別冊宝島2042『ビジュアル図解 連合艦隊全作戦記録』(2013/08/16)を読んでいたら、「ビラ・スタンモーア夜戦」という戦いがあったことを知った。
昭和18年(1943)3月5日、コロンバンガラ島近くのブラケット水道からクラ湾近くで起こった水上戦だ。
コロンバンガラ島へのドラム缶輸送を終えた駆逐艦「村雨」と「峯雲」に対して、アメリカ軍第68任務部隊の軽巡3隻、駆逐艦3隻がレーダー射撃を実施し、アメリカ軍が圧勝した戦いだ。
日本側には海戦名がついていないそうだ。
この戦いをSS『聯合艦隊』(Fleet Battles)でこの戦いを再現してみる。
【0】シナリオ
1)マップ
マップは縦に2枚並べる。狭い水道での戦いのため、この2枚のマップのみ使用する。
2)日本軍
日本軍は次の通り
駆逐隊旗艦「村雨」白露型a 速力5 ヘクスB-1116 方向1
次席駆逐隊旗艦「峯雲」朝潮型a 速力5 ヘクスB-1117 方向1
PL=20
日本軍駆逐艦は次発装填魚雷を積んでいないものとする。
アメリカ軍は次の通り
「ウォーラー」フレッチャー級a 速力4 ヘクスA-1410 方向4
「コンウェイ」フレッチャー級a 速力4 ヘクスA-1409 方向4
艦隊旗艦「モントピリア」クリーブランド級軽巡 速力4 ヘクスA-1408 方向4
次席艦隊旗艦「クリーブランド」クリーブランド級軽巡 速力4 ヘクスA-1407 方向4
「デンバー」クリーブランド級軽巡 速力4 ヘクスA-1406 方向4
「コニー」フレッチャー級a 速力4 ヘクスA-1409 方向4
PL=20
アメリカ軍は全艦がSGレーダーを装備しているものとする。
3)ゲームの長さ
10ターン、または一方の軍が勝利条件を満たしたターン終了時まで
4)基本視界
8ヘクス
5)勝利条件
日本軍は地図盤Aの上端(ヘクスxx01)から地図盤外へ離脱するか、アメリカ軍PLを0にする。
アメリカ軍は自軍のPLが0になる前に、日本軍のPLを0にするか、自軍のPLが0にならずに10ターン終了時に日本軍を地図盤外に出さないと勝利する。
6)特別ルール
両軍とも相手をレーダーまたは直接視認するまで、速度変更できないし、回頭することもできない。初期配置時の速力で直進するだけである。
【1】初期配置
【1】第1ターン(1943/03/05 2248)
コロンバンガラ島へのドラム缶輸送が無事終わり、第二駆逐隊の駆逐艦「村雨」と第九駆逐隊の駆逐艦「峯雲」は帰路に着く。
左手にはコロンバンガラ島の、右手にはニュージョージア島の島影が見える。
早くラバウルへ戻らないと、夜が明けると連合軍の航空機による空爆を受ける。
アメリカ軍第68任務部隊を率いるスタントン・メリル少将が、「そろそろトーキョー・エクスプレスがいるはずだ。レーダーに何か映らないか?」ときいた。
「島影しか映っていません。」との返事だ。
「よく見ろよ。もしトーキョー・エクスプレスがいたら、今日はコテンパンにやっつけてやるからな。」とメリル少将は戦意をむき出しにして言った。
【2】第2ターン(1943/03/05 2254)
「約1300ヤード前方11時の方向に、トーキョー・エクスプレス2隻発見!敵はちょうどこちらに並行に向かってきています。」
先頭にいる駆逐艦「ウォーラー」から連絡がメリル少将に入った。
二番艦の駆逐艦「コンウェイ」も「日本軍駆逐艦2隻発見!」と連絡が入った。
三番艦の軽巡「モントピリア」でも「敵駆逐艦1隻発見!」とレーダー員が報告を上げた。
「よし。総員戦闘配置!砲雷撃戦用意!」とメリル少将が命令した。
その頃、日本軍駆逐艦「村雨」では、見張り員が必死で各方面ににらみをきかせていたが、敵艦隊を発見していなかった。
メリル少将は日本軍に左舷を向けるように右に回頭した。
「Fire~~!」
メリル少将からの命令の下、アメリカ軍が先手を打って、砲撃を開始した。
軽巡「モントピリア」の三連装15.2cm砲4基12門が日本軍「村雨」を狙って砲撃した。
距離11ヘクス=中距離
DR5+2(SGレーダー)=7
