Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

池田智洋『太平洋を血に染めて』(『太平洋の覇者』(Victory in the Pacific)リプレイ&作戦記事を読んで シミュレーションゲームマガジン タクテクス TACTICS 第75号(1990/2/1)


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タクテクス』(TACTICS)第75号(1990/2/1)に掲載されていた池田智洋『太平洋を血に染めて』(『太平洋の覇者』(Victory in the Pacific)リプレイ&作戦記事を読んでみた。

 

 

 

 

基地機を1海域に複数配置できるか?できないか?

基地機を1海域に複数配置していいかどうかは、私が昔プレイしているときにも迷った点だった。

[12.11]に「両方のプレイヤーは、一度にひとつずつ基地機を配置していきます。」とあるが、「1海域に1つしか配置できない」とは書いていない。このルールは、「両方のプレイヤーは、一度にひとつずつ基地機を配置していきます。1海域に何個配置してもいい。」と読んで問題ないと思う。

 

第1ターン 

第1ターンは連合軍はわずか5隻しか動かせない。

中部太平洋に米軍空母が登場する可能性が高い。

日本軍プレイヤーのI氏は、中部太平洋に加賀と鳳翔と戦艦群を配置した。連合軍プレイヤーのS氏は、重巡デ・ロイテルとヒューストンを、戦闘艦艇にして日本列島に突入させて海域制圧の妨害を試みた。

これには驚いた。確かに連合軍はゲリラ的な戦いしかできないのは事実だが、それにしても、日本列島とは、驚いた。

 

第2ターン

日本軍はベンガル湾とミッドウェー攻略に向けて移動する。連合軍はほとんどの艦艇を攻撃艦艇にして日本軍の兵力の弱いところを襲い、決戦を避けながら日本軍のPOC蓄積を妨害する。

その結果、このターンは両軍とも10POCずつだった。

なんとインドネシア海域とマーシャル諸島海域を連合軍が制圧している。

詳細な移動状況がわからないのだが、基地機を跳ばしておかなかったのだろうか?

 

第3ターン

日本軍はハワイ諸島を強襲したが、英軍がインドネシア海域に出現した。

日本軍としては、インドネシア海域を制圧できないとかなり厳しい戦いになる。

 

第4ターン

連合軍はインドネシア海域を確保した。中部太平洋海域やマーシャル諸島海域は日本軍が制圧した。

 

第5ターン

連合軍はミッドウェー奪回作戦を試みたが失敗した。インドネシア海域も強襲したが日本軍が勝利した。

 

第6ターン

米軍はマリアナ諸島中部太平洋へ、英軍はインドネシアへ攻勢をかけた。ミッドウェーは陥落したが、マリアナ諸島では米軍の5隻の空母を撃沈した。

連合軍のPOCが11、日本軍のPOCが10で連合軍が優勢になった。

 

第7ターン

日本軍は日本列島を艦艇で、インドネシアマリアナ諸島と南太平洋を陸攻隊で守る。

連合軍はガ島攻略とインドネシア、日本列島以外の海域制圧を目指す。マリアナ諸島は米軍空母11隻の猛攻でついに陥落した。日本軍は日本列島とインドネシア海域に押し込められた。

 

第8ターン

日本軍はマリアナ諸島に大和、武蔵を中心とした最後の日本海軍打撃部隊を送り込んだ。POCを計算し米軍にマリアナ諸島を渡さないようにしたのだ。

連合軍は日本列島とインド洋以外の全海域を制圧し11POC獲得し、トータル+7POCで勝利した。

 

日本軍の戦略

序盤にPOCを稼げるだけ稼ぎ後半でそれを食いつぶす。

「自軍の艦艇と敵軍の艦艇の数、自分が守るべき海域を計算に入れ、ここまでだと感じたら守りに入る」

これはまさにそのとおりだと思う。

 「この時、欲張って多くの海域を保持しようとしないことである。(中略)6ターンにもなれば、連合軍は2つの海域で同時に決戦を挑むことも可能だからである。そうでなくても分けた兵力の一方を襲われたら、それらは全滅するわ、制海権は取れないわで踏んだり蹴ったりになってしまう。」

これもまさにそのとおりだ。しかし、ついつい、欲が出てしまうのだ。

 

連合軍の戦略

「序盤は何もPOCを稼ぐ必要はない。(中略)POC蓄積を妨害することは十分に可能であるし、この方針は日本軍にとってたいへんいやらしく感じられる優れた方針である。」

