Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

ルールのもやもやがようやく晴れた AH『太平洋の覇者』(Victory in the Pacific)


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私がウォーゲームに触れた中学生の頃、一番、プレイしたのが、アバロンヒル社『太平洋の覇者』(Victory in the Pacific)だ。

 

その頃、ルール上、なんだかもやもやしていたのが以下のことだったが、最近、ルール・ブック(ホビージャパン版:版数記載なし)をあらためて読んでみて約40年ぶりにようやくもやもやが晴れた。

 

 

【1】攻撃(裏)の意味

 本ゲームでは、艦艇ユニットには表の状態と裏の状態がある。

 表の状態を哨戒(patrolling)、裏の状態を攻撃(raiding)と呼ぶ。[3.1]

 表の状態だと海域を制圧できるが、裏の状態だと制圧できない。[15.1]

 このゲームの勝利条件は、海域を制圧することによる制海権得点(POC:Points of Control)を取ることだから、攻撃艦は、意味がないではないか、と思っていて、ほとんど使ったことがなかった。強いて言うと、哨戒艦の移動後、攻撃艦の移動となるので、相手の移動を見た上で移動できることくらいだと思っていた。

 

 哨戒艦と攻撃艦の移動ルールの整理

 移動ルールをあらためて整理すると、次の表のようになる。

 

国籍

哨戒艦(表)/

攻撃艦(裏)

港=>1海域目 1海域目=>2海域目 2海域目=>3海域目
日本 哨戒艦(表) ◎[6.221] ×
日本 攻撃艦(裏) ○[6.222] ◎[6.23]
哨戒艦(表) ◎[6.221] ×
攻撃艦(裏) ○[6.222] ◎[6.23][17.13]
英・豪・蘭 哨戒艦(表) ◎[6.221] ×
英・豪・蘭 攻撃艦(裏) ◎[6.223] ×[17.32]

凡例

 ○:海域侵入判定のサイコロ不要[6.4]

 ◎:海域侵入判定のサイコロ必要[6.4]

 ×:海域侵入不可

 

 哨戒艦から攻撃艦になった艦のその後の移動

 また、『タクテクス』(TACTICS)第24号(1985/11/1)に載っているQ&Aを見ると、「<6.41>で侵入に失敗して攻撃艦になった艦は再び攻撃艦として再侵入を試みられるのか?それとも一度、軍港に戻り攻撃艦として再出撃するのか?あるいはその海域で攻撃艦のままそのターンは動けないのか?」との質問に、「一度軍港または基地に戻り、そこから攻撃艦艇として出撃しなおします。」との回答になっている。

 

haruichiban0707.hatenablog.com

 これまで私は、「その海域で攻撃艦のままそのターンは動けない」としてプレイしていた。

 しかし、「一度軍港または基地に戻り、そこから攻撃艦艇として出撃しなおします。」となると話が違ってくる。軍港または基地に戻る時は[10.0]によると、「盤上のどの主要軍港(赤で印刷されたところ)にも、またそのユニットが今いる海域に接しているどの前進基地にも戻ることができます。」[10.11]には「敵制圧下の軍港や基地に入ることはできません。」とある。つまり自軍が制圧しているとこの軍港にも戻れるのだ。

 ということは、日本軍が第1ターンに占領している海域や軍港の状態の時に、横須賀を出発した哨戒艦マリアナ諸島に入ろうとして失敗する。

 

画像① 哨戒艦として、横須賀港にいる。
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画像② 哨戒艦として、横須賀から日本列島海域に出港する。
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画像③ マリアナ諸島海域に進入を試みるが、ダイスは6のため、進入に失敗。
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画像④ 攻撃艦になり(裏にする)、トラックに帰投する。

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画像⑤ 攻撃艦移動時にマーシャル諸島に出撃し、
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画像⑥ ハワイ諸島に速力判定して侵入可能となるわけだ。
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 この場合、日本列島から数えて4海域目に侵入しているが、攻撃艦は、海域制圧のために長期間その海域にとどまれないが、攻撃のために短期間、遠距離に出撃するのが攻撃艦というわけだ。

