Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

『コマンドマガジン』174号(2023/12/20)を読んでみた

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国際通信社の『コマンドマガジン』第174号を読んでみた。

付録ゲームは『永禄辛酉 川中島合戦』だ。

もともとは翔企画のSSシリーズ『信玄 vs 謙信 ー川中島合戦ー』だ。

その時の旧版と、今回リデザインした新版の2 in 1だ。

 

リデザインされると、旧版もプレイしてみたくなるのが私の性格だ。

そうするとオークションで探すしかないのだが、こうして新旧が一つになっていると、オークションで探す手間が省けるのがいい。

 

目次は次の通り

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p.4 激闘!第四次川中島合戦 文/樋口隆晴

川中島合戦は有名だが、詳細は霧の中なのだ。第一次川中島合戦の一次史料は上杉政虎が発給した感状6通とわずかな書状しかない。第四次川中島合戦の資料は『甲陽軍艦』のみだそうだ。

上杉謙信の父が下剋上で成り上がったため、短期利益追求の配下国衆を抑えられず、直臣団のクーデターで権力を握った武田信玄も子飼いの武将が育っていなかった。

第一次川中島合戦から第三次川中島合戦までの間の両者の動きと政治的な状況がわかりやすい。

そして第四次川中島合戦だ。妻女山に陣をとった謙信の狙いは、川中島城塞群の西端を攻略し、海津城を攻撃してそのまま北国脇往還へ進出する可能性ができる。

『甲陽軍艦』には記載はないが樋口隆晴氏は、「キツツキの戦法」を武田軍がとったと考え、解説している。

そして不羈遭遇戦になり乱戦となった。

両軍とも負け戦と認識していた、というのは驚きだった。

史料が残ってないためよくわからない戦いだったからこそこれからも様々なロマンをかき立てるだろう。

 

p.12 WARGAME HANDBOOK 2013 激闘!川中島 ゲームデザイン:ドナルド・ブース 発行:K2/IED(2013) 文/倉元栄一

『激闘!ロンメル軍団』と同じシステムの『激闘!川中島』というゲームの紹介記事だ。

ゲームデザイナーがドナルド・ブース氏ということでお名前から察するに外国人なのに驚いた。

「計画」と「不確実さ」をフォーメイションアクティベートと呼ばれるシステムで、「決断」と「ままならなさ」の重みを体感できるゲームだそうだ。

 

p.15 C&C SAMURAI BATTLES ゲームデザイン:Richard Borg 発行:GMT(2021) 文/宮永忠将

こちらも外国人デザイナーによる日本史ゲームだ。

C&CとはCommand & Colorsの略で、もともとはロシアの模型メーカー、ズヴェズダがミニチュアゲームとして発売していたものだが、同社のゲーム部門縮小によりGMT社から発売されるようになった。

古代ギリシャからSFまで様々なアイテムがGMTCompass、PSCからC&Cブランドとして販売されている。

本誌にあるマップを見た感じでは確かにミニチュアゲームっぽい感じだ。

 

p.18 Kawanakajima 1561 ゲームデザイン:Francois Vander Meulen 発行:Hexasim(2009) 文/山内克介

『天下統一』3部作(CMJ144『長久手の戦い』、CMJ149『山崎の戦い』、CMJ159『関ヶ原』)を生み出すきっかけになったのがこの作品だ。ほぼ『天下統一』ルールだ。

山内克介氏の評価は、「史実再現性が低い」ということだ。武田軍本隊が不利すぎるからだ。そこはローカルルールを作ってバランスを取ればいい、と提言している。

なお、『天下統一』3部作は中国語ライセンス化されているそうだ。本作は再販の可能性が低いそうだ。

 

p.22 WARGAME HANDBOOK 2019川中島 ゲームデザイン:じんぼただとし 発行:K2/IED(2019) 文/じんぼただとし

もともとは陣取り合戦ボードゲームを作ろうとして、そこに川中島合戦を重ねたゲームだそうだ。

こういうゲームデザインの裏話も興味深い。

 

p.24 『風林火山』ができるまで ゲーム・デザイン:大木毅 発行:バンダイ(1985) 文/大木毅

バンダイのifシリーズの『風林火山』は、大木毅氏デザインだったとは知らなかった。

今も当時も川中島合戦の詳細は不明なことが多く、「歴史小説」として『風林火山』をデザインした、とのこと。

当時、大学生だった大木氏がそこまで考えてデザインしたというのが凄い。

また、当時、バンダイifシリーズには「参棒」という棒がついていたり、ユニットをスタンドに立てていたが、それらを辞めるように説得したのが大木氏だったそうだ。

もっとも、積み木ゲームを見た時、その発想に驚き、「ウォーゲームのオーソドキシーにかたくなにこだわるのではななかった」と後悔しているそうだ。

 

p.26 お城でGO! 第5回朝比奈切通(神奈川県・鎌倉市)

鎌倉を囲む7個の切通の一つ朝夷名切通だ。

切通は防御のために作ったのかと思ったら、あくまで交通の便から造られたのだそうだ。

鎌倉時代じ造ったものがそのまま残っているわけではなく、江戸時代を通じて開削されているそうだ。

 

p.32 Next Issue 諸国民の戦い(The Battle of Nations The Encirclement at Leipzig, 16-19 October 1813)

次号は、SPI『Napoleon at War:Four Battles(NaW)』

これまでコマンドマガジンでは第166号で『マレンゴの戦い』、第169号で『イエナ・アウエルシュタットの戦い』、第172号で『ワグラムの戦い』を付録にしていたので、これが4作目だ。これは楽しみだ。

 

p. 34 新シミュレーションゲーム批判序説 イリノイ州ノーマルとGDWそしてジェイムズ・ゴフとジョン・ヒル 高梨俊一

ダニガン編が終わり、今回はGDW社とAH『Squad Leader』のジョン・ヒルだ。

 

p.54 ウォーゲーム・メカニクス 第22回 活性化(1) 文/堀場亙

今回は活性化だ。

もともとウォーゲームは、攻撃側ターンと防御側ターンに分かれていたが、実際の戦場は同時行動することが多い。それを表現しようとしたのが活性化ルールだと堀場氏は書いている。

 

任意選択の活性化として、アクション・ポイント(AP)、カード活性化、ダイス活性化、エリア・インパルス、活性化判定、順番指定に活性化ルールを分類し、それぞれ1個のゲーム例を挙げてわかりやすく解説している。

 

次回も楽しみだ。