1982年にエポック社から発売された『日本機動部隊』は、大好きなゲームの一つだった。2019年にJapan War Game Classicsの一つとして発売された。
ゲーム盤やユニットのデザインがカラフルで美しくなってて嬉しい。
ルールブックもカラフルかつ例が豊富でわかりやすい。
自作ソリティア・シナリオビスマルク海海戦シナリオを作ってみた。
今回は、それをプレイしてみたバトル・レポート(AAR)である。
自作シナリオはこちらのリンク先を参照。
haruichiban0707.hatenablog.com
史実では日本軍輸送船団は壊滅したが、どうなるだろうか?
【0】初期配置
初期配置は次の通り。
【1】第2ターン(1943/03/02 0300)
日本軍は前進した。
米軍索敵機が0910、0911に「敵影見ズ」と報告をあげた。0912は連絡なしだ。
【2】第3ターン(1943/03/02 0600)
夜が明けた。
米軍索敵機からの連絡はない。
日本軍輸送船団上空には米軍索敵機の姿が見えない。
作戦実施当初は無謀と思われた作戦だが、案外うまくいくかもしれない、と楽観的な空気が日本軍司令部に漂う。
【3】第4ターン(1943/03/02 0730)
このターンは偶数ターンのため、輸送船の移動はなしだ。
1012から「敵影見ズ」の報告が米軍司令部に入ってきた。
その他の地点からの連絡はない。
【4】第5ターン(1943/03/02 0900)
日本軍は前進する。
1112,1113から「敵影見ズ」の報告が米軍司令部に入ってきた。1114からは連絡がない。
「どうやら想定より日本軍は遅く出発したのかもしれない。」とアメリカ陸軍第5空軍のG.C.ケネー中将がつぶやいた。
「カタリナ飛行艇もB17も上空に現れませんな。」水上護衛部隊の木村昌福少将に副官が語りかける。
「まだ昼前だ。わからないぞ。油断するな。」と木村昌福少将が答える。
【5】第6ターン(1943/03/02 1030)
1114,1116を索敵中のカタリナ飛行艇から「敵影見ズ」の報告が入った。
「いったい、敵はどこにいるのだ?ラエに敵が輸送する、という暗号は偽だったんじゃないか?ジャップはずる賢いからナァ」とケネー中将がつぶやいた。日本艦隊を発見できず少し焦ってきて爪を噛むケネー中将だった。
【6】第7ターン(1943/03/02 1200)
「敵さん現れませんな。敵さんも明日のひな祭りを祝ってるんですかね。」と木村昌福少将に話しかける副官。
黙って唇を噛む木村昌福少将だった。
上空には頼もしい零戦隊36機が護衛していた。
「敵はいったいどこにいるのだ?」ケネー中将のうわずった声が米軍司令部に響いた。
索敵に出したカタリナ飛行艇からは連絡がない。
【7】第8ターン(1943/03/02 1330)
米軍索敵機からの連絡はない。
ケネー中将がイライラしている。
【8】第9ターン(1943/03/02 1500)
このターンから索敵不可になる。日本軍はなんとか初日は米軍に見つからずにすんだようだ。
木村昌福少将に安堵の表情が浮かんだ。
陸軍司令部も聯合艦隊司令部もホッとした空気に包まれた。
【9】第10ターン(1943/03/02 1630)
【10】第11ターン(1943/03/02 1800)
日本軍は艦隊とダミーマーカーを合計12個に増やした。
【11】第12ターン(1943/03/02 2100)
日本軍はマーカーをスタックさせてどこに本物の艦隊がいるかわからないようにした。
【12】第13ターン(1943/03/03 0000)
【13】第14ターン(1943/03/03 0300)
1611,1612から「敵影見ズ」の報告がアメリカ軍司令部に入ってきた。
アメリカ軍は夜を徹して機体の整備をして、すでに攻撃隊を発進させている。
日本軍も上空直援の零戦隊を発進させている。
【14】第15ターン(1943/03/03 0600)
このターンも米軍司令部には索敵機からの報告がない。
【15】第16ターン(1943/03/03 0730)
1712,1713を索敵していたカタリナ飛行艇から「敵影見ズ」の報告が入った。
【16】第17ターン(1943/03/03 0900)
1810,1814,1710から「敵影見ズ」の報告が米軍司令部に入ってきた。
残り4ターンでマーカー5個から日本軍艦隊を発見し攻撃できるか?
