Strategy & Tactics 77号の『奇襲空挺部隊』(Paratroop)の『エバンエマール』(Ebean Emal)には、12.1ヒストリカル・シナリオとベルギー軍が空挺作戦対策をしたシナリオ12.2がある。
シナリオ12.2はドイツ軍は自由に配置できる。ベルギー軍は地雷を配置できたり、各トーチカが2回射撃できるし、増援分隊が多いし、地図端からだけでなくトーチカから地図盤に参戦できる。
ドイツ軍はObservation付トーチカを早めに破壊するために2個分隊ずつ降下した。
1411に配置した部隊は斜面越しに1412を攻撃するのではなく、1312に配置するべきだった。
ドイツ軍は、第1ターンにObservation付トーチカは全滅させた!4個の110ポンド爆弾を使い、2個は破壊成功した。通常の爆薬で2個を破壊できた。2個分隊で1個分隊が110ポンド爆弾で1個分隊が通常爆弾だと、斜面の+1のサイの目操作があっても、確率的には、確実に破壊できる。
ドイツ軍は、第2ターンにはさらに2箇所トーチカを破壊した。
第3ターンにはさらに2箇所破壊し、合計8箇所破壊した。
ベルギー軍の増援が登場し、残ったトーチカの守備につく。
第4ターンにドイツ軍はトーチカを破壊し、11箇所の勝利条件トーチカのうち9箇所を破壊した。残りは、1505と0708。実は1505はダミーキューポラだからベルギー軍は1505はあきらめて、0708防衛に集中する。ベルギー軍は2分隊で森にいるドイツ軍に近接突撃を行い、50%の確率でベルギー軍が全滅、33%の確率でドイツ軍が全滅する可能性があるにもかかわらず、サイコロの目1を出し、ドイツ軍第9分隊を全滅させた。
第5ターン ベルギー軍は0708トーチカを6個分隊で守る。さらに7個分隊が背後からドイツ軍に襲いかかる態勢だ。兵力はベルギー軍13個分隊、ドイツ軍8個分隊。この態勢だとドイツ軍は0708トーチカを破壊するのはかなり難しそうだ。
第5ターン ドイツ軍の射撃でベルギー軍第4分隊全滅。ドイツ軍の防御射撃でベルギー軍第9分隊全滅。前回2個分隊で1個分隊を全滅させたため強気になったベルギー軍は、0709, 0808から2分隊で0809を近接突撃してサイコロの目は6!!結果はAe!!これが敗着だった。0708トーチカに隣接するヘクスがあいたので、続く第6ターンにドイツ軍は爆破して勝利条件対象の全11トーチカ破壊に成功した。
現実だとこの後、続々と集結するベルギー軍に包囲されてドイツ軍が全滅するのは時間の問題だろう。しかしエバン・エマール要塞の主要部分を破壊することには成功したのでドイツ軍による電撃作戦の成功は変わらないだろう。
第5ターンのベルギー軍による無謀な近接突撃が敗着だったので、それをしなかった場合どうなるか巻き戻してプレイしてみた。
ドイツ軍は残った8個分隊が0708トーチカに集結しようとするが、ベルギー軍は11個分隊もいる。さらに増援で2個分隊来るので、ドイツ軍対ベルギー軍の分隊数は、8対13になる。
このゲームの場合、『戦闘指揮官』(Squad Leader)シリーズのような戦闘不能ユニットが脱出しなければならないルールがない。また、くぎづけ状態にさらにくぎづけや状態の結果が出ても何も影響がなく、全滅の結果を出さなければならない。そのため、0708トーチカに隣接するベルギー軍分隊がくぎづけ状態でもトーチカに爆薬を仕掛けることを防ぐ効果がある。
第7ターン ベルギー軍は4個分隊でドイツ軍1個分隊を囲み、近接突撃を敢行した。部隊数差+3で地形修整+1なので、サイの目6だとベルギー軍は全滅するが、ドイツ軍は1/2の確率で全滅する。この確率ならベルギー軍の勝利は確実だ。だが失敗したときの悲劇までは考えていなかった。
サイコロの目は無情にも6!ベルギー軍4個分隊が全滅した。
第9ターン、ドイツ軍はなんとか0708トーチカに隣接する位置にとりついた。しかし、0708トーチカに仕掛けた最後の110ポンド爆薬はサイの目5以下なら爆破成功なのに、無情にもサイの目6だった・・・。爆破失敗。
しかもその後のベルギー軍射撃により、0709にいるドイツ軍第10分隊はくぎづけ状態になってしまった。
そのため、次のドイツ軍移動フェイズに、くぎづけ状態でない分隊が0708トーチカに隣接できる可能性はゼロとなった。これでベルギー軍の勝利が決定した。
リアルならドイツ軍降下兵は残った5個分隊はベルギー軍8個分隊に囲まれているので、これ以上の損害を出さないために脱出をはかるだろう。エバン・エマール要塞は大多数の砲台を破壊されたため要塞としての役目を果たせないので、ドイツ軍のフランス進撃を止められないため、電撃戦は成功するだろう。
・・・と、ここまでやったところであらためてルールブックを確認すると、近接突撃でDeやAeの結果が出たとき、攻撃側はOne of the attacking units is eliminated(owning Player's choice).だし、防御側はもともと1部隊が攻撃を受けているから1部隊の除去だった・・・。これならもっと積極的に近接戦闘しかけてもいい。状況また変わる。ちょっとしたルールの違いでゲームの雰囲気が変わってくるものだ。シミュレーション・ゲームやってるとルールの勘違いやルール忘れは必ずあるが、おかげでテストプレイしてはルールを変更するゲーム制作現場を追体験できた。(笑)
それはともかく、このゲームは、古いゲームだが、短時間で、アクション映画の無敵のヒーローになった気分で、気楽にサイコロ振って楽しめるので、好きなゲームだ。