Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

『ドイツアフリカ軍団』(Afrika Korps)作戦研究 (1)

 TACTICS第2号に、ジェネラル12巻5号、15巻5号、16巻2号、17巻3号を抄訳した『ドイツアフリカ軍団』(Afrika Korps)の作戦研究(大河浩司/訳・編)が載っていたので、それを盤面に並べて研究してみた。

 

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『ドイツアフリカ軍団』(Afrika Korps)

1.標準的防御

 『ドイツアフリカ軍団』(Afrika Korps)は、多数の人がプレイして、いろいろと作戦研究しているそうだ。当時はゲーマーの人口に対してゲームが数少なかったから、一ゲームあたりのプレイ人口は、現在とは比較にならないくらい多かっただろう。

 英軍の防御として「標準的防御」という形があるそうだ。トブルクを守るために、南部からの攻撃を防ぐという意味では妥当な防御法だろう。ユニット数が少ないので、ユニット間が2へクスになるのは致し方ないだろう。これで時間を稼いでいるうちに、増援部隊がトブルク周辺2へクス以内の急斜面に第2の防衛線を敷けるはずだ。

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標準的防御

 

2.パレベダ=ギャンビット

 カール=パレベダ氏が、英軍の守りとして、標準的防御より有効な手を考えたそうで、それが「パレベダ=ギャンビット」と呼ばれているそうだ。

 下図が枢軸軍の最初の移動後の形。ベンガジを囲むイタリア軍は、1ターンでここまで移動できないと思うのだが、ここではそのままとしておく。

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パレベダギャンビット 枢軸軍Apr-1941移動後

 パレベダ=ギャンビットと標準的防御を比べたのが下図である。左がパレベダ=ギャンビット、右が標準的防御。標準的防御はドイツ軍に対して十分に防御しているように見える。一方、パレベダ=ギャンビットは、トブルク守備隊が2ユニットだけでだし、北西部も2ユニットに兵站ユニットだけでとても守れそうにない状態だ。

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パレベダギャンビットと標準的防御の比較

だが、次のターンにドイツ軍がトブルクを攻撃するとして、戦闘比は、緑の四角形で10-8(1-1)、と青の四角形で2-4(1-2)にしかならないのだ。確かにこれだとドイツ軍としては攻められない。

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トブルク周辺の戦闘

 一方、ベンガジ北東では、仮にイタリア軍が海岸道路を攻めてきても、南から攻めてきても、たった2個のユニットで防衛できる。

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パレベダギャンビット ベンガジ北東部を2ユニットで防御

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ベンガジ北東部ではイタリア軍が南部から来てもブロック

 この後については、TACTICS誌の解説は、「なるほどなぁ~」と納得させられる。

 枢軸軍としては、ベンガジを落としても海岸通り沿いに英軍がいると、トブルクとの連絡がとれないので、海岸通りを開通させる必要がある。

 パレベダ=ギャンビットがとても優れていることがよくわかった。