Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

『ドイツ戦車軍団 ダンケルク』作戦研究

『ドイツ戦車軍団』の『ダンケルク』は、ドイツ軍が一方的に攻め込む。連合軍は、どう秩序だった退却をするか、その中でどう一矢を報いるか、を問われるゲームだ。

万に一つもドイツ軍の進撃を押しとどめ、ミューズ川の東に押し返す可能性はないだろう。

そこでどう秩序だった退却をするか作戦を考えてみた。

 

【1】南西端への後退案

水色の戦線を守りつつ、サンブル川沿いの黄色い線に向けて退却する。

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図1-1:第1ターン

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図1-2:第2ターン

水色の戦線を維持しながら黄色い戦線に向けて秩序だって後退する。ドーバー海峡沿岸は放棄し地図盤南端との連絡路を確保する。

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図1-3:第3ターン

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図1-4:第4ターン

黄色い戦線を作り、地図盤南端への連絡路を確保する。

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図1-5:第5ターン

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図1-6:第6ターン

この作戦が成立するか、ソロ・プレイで試してみた。

しかし、実際にやってみると、図1-7のように、赤丸で囲んだ部隊が早々に壊滅し戦線を維持できない。ドイツ軍戦車部隊の脚が早いため、黄色い戦線を作る前に赤い矢印のように突破されてしまい、この作戦は成立しない。

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図1-7:作戦1の結果

【2】ドーバー海峡への後退案

南西端が無理ならばドーバー海峡目指して後退する案を検討してみる。

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図2-1:第1ターン

なるべくサンベジ川で戦線を張りながら、北西に兵力を集める。

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図2-2:第2ターン

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図2-3:第3ターン

黄色い戦線を作るために水色の戦線の部隊は時間稼ぎをしながら後退する。

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図2-4:第4ターン

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図2-5:第5ターン

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図2-6:第6ターン

こうしてドーバー海峡沿岸の港を守り切り、壊滅する部隊数を減らることが目標だ。この作戦が実現できれば、史実以上にイギリスへ脱出できる兵力数が増え、戦争の流れが大きく変わったかもしれない。

 

しかし、実際にやってみると、図2-7のように、作戦1同様に赤丸で囲んだ部隊が早々に壊滅し戦線を維持できない。ドイツ軍戦車部隊の脚が早いため、図2-4の黄色い戦線を作る前に赤い矢印のように突破されてしまい、ドーバー海峡沿岸の港に後退する前に包囲されてしまう。川が、脚の遅い連合軍の移動を妨害してしまい、この作戦も成立しなかった。

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図2-7:作戦2の結果

【3】連合軍のとるべき作戦

作戦1と作戦2が成立しないとすると、連合軍がとれる作戦は南北に戦線を作り、少しずつ後退し、少しでもドイツ軍に出血を強いるしかない。

なるべく水色の戦線を維持する。

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図3-1:初期配置

水色の戦線を維持しながら、黄色い戦線を張る準備をする。

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図3-2:第1ターン

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図3-3:第2ターン

 

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図3-4:第3ターン

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図3-5:第4ターン

後退するが、ドーバー海峡沿岸と南端への連絡路を確保する。

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図3-6:第5ターン

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図3-7:第6ターン

ここでは作戦を考える上でどの部隊が来るかわからない増援は考えていない。

戦線を維持しつつ、孤立したドイツ軍部隊を包囲して1部隊でも多く壊滅させることを狙うのが連合軍の作戦になる。勝利ポイント上、ドイツ軍1戦力は連合軍1戦力の2倍だからだ。連合軍は全滅しても64戦力。ドイツ軍が35勝利ポイントをあげるにはドイツ軍の損害を64-35=29以下、つまり14.5戦力以下にしなければいけない。

連合軍を全滅させるのはさすがに難しいので、50戦力を壊滅させたとして、50-35=15つまりドイツ軍は7.5戦力以下に損害を抑えないといけない。逆にいうと連合軍はドイツ軍歩兵4-4を2ユニットを包囲して壊滅させれば、勝利する可能性がある。

機動を急ぐドイツ軍だと2ユニット程度ならば、ミスをして孤立してしまい連合軍に包囲される可能性は十分にある。

勝利ポイントで勝っても勝った気になれないものだが、史実以上の結果が出せるかどうかはヒストリカル・シミュレーション・ウォー・ゲームの楽しみの一つだろう。

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