Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

小林源文『カンプグルッペZbv【完全版】』学習研究社(2003/02/28)

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小林源文氏オリジナル劇画だ。

 

脱走兵や軍法違反者を集めた懲罰大隊は通常、地雷除去や死体処理などが任務で戦車などの戦闘車輌を持たないものだが、この物語は違う。

脱走兵やならず者たちを集めた捨て駒戦車部隊だ。

えん罪で脱走兵とされたアッシュや、巨体と上を上と思わないコワルスキー。

クソ真面目なブルクハイト中尉。

皆の軍隊手帳を預かるイヤミなシュルツ准尉。

モスクワの前面で逃亡しようとしたためカンプグルッペZbvの指揮官にされ、常にコートの襟を立てて顔を隠すカンプグルッペZbvを率いるシュタイナー少佐。

 

カンプグルッペZbvは、他の部隊を救うために、捨て駒としてこき使われる。

それでも最善を尽くして戦い続ける・・・。

 

懲罰大隊というのは聞き慣れないが、HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)に第6懲罰大隊が登場する。本劇画の「あとがき」によると懲罰大隊は3個(第333、第666、第999)あったそうだ。

HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)の第6懲罰大隊もその一つだろうか?

もしそうなら、東部戦線と西部戦線の違いはあるが、このユニットの中にこの劇画に登場するアッシュやコワルスキーのような兵士たちがいたのかもしれないと思うと、HJ『マーケットガーデン作戦』(Operation Market-Garden)をプレイするときに想像が膨らむ。

 

 

「あとがき」によると、某模型専門誌に連載していた作品だそうだ。

当時小林源文氏はサラリーマンをやりながらの兼業劇画家だったそうだ。

模型誌が50ページほど原稿を紛失したため掲載誌から版を起こしケント紙に転写し手を加えたそうだ。

 

[感想]

小林源文氏のリアルな戦場の描写に加えて、登場人物たちの顔が見分けやすく性格もわかりやすく、ストーリーも追いやすい。

それぞれのメンバーの外伝も読みたくなる。

ドイツ軍が敗勢になった頃が舞台なので、戦争の悲惨さと、滅んでいく祖国の運命に抗おうとする悲壮な兵士たちの姿に、感銘を受ける。

小林源文氏の最高傑作はこれだ!」と私個人は思う。

 

史実の物語ではないが、独ソ戦戦術級ゲームの参考文献の一つとして、蔵書に加えておくといい作品の一つだ。