Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

VASSAL対人戦! GJ021『日清戦争』バトル・レポート(AAR)

 


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ゲームジャーナル第21号には日本史ゲームが3個ついている。

そのうちの一つが『日清戦争』だ。

 

ゲームジャーナル第21号の『日清戦争』をA氏とVASSALで対戦した。

VASSALモジュールは下記サイトからダウンロードできる。

www.gamejournal.net

A氏が清軍、私が日本軍を担当した。

 

勝利条件は、第8ターンまでに日本軍が20点得点することだ。

得点は大都市、要塞都市の占領が2点。小都市の占領が1点だ。

他に、北洋水師除去が3点、日本軍部隊除去-3点だ。

 

ゲームスケールは1ターン=1ヶ月、1ヘクス=25km、1ユニット=旅団だ。

 

さてどうなるか?

 

【1】第1ターン(1894年8月)

日本軍の作戦は、まずは、平壌の攻略だ。平壌を攻略し北洋水師が裏面(+1)になると、日本軍は上陸作戦を実施できるからだ。


上陸作戦が実行できる条件が整ったら、山東半島に上陸する、遼東半島の任意の場所に上陸する、など選択肢が広がる。


「日本軍動員」ボックスから「至仁川」に移動させないと、地図上で活動できないので、移動させる。(下図の青い矢印)


後で気づいたが、実は第1ターンの最初で黄海海戦が発生し、北洋水師は裏面(+1)に変わっていた。
このゲームでは、日本軍と清軍でコントロールポイントのダイスを振るのだが、その時同じ数値だったら、黄海海戦が発生し、即座に北洋水師を裏面にするのだ。
日露戦争や太平洋戦争の時のように、日本海軍は開戦時に奇襲作戦を実行していたのだった。
だが、ゲーム実施中は、そのことを失念していた。

日本軍は平壌を包囲しようと前進する。
清軍は赤い点線に戦線を構築するために前進する。

 

【2】第2ターン(1894年9月)


黄海海戦が発生していたことに気づき、北洋水師は裏面(+1)に変更した。
日本陸軍は、平壌を一気に占領した。


日本軍としてはこの後どう攻めるか迷うところだ。    
案としては3個ある。    
    甲案:遼東半島の中央の山岳地帯を越えて、遼陽・奉天を目指す。
    乙案:大連・旅順攻略を目指す。
    丙案:山東半島攻略を目指す。


日本軍の勝利条件が20VPの獲得であり、VPは都市の攻略だから、勝利のためには、甲案を主攻にするのは決定だろう。
下の図の青い点線部分だけで11都市13VPあり、他の3地域の都市を合計しても勝利条件を満たさないからだ。


ちなみに赤い点線部分で6都市7VPである。
緑の点線部分で2都市3VPである。
山東半島は青い点線部分だが、ここでは3都市4VPである。

このように、冷静に考えて部隊を移動させればよかったのだが、プレイ中は、そうは考えていなかった。

日本軍の私が、プレイ中に考えたのは、(1)赤い点線地域の占領、(2)水色の点線地域の占領、(3)青色の点線地域への進撃だった。
緑色の点線地域の占領は考えなかった。

 

日本軍は、赤い点線地域を前進と山東半島への上陸を並行実施した。
いやらしいのが、下の図の赤丸で囲んだ清軍だ。ゲリラのようにこの後跳梁跋扈する。
清軍は赤い点線の戦線を張ろうと前進する。

 

【3】第3ターン(1894年10月)

日本軍は、山東半島に2個旅団を送った。
下図の赤丸で囲んだ安東包囲を目指し鴨緑江の渡河に向かう。
清軍は安東防衛に兵力を差し向けたいところだが、コントロールポイントが不足して思うように兵を動かせない。
後でA氏がご自分で気づいたのだが、青い清軍ユニットへの補給線は、この時点で切れていた。
図の赤い吹き出しのヘクスが日本軍のZOCだったからだ。
補給線が切れるとユニットはコントロールポイントを使用できない、つまり、移動も攻撃もできなくなるのだ。

日本軍は安東を占領した。山東半島では威海衛で激戦が続いている。

 

【4】第4ターン(1894年11月)

日本軍は山東半島の威海衛をなかなか攻略できない。
遼東半島を進むが、なかなか兵力を集中できない。
青丸の清軍の存在も痛い。ここに1個旅団が釘付け状態になっているのが苦しい。
清軍は遼東半島の頂上部である分水嶺や摩天嶺に陣をしく。
日本軍は、部隊が孤立して包囲されることを恐れて、無理に突っ込まなかったが、ここは突っ込んで遼東半島北部の都市占領を目指せば良かったかもしれない。

