Haruichiban0707のウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開したウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン タクテクス TACTICS 第40号(1987/3/1)

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TACTICS第40号(1987/3/1)を読んでみた。

特集は「ゲリラ戦」

付録ゲームはファンタジーゲームの『メレー』(Melee)『デス・テスト』(Death Test)。

 


もくじは次のとおり。

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p.6 Target Materials

TH 『トップガン

元はFASA社の『Top Gun』だ。特徴はユニットがプラスチックモデルということ。

こんなゲームがあったのですね。

VG FRANCE 1944

ノルマンディ上陸作戦以後の1944年7月から1945年3月までのゲーム。

AH 『宇宙の戦士』(Starship Troopers)

新発売でもないのに、なぜか今頃、紹介されている。

『Strategy & Tactics』誌の103号から107号のゲームが紹介されている。

 

p.20 チトー パルチザンの戦い ユーゴスラビア 1941-45 リチャード・ラスチン S&T誌81号より 勝部信一/訳

バルカン半島ユーゴスラビアパルチザンの戦いぶりがよくわかる記事だ。

地続きの大国に挟まれた小国や少数民族の過酷さは日本人とは比べものにならないと思う。

 

p.26 スペイン人のスペイン「半島戦争」シナリオの対仏作戦 デヴィッド・パールマン 抄訳 西村ヒロユキ

ゲリラの語源はナポレオン戦争期のスペイン民衆の抵抗だ。本誌が出た頃、ナポレオン戦争ゲームでスペイン人のゲリラ戦を再現できたゲームは、AH『戦争と平和』(War and Peace)で、同ゲームのシナリオ8に「半島戦争」があるそうだ。どんなシナリオか興味はあるが、スペイン側はなかなか難しいだろうなぁ。

 

p.28 ロビンの森の住人 <AH>"ロビンフッド"の駒と人物 レックス A. マーチン 山本史生/訳

ロビンフッドはおとぎ話の世界の人と思っていたが、『タクテクス』誌第7号で、実在の人物と知った。ゲリラ戦を戦った一人ということで、ロビンフッドに登場するユニットと性格や背景を解説した記事だ。日本のスサノオによるヤマタノオロチ退治や『桃太郎』や『金太郎』も、おそらく実際には戦争があり、神話やおとぎ話に姿を変えたのだろうな。

 

p.34 ”ニイタカヤマノボレ”とはこんなゲームです。 佐藤大輔

ハワイに逃げ延びた榎本武揚によりハワイが独立国となり、1941年12月8日、アメリカ軍の真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まった、という仮想ゲームだ。

面白い設定だ。さすがは後に仮想戦記で一時代を作った佐藤大輔氏の作品だと思う。

 

p.36 SPI式ゲーム・デザインの秘密 その2 ステファン B. パトリック 井上譲二/訳

リサーチした結果をもとに、どう数値化するか、ルールにどう集約し書くか、プレイテストをどうやるか、についてまとめている。ユニットの数値化が批判を浴びやすく難しいのに対し、地形についてはデザイナーが自由に作れる、というのはなかなか面白い。

 

p.77 ”独ソ戦"をリフレッシュしよう <AH>”独ソ戦”上級(戦略)ルールを考える タイロン・ボムバ

『タクテクス』第38号に載ったタイロン・ボムバ氏の上級ルール案の背景説明と、アバロンヒル社からの回答だ。どちらの主張も一長一短があると思う。オプション・ルールとしては採用してもしなくてもいいと思う。

 

p.83 日本兵登場! "戦闘指揮官"太平洋版ヴァリアントがウォーゲーマーに載ってたよ、というお話し 戸島毅

この頃の『タクテクス』誌は、The General誌、Heroes誌、The War Gamer誌、グレナディア誌、Strategy & Tactics誌、Fire & Movement誌と提携していた。The War Gamer誌30号にワイルド・ビル・ワイルダー氏が、『血と砂』(Blood and Sand)という、自家製ルールを発表しているそうだ。日本軍特別狂暴化ルールや軍用犬ルールがあるそうだ。AH『戦闘指揮官』(Squad Leader)では日本軍は登場せず、Advanced Squad Leader(ASL)シリーズまで待たなければいけなかったが、熱心なファンがゲームを自作するエネルギーに感心する。

 

p.86 石川輝の戦術基礎講座

『タクテクス』第35号で好評だったので、6回予定で連載開始した。

今回は「攻撃の原則」だ。

『タクテクス』第35号では、次の2つが重要と説明されていた。

1.集中の原則

2.奇襲の原則

そして、「的確な状況判断による集中・奇襲の原則に合致した主導的な戦術」が重要ということだった。

攻撃の原則は、次の7項目。

1. 敵部隊の撃滅

2. 緊要地形の獲得

3. 戦闘力の集中

4. 機動の発揮

5. 火力の優越

6. 奇襲

7. 警戒

 

