サンセット・ゲームズ社『聯合艦隊』(Fleet Battles)用の自作シナリオを作成した。
最近は、国会図書館で昔の書籍を読むことができる。
連合軍側の視点で書かれた通称『モリソン戦史』のサミュエル・エリオット・モリソン
『モリソンの太平洋海戦史』のバリ島沖海戦の章(連合軍側は、バダン海峡海戦)を読んでみた。
『戦史叢書』と並べて読むと、同じ海戦なのに、全然様相が異なること、夜戦だから両軍ほとんど何もわからない状況で戦っていたことに驚く。
味方同士衝突しそうになるし、誤射するし、艦種誤認や戦果判定の誤認しているし、当時の夜間の海戦の実相が、ゲーム盤上の様相とは全然違うことがよくわかる。
時刻の違いにも驚く。
例えば『戦史叢書』では「敵艦は急速に接近し午前零時、距離二、000米以内で照明弾を打ちながら「朝潮」に向かい射撃して来た。」とあるが、『モリソン戦史』では「同艦(オランダ巡洋艦『ジャヴァ』のこと)は二二時二五分に砲門を開いた。」とある。『戦史叢書』は日本時間、『モリソン戦史』が現地時間だとしても、1時間35分の差は何だろう?時差1時間だと理解できるのだが・・・。
『モリソン戦史』を読むと、オランダ海軍のドールマン海軍少将は、兵力が分散しており、陣容を整えることが困難だったため、三梯隊で順次に日本軍を攻撃させることにした、とある。
『モリソン戦史』を読んで、戦場の地形や特別ルールや勝利条件やシナリオ開始時の速度を変更してみたのが、次の改修版シナリオである。
改修版シナリオ
1942年2月20日未明のバリ島沖海戦をテーマにした。
この戦いのバトル・レポート(AAR)だ。
といえば聞こえがいいが、実際は、テスト・プレイだ。
果たしてどうなるだろうか?
■第一次合戦初期配置
地図盤左側にはバリ島が右側にはレンボンガン島があるため、この細い盤上が戦場になる。
■第1ターン(1942/02/19 2350)
朝潮の艦上で「敵艦発見!4時の方向7000m!オランダ軽巡デロイテルとジャワです!」の見張り員からの報告だ。
朝潮では「雷撃戦用意!」の命令が下達された。
■第2ターン(1942/02/19 2356)
バンダ海峡に入った連合軍の艦上では緊張しているがまだ日本軍艦を発見していない。
「魚雷発射!」大潮と朝潮から魚雷が放たれた!
デ・ロイテルに大潮放った魚雷が1本命中!!
艦首が完全に破壊され切断された!!
二番艦のジャワにも二本命中!!一本は不発!
連合軍はまだ日本軍がどこにいるか気づいていなかったが、見張り員が周囲をよく見回して、ようやく発見した。
「敵艦見ゆ!前方12時の方向と2時の方向にそれぞれ1隻ずつだ!」
機先を制して日本軍が砲撃を開始した。
大潮の砲撃がデ・ロイテルに命中!!
「方位盤が破壊されました!!」
朝潮の砲撃もジャワをとらえた!
連合軍もようやく反撃開始だ。
デ・ロイテルの砲撃もジャワの砲撃も朝潮に集中したが命中弾はなかった。
■第3ターン(1942/02/20 0002)
デ・ロイテルの砲撃が大潮に命中!
ジャワに火災発生!
ジャワが沈没!!
ピートハインの雷撃は外れた。
連合軍のPLが0になったので日本軍の勝利だ。
日本軍も大潮が中破しPLが16に減った。
■感想
戦力から見ると、日本軍が苦戦するかと思ったが、今回も、日本軍の勝利だ。
しかし、今回は連合軍も大潮が中破した。
日本軍は史実以上の勝利だ。
史実通りかどうかはおいておいて、ゲームとしては少しバランスがとれただろう。