 このゲームの場合、1ターンが約6ヶ月だから、実際にこのくらい移動できても問題ないだろう。

 

[2024/05/30更新]

本記事にコメントをいただきました。コメントをいただいた愛好家様ありがとうございました。

タクテクス』(TACTICS)第29号(1986/04)のp.117に、『タクテクス』(TACTICS)第24号の正誤表がありました。


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その中で「侵入に失敗した艦は、その場で裏がえし、そのターンの間、失敗した海域で攻撃艦扱いとします。」とあります。

この場合、画像③でマリアナ諸島海域に進入を試みるが、ダイスは6のため、進入に失敗したので、その場で裏返し攻撃艦として、日本列島海域に残るのが正解と思いました。

その後もう一度考えてみると、画像③でマリアナ諸島海域に進入を試みるが、ダイスは6のため、進入に失敗したので、その場で裏返し攻撃艦として、日本列島海域に残る。

その後、攻撃艦として、日本列島=>マリアナ諸島=>マーシャル諸島と移動しようとして、マーシャル諸島で海域進入のダイスを振り、失敗したら、マリアナ諸島に残るのだと思います。

 

 

 

 

【2】軍港と基地への爆撃

 [7.11]に「一旦その海域で戦闘が開始された場合は、どちらか一方が撃滅されるまで続けます。」とある。一方、[9.13]に「爆撃は2ラウンドの空襲から成っています。」とある。

 [7.11]を優先してプレイしていたが、「書いてあることが矛盾していないか」とずっともやもや思っていた。

 だが、[9.1]に「プレイヤーがある海域内で撤退を行う場合」とある。つまり、[9.0]は、「撤退時の軍港と基地への爆撃」ルールなのだ。撤退時でない場合、[7.11]を優先していいわけだ。

 きちんとルール・ブックを読んで前提を理解しないといけない、と思った。

 

【3】POCの数え方

 これまで私はPOCを数えるとき、新たに制圧した海域のPOCだけ数えていた。

 つまり、ゲーム開始後の最初のターンで日本軍がインドネシア海域を制圧したら、日本軍に3POCだけ入れていた。日本列島やマリアナ諸島マーシャル諸島のPOCは数えていなかった。

 だが、ルール・ブックをあらためて読んでみると、[5.71]に「両プレイヤーは、自分の制圧した海域に制海権を置き、そのターンに獲得したPOCを合計します。」とある。ということは、両軍とも制海権旗を置いた海域のPOCを数えて計上するのだ。

 仮に先の例の場合、日本軍は、日本列島(3POC)やマリアナ諸島(2POC)やマーシャル諸島(1POC)にインドネシア(3POC)を合計し9POC獲得というわけだ。

 連合軍はベンガル湾(1POC)、南太平洋(1POC)、珊瑚海(2POC)、米国委任統治領(2POC)、ハワイ諸島(3POC)で9POCとなり、9-9=0でPOCの移動なしになる。(ALLIED STARTING FORCESによると、アリューシャン列島や北太平洋は最初はどちらも制圧していない。)

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【4】ルール・ブックの誤記を正確に読んでいた

 前掲の『タクテクス』(TACTICS)第24号(1985/11/1)に載っているQ&Aを見ると[7.73]に誤記があるようだ。「装甲力値と同じ数の損傷ポイントを艦艇が受けた場合、装甲力は1に、空戦力は0に低下します。」とあるが、「装甲力値と同じ数の損傷ポイントを艦艇が受けた場合、砲撃力は1に、空戦力は0に低下します。」が正解とのことだ。

 この誤記には気づかなかったが、ちゃんとこの通りにルールを適用していたのは不思議だ。

 

 要するに、どれも私の読解力の問題なのだが、ルール・ブックをきちんと読むことの重要性を、改めて感じ入った。