍1SAユニットはスタック制限に関してのみ1個で2ユニットと数える。

移動フェイズ終了時と戦闘フェイズ終了時に判定する。

所属フォーメーションが異なるユニット同士もスタック可能。

 

■移動

移動については、自軍移動フェイズに移動命令を与えた自軍ユニットを移動ルールの範囲内で移動可能。

 

■戦闘

戦闘は自軍戦闘フェイズ中に戦闘命令を与えた自軍ユニットを用いて攻撃できる。

隣接している敵ユニットを任意に攻撃する、いわゆるメイ・アタックだ。

戦闘結果表は戦闘比で、地形によるダイス修整がある。

戦闘比は1:1から6:1

戦闘結果で混乱状態になると、混乱状態の場合、ZOCを失い、移動や戦闘不可になる。

自軍回復フェイズに自動的に回復する。

 

戦闘後前進では、防御側ユニットがいたヘクスに進入後、そこが敵ZOCにない場合、戦闘力が白文字のユニットのみ2ヘクス目の前進を行える。これを「突破」と呼ぶ。

 

■孤立状態

戦闘解決時(ダイスを振る直前)に「連絡線」を設定できない防御側ユニットは「孤立状態」となる。

「孤立状態」となった場合、ダイスの目+1となる。

■連絡線の設定

 (1)攻撃を受ける自軍ユニットから6ヘクス以内に鉄道線が通っているヘクスがあるか確認する。

 (2)ユニットから6ヘクス以内の鉄道線が自軍策源ヘクスまで途切れることなく繋がっていれば連絡線設定できる。

 (3)敵ユニットが存在するヘクス、敵ZOCが及んでいるヘクス、敵軍が支配している市街ヘクスを通る鉄道線を通せない。自軍ユニットは敵ZOCの影響を打ち消せる。

 

■回復フェイズ

混乱状態の自軍ユニットを、無条件に表に戻す

 

■行動ポイント

ターン記録欄に、各ターンに両軍プレイヤーが受け取れる行動ポイントが記載されている。

受け取った行動ポイントマーカーを未使用行動ポイントマーカー欄に置いておく。

地図上の各フォーメーションごとに「移動」と「戦闘」の記載があるので、行動ポイントマーカーをそこに置くことでフォーメーションに命令を下したことになる。

移動命令は自軍移動フェイズ中である限りプレイヤーの自由。

戦闘命令は自軍戦闘フェイズ中である限りプレイヤーの自由。フォーメーションが異なっても戦闘命令が与えられていたら戦闘可能。

未使用行動ポイントマーカー欄の行動ポイントマーカー数だけ命令を与えることができる。ただし同一フェイズ中に同じ命令を2度与えることはできない。

行動ポイントは蓄積し次ターンに使える。

移動命令を与えられたドイツ装甲師団(地色が黒のユニット)は、同一ターンの戦闘フェイズに限り、所属フォーメーションに戦闘命令がなくても、攻撃可能。

 

■1SAの撤収

ソ連軍は第4~8ターンに1SA撤収フェイズに、撤収可能。敵ZOCにいても撤収可能。

孤立状態では撤収不可。

どのターンに撤収したかゲームターン記録トラックに置く。

既に除去されている場合は撤収できない。

 

空挺部隊の配置

ソ連軍プレイヤーは第4~7ターンの間のいずれかの空挺部隊配置フェイズに空挺部隊を配置できる。

最東端ヘクスから20ヘクス以内の平地ヘクスに配置できる。

他ユニットが存在するヘクス、敵ZOCが及んでいるヘクス(自軍ユニットがあっても不可)には配置不可。

 

パルチザンの配置

色の濃い森林パルチザンエリア

第4~第6ターンの各パルチザン配置フェイズに、ターン記録トラック上のターン・マーカーと同じマスに置かれているパルチザンユニットを受け取れる。

受け取ったらダイスを振り、ダイスの目の数がパルチザンを配置するエリア名

パルチザンユニットはスタック制限範囲なら自軍ユニットにも配置可

敵ZOCが及んでいるヘクス(自軍ユニットが存在しても)不可

もし配置可能ヘクスがなければパルチザンユニットは登場機会を失う。

いったんマップに配置されたパルチザンユニットは、パルチザンエリア以外にも移動可能。

 

■感想

『ドイツ装甲軍団』シリーズはプレイアブルでシンプルなルールなので、どこにどの部隊を動かし戦うか、作戦に専念できるので、好きなゲームシリーズだ。

 

一点、残念なのは、『コマンドマガジン』第85号の歴史解説記事やリプレイ記事が入っていないことだ。本ゲームを購入した人にはIDやパスワードを教えてくれて、記事をサイトかPDFで提供してくれると嬉しい。