国際通信社の『独ソ電撃戦』は「ミンスク'41」と「リガ'41」の二本のゲームを同梱している。
1981年にエポック社から「ワールドウォーゲーム・シリーズ」第1作として『独ソ電撃戦』の「ミンスク'41」が出版された。その北方軍集団ヴァリアントとして、OMEGA7(坂本拓哉)氏が作成していたが急逝したため中黒靖氏が引き継いだそうだ。
この二本を同梱し再版したのが本ゲームである。
それぞれ別々にプレイできるが、連結してもプレイできる。連結すると、ちょっとしたビッグ・ゲームになる。
気に入ったのがマップである。何と言う加工をしているのかわからないが、丈夫そうで、かつ水に強そうだ。その分、折れ目が強いのが難点だが、折れ目が敗れそうにないし、飲み物をこぼしても大丈夫そうなマップはとてもいい。
ルールは、初心者向けに作られたゲームのため、移動=>戦闘の繰り返しと、シンプルだ。スタックは2ユニットまで。戦闘はメイ・アタックだ。
最大の特徴は、ソ連軍ユニットは、戦いをする前は兵科と移動力がわかるだけで戦闘力がわからない。戦闘のために裏返してみると戦闘力0の場合がある。こういうルールをアントライドと呼ぶらしい。
ゲーム・スケールは、1ヘクス=約12km。1ターン=1日。装甲/戦車1ユニット=1個連隊。歩兵1ユニット=1個師団。
初期配置
第1ターン(1941/06/22)
ドイツ軍の奇襲が始まった。
本ゲームには奇襲ルールはない。
タウラゲ(4213)でソ連軍第2戦車師団とドイツ軍第1自動車化歩兵師団が相撃ち。
4313の森林でソ連軍第125歩兵師団とドイツ軍第269歩兵師団が相撃ち。
両軍の損害
ソ連軍3点
第2ターン(1941/06/23)
ソ連軍はユニットが絶対的に不足している。
どこでどうやって守るといいのだろうか?
3218の平地でソ連軍第16狙撃兵師団とドイツ軍第206歩兵師団が相撃ち。
リガの前面を守るソ連軍がいなくなってしまった。史実だと最終ターン(1941/06/29)でリガ(5529)からダウカフピルス(3836)へのびる川にドイツ軍が到達した。この様子だと第4ターン(1941/06/25)くらいにはそこに到達できそうな気がする。
両軍の損害
ソ連軍4点
第3ターン(1941/06/24)
ソ連軍は包囲されるのを避けるために撤退する。
ドイツ軍はひたすら前進する。
歩兵師団と装甲師団の速力差がありすぎて歩兵が追いつけない。
ドイツ軍がイエルカバ(5426)占領。
ドイツ軍がリガ(5529)まであと36km(3ヘクス)に迫った。
両軍の損害
ソ連軍2点
第4ターン(1941/06/25)
リガ(5529)周辺のドイツ軍は歩兵師団が追いつかないので装甲師団ばかりだ。
EX(相殺)の結果が出るのが怖い。
3221の湿地帯でソ連軍第28戦車師団とドイツ軍第12歩兵師団が相撃ち。
ドイツ軍、カウナス(3521)占領。
両軍の損害
ドイツ軍1点
第5ターン(1941/06/26)
リガ(5529)周辺の戦況
ドイツ軍5個装甲師団と1個歩兵師団に対してソ連軍2個戦車師団と3個狙撃兵師団。戦車師団は早くも包囲されている。狙撃兵師団は戦力不明だ。(兵科マークが騎兵のユニットも狙撃兵師団としてカウントしている。ルール・ブックP10 14.2 1)参照)
両軍の損害
ドイツ軍1点
第6ターン(1941/06/27)
ドイツ軍は南方で8個歩兵師団が遊軍になってしまっている。
ドイツ軍、リエパーヤ(5712)無血占領。
戦力0で4個歩兵師団を引きつけたから結果的には戦功があったといっていいかもしれない。
リガ(5529)周辺
C(交戦中)の結果、戦局は膠着状態になった。
ドイツ軍3点
第7ターン(1941/06/28)
リガ(5529)周辺の戦況
リガ(5529)周辺の戦況
AR(攻撃側退却)やC(交戦中)の結果、リガ(5529)攻略が難しくなった。
ドイツ軍3点
第8ターン(最終ターン)(1941/06/29)
リガ(5529)周辺の戦況
ドイツ軍装甲師団3、自動車化歩兵師団2、歩兵師団4個。戦力としてはドイツ軍優勢だが、攻略は無理だ。
リガ(5529)周辺の戦況
5328の森林でソ連軍第22N自動車化歩兵師団、ドイツ軍第1歩兵師団相撃ち。
全体の戦況
結局、ソ連軍はリガ(5529)を守りきった。
両軍の損害
ドイツ軍2点
ドイツ軍の勝利。
感想
ドイツ軍はリガ(5529)を落とせなかった。
前半は、史実以上に進撃していると思っていたが、結局、史実よりも前進できなかった。
ドイツ軍の勝利ではあるが、歩兵師団と装甲師団が分離してしまったり、思うように包囲しきれなかった。
簡単なルールでバルバロッサ作戦の北方軍集団の状況をうまく表現している傑作ゲームだと思う。