まさにその通りである。だが、つい、日本軍が決戦を要求してきたら、それに応えてしまいたくなるのだ。

 

「6ターン以降、連合軍は日本軍に決戦を強いるべきである。」

そのとおりだ。

 

序盤における両軍の作戦

「日本軍は日本近海とマリアナ沖に配置する艦艇の隻数は気をつけること。(中略)戦闘艦艇になったヒューストンやデ・ロイテル、エクゼターが突入してくる。」

この作戦は考えになかった。気をつけないといけない。

第1ターンに中部太平洋に艦艇を配置しているのも私にとっては新鮮だった。ここに米軍空母が出現する確率は1/6で4艦隊あるので、2/3の確率で1艦隊は登場する。1艦隊なら空母が最大2隻だから、史実のように空母を撃ち漏らすより、ここで沈めてしまえば有利に展開できる。

 

日本軍の2ターンと3ターンにはおおよそ3通りの作戦が考えられる。

ア)ハワイ諸島を制圧し真珠湾を攻略する

イ)米国委任統治領を制圧してサモアを手に入れる

ウ)ベンガル湾とインド洋を制圧しセイロンを陥落させる

 

ア)は決戦を強要しやすいが連合軍の抵抗もすさまじい、とのことだが、その通りだ。だからこそ決戦なのだ。。

 

「連合軍は2ターンにハワイ諸島に日本軍が来てもほっとけばいい。そして、陸攻が1つしかないところや、水上艦艇がほんの少ししかいないところを襲えばいいのである。」

えっ!?2ターンにハワイ諸島に日本軍が来てもほっといて大丈夫なのだろうか?

 

「3ターンに関しては決戦するほかないが、このターンにくる海兵隊によってジョンストンが奪回できるので、陸攻はほっといて日本軍の空母のみを狙えばいい。」

なるほど~。確かにそのとおりだ。

 

「3ターンにはイギリス艦隊をインドネシアに出撃させる手は有効である。」

これはその通りだと思う。

 

イ)のサモアを攻略する作戦については、次のように書いている。

「成功しやすい反面、敵に決戦を強いるという点からは、期待できない。(中略)日本軍の手薄な所を襲えばいいのであるから、無理して決戦する必要はないのだ。」

これはその通りだと思う。

 

「連合軍の対応は、2ターンに関してはハワイの時と同じである。特にお薦めはやはり中部太平洋であろう。そうすれば、日本軍は次のターン、日本列島やマリアナ諸島すら心配しなければならないからである。サモアは陥落してもさほど困ったことにはならない。(中略)また、珊瑚海には陸攻隊(引用者注:基地機のこと)を投入して日本軍に航空消耗戦を強いるのだ。」

ミッドウェーの重要性はまさにその通りだと思う。サモアに魅力を感じないのは私だけではないようだ。

 

インド洋とベンガル湾を制圧した場合の優位性は次のとおりだ。

ベンガル湾インドネシアが日本軍の聖域と化すことができる。(中略)日本の艦艇は太平洋のみを固めれば良くなるのだ。(中略)2~4ターンの間インド洋とベンガル湾を制圧できたなら、なんと12点ものPOCが転がり込んでくるのだ。」

 

「ハワイ作戦か、インド洋作戦が決まれば、日本軍はかなり有利にゲームを進めることができるはずである。

 連合軍はヒットエンドラン戦術でもって日本軍のPOC蓄積を妨害することである。」

そのとおりだと思う。だから、私は日本軍の場合、ハワイ&ベンガル湾決戦作戦を実施する。

 

中盤から終盤にかけての両軍の作戦

「日本軍は、自軍艦艇の損失が大きいか、POCが20点以上になったら、守りに入ってもいい。この時、連合軍艦艇の損害も甚大だったら攻撃的な姿勢を崩さないほうがいいことがある。」

日本軍の時、いつ守勢に回るかいつも勘に頼っていたが、大雑把な目安がついた。

 

 

「敵の陸攻隊(引用者注:基地機のこと)を相手に不要の損害を出さぬよう、そして次のターンに役立つよう考えて艦艇を送ることに注意を払わねばならない。できるかぎり、敵の陸攻隊は味方の陸攻隊で叩きたいものである。」

「連合軍プレイヤーも、POCの計算を怠らず、最終ターンまでにいくらほしいから、どこを取りたいから、このターンにこうするといったことを考えてプレイすることが当然のことながら必要である。」

そのとおりだと思う。だが、できないものだ。

 

連合軍のヒットエンドラン戦術については、今後、もっと研究したいと思った。