Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン『SIMULATOR』第12号(1984/09/25)

 

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隔月刊の『SIMULATOR』誌。当時の価格で400円。全67ページ。

p.6 パネル・ディスカッション ゲームデザインにおける創造性 司会:鈴木銀一郎 パネリスト:高梨俊一 黒田幸弘

 

高梨俊一氏は、ゲームを作る時の「バランスが大事」だと言っている。

 

シミュレーション・ゲーム界が、データ派と歴史派(シミュレーション派)とゲーム派に分かれている。それぞれに対して黒田氏が論理的かつ的確に論評している。そして、「シミュレーションゲームとは、歴史の再構成」と定義し、「歴史の流れはデータの一つであり、そこに至る流れを研究してデータを取捨選択し、プレイヤーにモデルを再構成できるようにすることがゲームデザインだ」と明言している。「シミュレーションゲームにおける創造性とは、モデルを構成するためのデータの選択」であり、「いろいろな実験ができることが望ましい。(略)データを取捨選択すること、それがすなわち新しいルールやシステムをつくるということであり、それがシミュレーションゲームにおける創造性」だとまとめている。

 

お二人とも、とてもわかりやすく、論理的に話しており、今の私よりずっと若いのに凄いと思った。

 

p.24 ハンガーからみた日米航空母艦 塩谷伸一郎

航空母艦の設計に関する日米比較だ。日本の航空母艦の格納庫がクローズ型、アメリカのそれはオープン型だった。太平洋戦争の戦訓から見ると、アメリカの方に分があった。

アメリカの艦載機は主翼が大きく折り曲げられ、空母に乗せた時に小さくなり、そのために、多数の艦載機を搭載できる。日本の場合、零式艦上戦闘機にせよ、99式艦上爆撃機にせよ、翼端が小さく曲がるだけだ。これがなぜだろう?と小さい頃から思っていたが、塩谷氏も同様のことを書いているが、理由は書いていないのが残念だ。

 

p.35 New Games Guide 西部戦線シリーズ

HU『猛将パットン』、『オペレーション・グレネード』、『シシリー上陸作戦』の西部戦線シリーズについての紹介記事だ。

ライターの署名がないので、誰が書いたのかわからないが、この三部作に対して散々な書きようだ。

私個人はこのシリーズが好きなので、この記事を書いた人にはがっかりだ。

 

p.48 ゲーム・デザイン講座 ゲームの中のサスペンス 鈴木銀一郎

ゲームの面白さの要因の一つがサスペンスだ。

サスペンスも下のような種類があり、デザイナーの腕の見せどころだ。

①何が起こるか分からないサスペンス

②筋書が変わるサスペンス

③選択のサスペンス

④追いかけっこのサスペンス

⑤予測に対するサスペンス

⑥典型のサスペンス

 

p.50 デザイナーからの寄稿 アドテクノス『壬申の乱』のできるまで 高梨俊一

どのようにリサーチし、デザインしデベロップメントしたかがよくわかる。

こういう話を知ると、ぜひプレイしてみたくなる。

テストプレイヤーが陰暦だと6月30日がないことを知らなかったため、大海人皇子軍が完敗してしまっていた、という逸話が面白かった。

 

p.56 デザイナーから一言 高梨俊一

シミュレイター誌第9号の臼杵征一氏「イタ公のバッキャロー」という記事で、AT『アフリカン・ギャンビット』でイタリア軍の餓死禁止ルールを作るべき、という記事があった。それに対するデザイナーの高梨俊一氏の回答だ。

製作サイドで同じ意見が出ていたとのこと。

議論の経緯が興味深い。

 

 

p.57 お友達の声

戸島毅氏の投稿。前号のAH『戦闘指揮官』(Squad Leader)のバトル・レポート(AAR)で、「1J5が1F4を射撃できるか?」という問い掛けだ。

ルール・ブックのサンプルとして1J5から1F4を射撃している記事があるとのこと。

今、VASSALで見ると、射撃できるようだ。

 

戸島毅氏の投稿にあるように、どのユニットがどう動いたかの記述がないので、わかりにくいのは確かだ。将棋の棋譜と違って、ウォーゲームでは移動やダイスの目を正確に記載した棋譜を記録することがないので、仕方ない。

私は、ウォーゲームにも棋譜のようなものがあると研究が進むと思うのだが、このブログでバトルレポート(AAR)を書いて思ったが、ウォーゲームの棋譜はかなり大変だ。

 

次号も楽しみだ。