1/2Hit
軽巡「クリーブランド」も前方の主砲6門で「村雨」を狙って砲撃した。
距離12ヘクス=中距離
DR6+2(SGレーダー)+2(集中射撃の2隻目)=10
はずれ
駆逐艦「ウォーラー」も12.7cm砲5門で「村雨」を狙って砲撃した。
距離9ヘクス=中距離
DR7+2(SGレーダー)+4(集中射撃の3隻目)=13
はずれ
「モントピリア」の1/2Hitだけだ。
砲撃力10x1/2=5
艦種影響判定表より1R
比率は5:5=>1:1=>2:1
DR6
損害W
追加打撃判定はdr1で発生しない
「一体あの閃光は何だ?」と閃光を見た「村様」艦上で第二駆逐隊司令橘正雄大佐が駆逐艦長種子島洋二少佐にきいた。
しかしその直後、「村雨」の周囲に多数の水柱が上がった。
一発の命中弾もあった。
「応戦だ!」
日本軍のPLは19
アメリカ軍のPLは20
【3】第3ターン(1943/03/05 2300)
「村雨」が左60度回頭した。「峯雲」も後に続く。
アメリカ軍が砲撃を続ける。
軽巡「モントピリア」の三連装15.2cm砲4基12門が日本軍「村雨」を狙って砲撃した。
距離9ヘクス=中距離
DR8+2(SGレーダー)=10
はずれ
軽巡「クリーブランド」も前方の主砲6門で「村雨」を狙って砲撃した。
距離10ヘクス=中距離
DR5+2(SGレーダー)+2(集中射撃の2隻目)=9
1/2Hit
駆逐艦「ウォーラー」も12.7cm砲5門で「村雨」を狙って砲撃した。
距離7ヘクス=中距離
DR8+4(集中射撃の3隻目)=12
はずれ
「クリーブランド」の1/2Hitだけだ。
砲撃力10x1/2=5
艦種影響判定表より1R
比率は5:5=>1:1=>2:1
DR11
損害W
追加打撃判定はdr3で発生しない
「村雨」艦上では、「主砲2門に敵砲弾が命中しました!!」と報告が上がってきていた。
橘大佐と種子島少佐の顔色が曇った。
軽巡「デンバー」の三連装15.2cm砲4基12門が日本軍「峯雲」を狙って砲撃した。
距離11ヘクス=中距離
DR7+2(SGレーダー)=9
1/2Hit
駆逐艦「コンウェイ」も12.7cm砲5門で「峯雲」を狙って砲撃した。
距離8ヘクス=中距離
DR6+2(集中射撃の2隻目)=8
1/2Hit
砲撃力10x1/2=5と4x1/2=2
5+2=7
艦種影響判定表より1R
比率は7:5=>1:1=>2:1
DR8
損害なし
日本軍も反撃する。
距離7ヘクス=中距離
DR6
Hit
駆逐艦「峯雲」も一番艦「ウォーラー」を狙って砲撃した。
距離8ヘクス=中距離
DR4
Hit
「村雨」「峯雲」の1Hitずつだ。
砲撃力1x1=1と4x1=4
1+4=5
艦種影響判定表より1R
比率は5:6=>1:2=>1:1
DR3
2W
追加打撃判定はdr1とdr5で、発生だ。
DR6-1=5でFH方位盤破壊
レーダー使用不能で砲撃命中判定+2だ。
「ウォーラー」艦上では大混乱だった。
12.7cm砲のうち2門に命中弾があり、方位盤が破壊された!
日本軍は右に60度回頭を二回した。
「雷撃用意!!」種子島少佐が命令した。
「魚雷発射~っ!!」
距離8ヘクス
目標艦速度5なので艦速係数4
射程8x艦速係数4=32 発射管数8なので基本命中数4
dr1
命中数1
「クリーブランド」の防御力13
dr1
4P
追加打撃はdr5, dr5, dr4, dr1のため発生しない
「村雨」の必殺九三式酸素魚雷が「クリーブランド」に命中した!!
大音響とともに大爆発が起こり、「クリーブランド」に大きな破口ができて一挙に浸水した。機関が停止して航行不能になった。
駆逐艦「峯雲」は一番艦「モントピリア」を狙って雷撃した。
距離8ヘクス
目標艦速度5なので艦速係数4
射程8x艦速係数4=32 発射管数8なので基本命中数4
dr1
命中数1
「モントピリア」の防御力13
dr3
3P
追加打撃はdr2, dr6, dr1のため発生した。
DR6で弾薬庫浸水MHだ。追加1Wだ。
「モントピリア」にも必殺九三式酸素魚雷が1本命中した!