【17】第18ターン(1943/03/03 1030)
このターンはローテーションの関係で日本軍上空に零戦隊がいなかった。
「今が米軍に襲われたら一番危険だ。」と木村昌福少将が上空に眼をこらしながらつぶやいた。
1713から米軍司令部に「敵影見ズ」と索敵機からの連絡があった。
「敵艦隊がいない、という情報はほしくない。敵はいったいどこにいるのだ?」とイライラしながらケネー中将が歩き回る。
【18】第19ターン(1943/03/03 1200)
1811から「敵影見ズ」の報告が米軍司令部に入ってきた。
1812からも「敵影見ズ」の報告だ。
焦りの色が濃くなるケネー中将だった。
そこに、「1814に敵艦隊発見。輸送船8隻!駆逐艦8隻です!」とカタリナ飛行艇から待望の連絡が来た。
「よし!すぐに1814に攻撃隊を向かわせろ!!」とケネー中将が命令する。
平文で攻撃隊に連絡が飛んだ。
雲間に小さい黒点が見えた。「1時の方向、敵飛行艇一機。」と見張り員の声だ。
双眼鏡でその方角を見た木村昌福少将は、確かにカタリナ飛行艇を確認した。
上空にいる零戦隊3機がカタリナ飛行艇を追い払おうと追跡する。
「そろそろ来るぞ。」とつぶやいた木村昌福少将は、「対空戦闘用意!」と命じた。
【19】第20ターン(1943/03/03 1330)
ついに日本軍輸送船団上空で戦闘が始まった。
日本軍は零戦隊27機(3ユニット)、
米軍はP38, P40が36機(P39,P40, F4Fで代用4ユニット)とボーファイター18機(SBDで代用2ユニット)、A20が18機(TBDで代用2ユニット)だ。
零戦隊は4ステップ2ユニット、米軍P38, P40(F4F,P39,P40で代用)が6ステップ3ユニット、ボーファイター(SBDで代用)が3ステップ1.5ユニットが墜落した。
下の写真でダイスより下が両軍の損害だ。
米軍が次の写真のように襲いかかった。
右端の輸送船がボーファイター(SBDで代用)の雷撃で1隻沈没した。
右から3番目の輸送船はA20(TBDで代用)の攻撃で、1隻沈没し残った1隻も大破した。
左から4番目の輸送船はA20(TBDで代用)の攻撃で、1隻沈没し残った1隻も大破した。
【20】第21ターン(1943/03/03 1500)(最終ターン)
いよいよ最終ターンだ。
現在日本軍の輸送船は2.5ユニットが生き残っている。2ユニットが生き残れば日本軍の勝利だ。
日本軍は零戦隊18機(2ユニット)が上空直援している。対する米軍は戦闘機4ユニットとB17が2ユニットだ。
空中戦の結果、零戦隊1.5ユニット、米軍戦闘機も1.5ユニットが墜落した。
ダイスの下が両軍の損害だ。
B17が日本軍輸送船に水平爆撃をする。
日本軍の対空砲火は2火力でダイスは6で効果なしだ。
B17の水平爆撃は対艦攻撃力2でダイスは2で輸送船沈没!!
日本軍の対空砲火は2火力でダイスは3で対艦攻撃のダイス修整+1だ。
B17の水平爆撃は対艦攻撃力2でダイスは2+1=3で輸送船沈没!!
【21】勝利条件の確認
ラエ(19XX列)に到着した日本軍輸送船は1.5ユニットで勝利条件の2ユニット未満のため、連合軍の勝利だ。
【22】感想
日本軍の損害は輸送船2.5ユニット(5隻) 零戦3.5ユニット(32機)
米運の損害はボーファイター(SBDで代用)1.5ユニット(14機)、P38,P40(P39,P40,F4Fで代用)6ユニット(54機)だった。
史実では日本軍輸送船は全滅し駆逐艦も半数を失ったのに対して、輸送船5隻だから、史実よりは日本軍はマシだった。だが本来の目的である輸送は不十分だったといえるだろう。
航空機の損害は両軍とも史実より大きかった。
史実ではアメリカ軍はB17が2機、P38が4機で合計6機、日本軍は零戦5機だけだった。
どうしてそんなに両軍とも損害が小さいのか不思議だ。
シナリオとしては、上空=>攻撃という流れにして上空から発艦準備に戻れないようにしたため、攻撃隊のローテーションによっては攻撃不可能となったり、上空直援できなくなるタイミングが出る可能性が出て、スリルが増すと思う。
今回のように空母vs空母の地図盤を使うと、索敵で日本軍輸送船団を発見できない可能性が高くなる。しかし、実際の地図上だと、目的地が決まっているので、どのマーカーを索敵するか迷うことがないだろう。そうなると史実同様、日本軍輸送船団全滅の可能性が高まるだろう。
その場合、連合軍の勝利条件は日本軍輸送船団の全滅にすればいいだろう。
ボード・ウォー・ゲームのいいところは、こうしてルールを改変して自分でシナリオを自由に作成できるところだ。
コンピュータを使ったゲームだと、登場兵力や戦場は変更できてもさすがにルールまでは変えられない。
デザイナーズキットを使って、地図や代用ではないユニットを作成してみたい。