山東半島の威海衛(下図赤丸)をようやく日本軍が占領した。
遼東半島を進むが、なかなか兵力を集中できない。
清軍は遼東半島の頂上部である分水嶺や摩天嶺を中心に戦線(下図赤い点線)を張った。
これで清軍は日本軍の電撃的な進撃を止めたと言っていいだろう。

日本軍は煙台(下図赤丸)も攻略し、山東半島の都市を全て占領した。


日本軍の戦況判断としては、勝利条件都市9都市(11VP)を占領したので順調といっていい。
史実では旅順を攻略したようだが、今回は山東半島攻略を優先したので、史実と同じとみていいだろう。
しかし、この後、遼陽や奉天周辺の都市を占領するには山越えをしないといけないが、兵力の集中が進んでいない。
清軍の防衛線がしっかりできているので、攻め込むスキがない。
日本軍のコントロールポイントも弾薬も不足気味なのも悩ましい。

 

【5】第5ターン(1894年12月)

山東半島に残った清軍1個ユニットに日本軍2個旅団が拘束されたり、遼東半島の清軍防衛線に続々と援軍が集まってくる。
膠着状態になったので大連攻略を目指すために1個旅団を上陸させてみたが、仮に旅順を落としても2都市3VPでは勝利の見込みは少ない。
この頃、日本軍は弾薬不足に悩んでいた。
コントロールポイントを使って弾薬を集積できることを思い出したのだが、後の祭りだ。

 

【6】第6ターン(1895年1月)

山東半島に残った清軍1個ユニットをようやく全滅させた。
大連を2個旅団で攻撃する。

ようやく大連を陥落させた。

 

【7】第7ターン(1895年2月)

山東半島に残った清軍1個ユニットをようやく全滅させた。
もうこの時点で日本軍の勝利はほぼなくなった。
山東半島から兵力を移動させるコントロールポイントがないし、遼東半島中央部の山脈を越える兵力は清軍の半分以下だし、旅順を攻略しても勝利条件の20VPには到達しない。

   

【8】第8ターン(1895年3月)(最終ターン)

日本軍には決戦を挑むだけのコントロールポイントも備蓄弾薬量もないのでここで終戦だ。

 

【9】勝利条件の確認

日本軍が占領したのは10都市12VP。

20VPに達しなかったのでA氏率いる清軍の勝利!!

【10】感想

日清戦争講和条約である下関条約では、以下の3条件と学習した。

 

①清は韓国の独立を認める。(=清は韓国の宗主国ではない=韓国を日本が植民地にしても清は文句を言わない。)

②清は台湾、澎湖諸島遼東半島を日本に譲る。(後で三国干渉により遼東半島は清に返還する。)

③清は日本に賠償金を支払う。

 

今回の戦いだと、①は清に認めさせることができるだろう。

②のうち台湾は獲得できたかもしれないが、旅順や大連の代わりに山東半島を獲得することになるだろう。

ロシアは三国干渉などせずに直接遼東半島に進出し、日露戦争になるだろう。

史実では後に山東半島を租借するドイツが、ロシア、フランスを誘って三国干渉をするかもしれない。

③の賠償金はあまり多額はもらえなさそうだ。

 

日本軍の敗因は、遼陽や奉天など勝利条件の都市が多く存在する遼東半島北部の下図青い点線の範囲にもっと速く進まなかったことだろう。

逆に言うと清の勝因の一つはうまく山地帯に戦線を張り日本軍を食い止めたことだ。

 

山東半島に2個旅団、平壌近くに1個旅団を拘束されたため、遼東半島中央山岳地帯に兵力を集められなかったことが大きい。

日本軍は全ユニットで9個しかない。そのうち3個を他戦線に拘束されると苦しい。

一方の清軍は全軍で16個あり、そのうちこの戦線に7個集中したのだから日本軍としては厳しい。

 

今回、日本軍は、中盤までコントロールポイントや弾薬に困らなかったが、中盤から後半にかけて徐々にコントロールポイントや弾薬が苦しくなっていった。日露戦争や太平洋戦争で日本軍は輸送がままならず兵力や弾薬や食料を運ぶのに苦労したが、今回の戦いもそんな日本軍の伝統に則り、コントロールポイントや弾薬に苦しんだ。

当時の日本軍の苦労を体験できたのではないだろうか

 

このゲームは少ないユニット数で、小さいマップのため、VASSALでプレイするにはいいゲームだ。

わずか4ページのルールとA2サイズのマップでとても面白い展開が楽しめる傑作ゲームだと思う。


22インチのディスプレイで全画面が表示され、文字もよく見える。

次回は私が清軍を担当する予定だ。

果たして、A氏の清軍よりも日本軍を苦しめることができるだろうか?