大音響と共に一気に破口から浸水し、機関が半分停止した。弾薬庫にも浸水した。
メリル少将が、「日本軍のロング・ランスか・・・。被害状況知らせろ。砲撃可能か?」ときいた。
「モントピリア」艦上も大混乱だった。
航行不能になった「クリーブランド」に「デンバー」と「コニー」が衝突しそうになるがうまくよけて航行した。
「峯雲」の砲撃
距離4ヘクス=近距離
DR8+2(集中砲撃の2隻目)=10
Hit
「村雨」「峯雲」の1Hitずつだ。
砲撃力1x1=1と4x1=4
1+4=5
艦種影響判定表より1R
比率は5:6=>1:2=>1:1
DR5
W
追加打撃判定はdr6で、発生だ。
DR9-1=8でTH発射管命中
魚雷使用不能になり2ターン火災発生だ。
「コンウェイ」艦上では大混乱だった。
魚雷発射管に砲弾が命中し魚雷から火災が発生した。
軽巡「モントピリア」の三連装15.2cm砲4基12門が日本軍「峯雲」を狙って砲撃した。
距離6ヘクス=近距離
DR8
Hit
距離7ヘクス=中距離
DR10+2(集中射撃の2隻目)=12
はずれ
駆逐艦「ウォーラー」も12.7cm砲で「峯雲」を狙って砲撃した。
距離4ヘクス=近距離
DR4+4(集中射撃の3隻目)=8
Hit
「モントピリア」「ウォーラー」のHitだ。
砲撃力10x1=10 2x1=2
10+2=12
艦種影響判定表より1R
比率は12:5=>2:1=>3:1
DR7
損害W
追加打撃判定はdr6で発生
DR10-1=9
SH通信室命中 ゲーム終了まで旗艦能力を失い2ターン火災発生だ。
「峯雲」艦上では、「通信室に敵砲弾が命中しました!!火災発生しました。」と報告が上がってきていた。
軽巡「クリーブランド」の三連装15.2cm砲4基12門が日本軍「村雨」を狙って砲撃した。
距離8ヘクス=中距離
DR4
Hit
駆逐艦「コニー」も12.7cm砲5門で「村雨」を狙って砲撃した。
距離7ヘクス=中距離
DR3+2(集中射撃の2隻目)=5
Hit
駆逐艦「コンウェイ」も12.7cm砲5門で「村雨」を狙って砲撃した。
距離4ヘクス=近距離
DR6+4(集中射撃の3隻目)=10
Hit
「クリーブランド」「コニー」「コンウェイ」それぞれHitだ。
砲撃力10x1=10と4x1=4と4x1=4
10+4+4=18
艦種影響判定表より1R
比率は18:5=>3:1=>4:1
DR10
W
追加打撃はdr1で発生しない。
駆逐艦「ウォーラー」は「峯雲」を狙って雷撃した。
距離4ヘクス
目標艦速度5なので艦速係数4
射程4x艦速係数4=16 発射管数10なので基本命中数6
dr5+2(米海軍)=7
はずれ
これで両軍とも魚雷を撃てる艦がなくなった。
日本軍のPL16
アメリカ軍のPL1
【4】第4ターン(1943/03/05 2306)
日本軍は戦場離脱を考えて全速力で移動する。
軽巡「モントピリア」の三連装15.2cm砲4基12門が日本軍「村雨」を狙って砲撃した。
距離4ヘクス=近距離
DR6
2Hits
距離4ヘクス=近距離
DR4+2(集中射撃の2隻目)=6
2Hits
駆逐艦「コニー」も12.7cm砲で「峯雲」を狙って砲撃した。
距離4ヘクス=近距離
DR5+4(集中射撃の3隻目)=9
Hit
「モントピリア」2Hits、「デンバー」2Hits「コニー」Hitだ。
「村雨」に15.2cm砲24門の砲弾が雨あられと降ってきた。
次々と命中弾が発生し、「村雨」は主砲が大爆発を起こしてそこから艦体が真っ二つに割れて沈んでいった。
軽巡「クリーブランド」の三連装15.2cm砲4基12門が日本軍「峯雲」を狙って砲撃した。
距離5ヘクス=近距離
DR9-2(火災発生艦)=7
2Hits
駆逐艦「ウォーラー」も12.7cm砲5門で「峯雲」を狙って砲撃した。
距離7ヘクス=中距離
DR7-2(火災発生艦)+2(集中射撃の2隻目)+2(FH)=9
1/2Hit
駆逐艦「コンウェイ」も12.7cm砲5門で「村雨」を狙って砲撃した。
距離6ヘクス=中距離
DR3-2(火災発生艦)+4(集中射撃の3隻目)=5
Hit
「クリーブランド」2Hits、「ウォーラー」1/2Hit、「コンウェイ」Hitだ。
砲撃力10x2=20と4x1/2=2と4x1=4
20+2+4=26
艦種影響判定表より1R
比率は26:5=>5:1=>6:1
DR3
2WP
追加打撃はdr3,dr5,dr6で2個発生した。
DR6-1=5 FH方位盤破壊砲撃命中+2
DR4-1=3 MG弾薬庫命中沈没
「峯雲」の弾薬庫に命中した。
数度にわたって大爆発が起こり、「峯雲」が轟沈した。
【5】勝利条件の確認
■連合軍の損害
軽巡「モントピリア」1W3P 最大速力半減
駆逐艦「ウォーラー」2W 方位盤破壊
■日本軍の損害
駆逐艦「峯雲」沈没
アメリカ軍が自軍のPLが0になる前に日本軍のPLを0にしたのでアメリカ軍の勝利
【6】感想
史実では、一方的にアメリカ軍が日本軍の駆逐艦二隻を撃沈したが、今回は、アメリカ軍も軽巡「クリーブランド」が航行不能になり、「モントピリア」が速力が半減するなど、大損害を受け、あと1ポイントで日本軍の勝利だった。惜しかった。
日本軍に必殺の九三式酸素魚雷があるとはいえやはり3隻もの軽巡洋艦を相手にするのは厳しいものがある。
こういう無名な戦いを見つけて自作シナリオを作ってみるのも興味深くて楽しいものだ。