攻撃において重要なのは次の3点。

1. 包囲

2. 迂回

3. 突破

 

包囲においては、次の4点。

①一翼包囲

②両翼包囲

③空中包囲

④一部による包囲

 

敵の包囲対抗策。

①延翼 機動力のある予備部隊を保持している場合、その予備をもって包囲部隊にあてること

②逆包囲

 ア. 後方部隊の加入

 イ. 他方面の兵力の抽出・転用

 ウ. 全線又は一部を後退し包囲部隊の外翼に出る。

③わが助攻正面(又は包囲軸)に対する攻撃

④縦深にわたる予備の陣地

⑤翼の後退

⑥後退

 

図が豊富でわかりやすい記事だ。

 

p.90 続岡田厚利氏大いに語る

国産戦術級陸戦シミュレーションゲームの一つ『コンバインドアームズ』のデザイナーである岡田厚利氏が、ゲーム・デザインの背景を大いに語っている。

ゲーム・デザインが膨大なデータから取捨選択する作業であることがよくわかった。

 

p.92 SDFシリーズ企画ノート 本土決戦1995 佐藤大輔

アド・テクノスの大型プロジェクトにSDFシリーズというのがあったのは知らなかった。日本に侵攻してくるソ連軍に対する自衛隊の戦いを描いたゲームだ。

 

P.94 中国農場を越えて タクテクス30号折り込みゲーム<TSR/SPI>”中国農場”リプレイ&作戦研究 鍵和田淳

『タクテクス』30号の付録、SPI『中国農場』(Chinese Farm)のヒストリカル・ノートとリプレイだ。実際のゲーム盤の写真があり、とてもわかりやすい。

 

p.103 みなさんのお便り

『タクテクス』35号で山崎雅弘氏のお便りに始まり、36号で大学で西洋史を学ぶ時田進氏や38号で松本氏の反論、そしてこの号では山村右近氏と山崎雅弘氏のお便りが掲載されている。シミュレーション・ゲームと歴史についての議論が熱い!

歴史の学習にウォーゲームが使えるか、ということがテーマだ。

この後どこまで議論が進むのだろうか?

『タクテクス』35号の山崎雅弘氏は、「歴史から教訓を学び取り似た境遇に立ったときの判断を助ける役割を果たしてこそ価値がある」と言う。「「少なくとも起こり得た状況」の複製として研究する価値がある。」という。その結果、当時と同じ結果が出にくくてもいい、と書いている。

36号の時田進氏は、「ゲームをデザインする場合でも、歴史を研究する場合でも共通していることは、個々の事柄だけではなく、それらを有機的に組み合わせて、全体を構成していくことが必要」で、「デザイナーは歴史上の事実そのものを再現するゲームを作るのではなく、それをもとにして当時の背景やその要因を認識し、それらの中から必然と偶然を見いだしていって、始めてそのゲームの中に可能性を折り込む事ができるのです。そしてそこからさらに教訓を学び取り、役立ててゆくのはプレイヤー」だと主張している。

38号の松本直極氏は、時田氏を「歴史とゲームの相関関係の過大評価」と批判している。「ひとつの国家が敗戦によって滅亡したとすれば・・・その滅亡は開戦前から準備されたものである・・・しかし、そこまで包含することは、通常のゲームの能力を大きく超えるでしょう。」「ゲームという形式を捨てぬ限り、非常にせまい意味での歴史を、しかも歪んだかたちでのみ反映するものでしかない」と語る。

本号で山村右近氏は、松本氏に反論する。松本氏は「シミュレーションゲームを「デザイナーが設定した条件下において、プレイヤーがどれだけのことを為しえるかを試行するところのもの」と定義付け」ている。「こうしたプレイヤーの行動を規定する条件の選択という行為はデザイナーの専権事項であ」り、「デザイナーの歴史意識が、彼の選択した行動条件の中に色濃く反映される」のであり、「シミュレーション・ゲームは根本的意味において、主観的産物なのです。」だから「プレイすることを通してある特定の事実に対するデザイナーの解釈を知ることである。」だからゲームは歴史論文と同等の地位を得る、と言う。

本号では、山崎雅弘氏は、「ゲームだけで歴史を学べるかどうか(中略)は別として・・・書物も写真も絵画も、ゲームと変わりないんじゃないですか?」と言う。山崎氏は1967年生まれのようだから、このお便りは20歳前後のようだが、筆力が凄い。