Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

WGJP013『最後のサムライ 西南戦争』の補給切れルールに関するディスカッション



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ウォーゲーム日本史第13号の付録ゲーム『最後のサムライ 西南戦争』をVASSALで対人戦練習プレイをしていたときルール上の疑問点が出た。

二人でルール・ブックを読み直したり史実を考えたりして話しをした。

結果的には自己解決したが、こういうのもウォーゲームの楽しみの一つだ。

 

◆ウォーゲーム日本史(国際通信社) ─ VASSALモジュール

 

 

【1】状況

下の写真のような状況だ。

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政府軍担当の私は満を持して「黒田清隆」カードを切って八代に上陸した!!

史実でも日奈久に衝背軍が上陸して熊本まで進軍した。それとほぼ同じ状況だ。
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上陸軍は八代にいた薩軍を蹴散らして除去した。
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次のカードで私は宇土から熊本へ攻め上るか人吉から鹿児島へ南下するか、どちらにしようか考えていた。

 

【2】補給切れ!?

 

私が八代スペースを活性化させようとしたら、対戦相手が「八代は補給切れで移動も戦闘もできないのでは?」と言う。

「えっ!?」と驚いた私達はルールブックを読み直した。

 

「行動フェイズで手札を使用する際に、自軍支配の補給源スペースまで連絡線を辿ることができないユニットは補給切れとなる。」

「補給切れのユニットは(中略)①移動あるいは攻撃のために活性化することはできない。②孤立フェイズに、補給切れのユニットは除去され予備ボックスに戻される。」

と[11.0]補給ルールに書いてある。

 

政府軍の補給源は本州と熊本で、どちらも陸上では八代まで連絡線が通らない。

 

「え!?では、衝背軍が熊本包囲を解くために史実通りに薩摩軍の後方に上陸して進軍できないの?」と思った。

 

この状況で八代の政府軍が補給切れになるとすると、「黒田清隆」カードによって、薩摩軍後方に上陸することは、十死零生の特攻隊になる。

「それはいくら何でもひどいよね」と意見が一致した。

 

本州まで陸路で連絡線が通る所でないと上陸できないなら海上輸送と同じだ、と思った。

それだと西南戦争のシミュレーションとしては不十分だと思った。

 

また、例外として、薩軍、上陸ユニットは常に補給下であるとみなす。」とある。

この文の「薩軍」の後ろの「、」の意味がよくわからなかった。「、」は文節を区切る場合と「AとB」という意味に使う場合とがある。

解釈A 薩軍の上陸部隊ユニットは、常に補給下であるとみなす。

 この解釈だと「、」は削除すべき誤字となる。

解釈B 薩摩軍全軍と薩摩軍上陸ユニットは、常に補給下であるとみなす。

 この解釈だと、薩摩軍は補給源を考慮する必要がなくなり「補給源」マーカーや「野村忍介」カードを作る必要がない。

解釈C 薩摩軍全軍と上陸作戦を実施した両軍ユニットは、常に補給下であるとみなす。

 この解釈も、解釈Bと同様、薩摩軍は補給源を考慮する必要がなくなり「補給源」マーカーや「野村忍介」カードを作る必要がない。

 

私達の間では、解釈Aを採用した。

 

再度、ルールブックをあちこち読んでみると、[10.2]連絡線に、「政府軍側は自軍支配下の海岸スペースから別の自軍支配下の海岸スペースまで連絡線をたどることができる。」とある。

 

今回の場合、海岸スペースである小倉から八代まで連絡線をたどれるから八代は補給切れにはならず、活性化でき、八代の部隊は移動や戦闘ができる。

もっとも、八代の部隊が移動して空白になった時に八代を薩摩軍が占領したら、この部隊は補給切れになり活性化できなくなるのだが・・・。

 

ウォーゲームをプレイしていると、こういう形でルールを探したり、ルールの解釈をめぐって話し合ったりすることが、時々ある。

 

ルールを探すのは少し面倒ではあるが、解釈をめぐって史実を考えたりケースを考えたりゲームのデザイン思想を考えたりしながら議論するのも、ウォーゲームの楽しみの一つで面白い、と私は思っている。