AH『電撃ドイツ戦車隊』(Crescendo of Doom)シナリオ30「ボラーンの緊急事態」(Ad hoc at Beaurains)をプレイしてみた。
このシナリオでイギリス軍AFVが登場する。
追加ルールは、134.イギリス軍装甲車量、135.移動中の車両だ。
勝利条件は英軍が12輌中の7輌の車両を地図盤東端から突破させると勝利だ。
両軍ともに地図盤上に配置せず英軍が西端から、独軍が東端から登場する。
数えてみると、西端から東端まで、道路と開豁地を通ると64ヘクスだ。
速度の遅い英軍戦車だと全ターン移動しないと勝利が覚束ない。
■第1ターン(1944/05/21)
英軍車両6輛が地図盤西端から入ってきた。
■第2ターン
ドイツ軍ハーフトラックSPW251/10に英軍の砲撃が集中するが命中弾なし。
ドイツ軍ハーフトラックSPW251/10の37mm砲を跳ね返しながら英軍A12が進撃する。
■第3ターン
英軍A12は全行程の1/2を越えた。A11は道路移動の特典がないのでなかなか進まない。
ドイツ軍の37mm砲は命中しても破壊に至らない。
■第4ターン
4Q9でドイツ軍37mm対戦車砲の射撃により英軍A12 F号車破壊!!
ドイツ軍の戦車隊が登場し、英軍と激しい戦車戦が始まった。
英軍戦車がドイツ軍の囲みを中央突破して通り過ぎていった。
6O6でドイツ軍トラックに英軍が射撃撃破!!
英軍A12は行程の3/4を突破した。
■第5ターン
6O9でドイツ軍Pzkw38t撃破!!
II号戦車のすぐそばを突破しようとしたA12!
II号戦車の20mm砲がA12の後面を射撃!撃破!!
■第6ターン
6P8でドイツ軍Pzkw38tがA11を撃破!!
6O2でドイツ軍III号戦車が撃破された!!
3O1で致命的命中によりA12がII号戦車によって破壊された!
英軍戦車2輌脱出成功した。
■第7ターン
A11の側面から40m(1ヘクス)の至近距離からの射撃で、III号戦車がA11を撃破!!
ドイツ軍は英軍をあと1輌破壊すると勝利だ。
■第8ターン
ドイツ軍の88mm高射砲が戦場に到着した。
Pzkw38tが4Q1でA11を後面から撃破!!
これで英軍の残存戦車が全て突破しても6輌であり勝利条件を満たせないのでドイツ軍の勝利
■感想
英軍は道路と開豁地を最大速度で突破するしかないだろう。
A12は装甲が厚く武装もドイツ軍と同等だから正面突破できるが、問題は脚が遅く武装も弱いA11だ。今回のようにA12が単独で前進するか、A11を待って援護しながら進むか迷うところだ。A11は機関銃しか武装がないので、A12とともに戦わないと進めない。
今回、A12はA11を置いて単独で突破をはかったが、本当は、A11を待ちともに戦いともに進むべきだったようだ。
当時の37mm砲では当時の戦車の装甲を貫くには力不足なのがよくわかる。
そのため当時の戦車でも十分歩兵支援できて役に立ったのがよくわかる。
現代人は、V号戦車やVI号戦車を知っているので、それらと比較して、1930年代の設計思想の戦車を見てしまい、評価してしまいがちだ。だが、こうして当時の兵器同士でシナリオをプレイしてみると、十分、使える兵器であることを理解できる。
それにしても当時の英軍戦車の設計思想は、なんでこんな戦車を作ったのか、と驚く。
戦車を歩兵支援に使う、というのは1930年代のどの陸軍もそういう思想だったのだから、A11やA12がこうなったのはわからないでもない。
しかし、A12は榴弾が撃てないというのは・・・。徹甲弾だけしか撃てない戦車と榴弾だけしか撃てない戦車の二本立てにするつもりだったのだろうか。何でもかんでも一種類でできるようにしたがる貧乏国日本とは対照的だが、当時の超大国英国は二本立てにすればいいと考えていたのだろうか。だとするとなんとも贅沢な話だ。
T-34登場以前の戦車の設計思想と要目はどこの国も似たようなものだと思う。そういう点では日本の97式戦車も決して負けていないと思う。ただ、日本は新型戦車開発速度が遅かったこと、大馬力のエンジンを生産できなかったこと、数を揃えられなかったことから、97式戦車を使い続けなければいけなかったのだ。当時の工業力の差だったのだ。
本を読んだだけではわからないことが、ボード・シミュレーション・ウォー・ゲームをプレイすることでよく理解できる、とあらためて思った。