Strategy & Tactics誌 第77号(1979年11月-12月号)の付録で後にSPIから箱入りで発売された『奇襲空挺部隊』は3個のスケールもルールも異なるゲームが同梱されている。
その中の『エバン・エマール』(Eben Emael)は、ソロ・プレイに向いているし、ちょっとした時間にプレイできる。ほぼ一方的に確実にドイツ軍が勝つはずだった。
第1ターン ベルギー軍戦闘態勢判定フェイズ後
18個中10個のトーチカが戦闘態勢になった。確率的には12個戦闘態勢になってもいいところだが、若干少なかった。
第1ターン ドイツ軍移動後
ドイツ軍はトーチカの死角に移動する。
第1ターン ドイツ軍突撃フェイズでは7カ所のトーチカを破壊!!ドイツ軍楽勝のペースだ。
勝利まで残り4カ所
第2ターン ドイツ軍移動後
残った0413, 0611, 0708, 1406のトーチカにドイツ軍分隊が向かう。
第2ターン ドイツ軍回復フェイズ後
0611のトーチカも破壊したので残り0413, 0708, 1406の3カ所
第2ターン 終了時
ベルギー軍トーチカ残り2カ所。その防御にベルギー軍が向かうが間に合いそうにない。
第3ターン
ベルギー軍防御射撃でドイツ軍第7分隊全滅。第7分隊は何度も釘付けになり不運だったが最後に全滅してしまった。110ポンド爆薬を使わずに全滅したのが痛い。
ベルギー軍の近接突撃でドイツ軍第4分隊全滅。
第4ターン
ベルギー軍防御射撃でドイツ軍第8分隊全滅。残り6分隊で釘付けが3分隊。苦しい態勢になった。近接突撃で爆薬攻撃をかけたがサイコロ3回とも4以上でトーチカ破壊に失敗。
ドイツ軍の行く手に暗雲が垂れ込める。
ベルギー軍に待望の増援到着。これで分隊数は6対6で同数になった。
ドイツ軍の防御射撃でベルギー軍2個分隊全滅。ドイツ軍としては大きい!!
第5ターン
ドイツ軍が0413, 0708のトーチカ破壊に成功。残りは1406一カ所のみ。ただ部隊が離れてしまったので、移動に時間が、かかりそう。
第6ターン
ドイツ軍プレイヤーターン終了時
ドイツ軍は残った1406に向けて移動を急ぐ。
第7ターン
ドイツ軍6個分隊
ベルギー軍6個分隊 4キューポラ(うち1キューポラはダミーのため実質3キューポラ)
4ケースメイト型トーチカ。
ドイツ軍第10分隊がベルギー軍防御射撃で全滅。流れがベルギー軍に移ったか。
ベルギー軍移動フェイズ終了時
ベルギー軍の6個分隊が残ったトーチカ1406周辺に集結。
ドイツ軍第10分隊が、近接突撃で全滅。
ドイツ軍の勝利がいよいよ怪しくなってきた。
第8ターン
ドイツ軍第9分隊がベルギー軍射撃を受けて全滅。
ドイツ軍残り3個分隊。
第9ターン
ドイツ軍残り3個分隊。ベルギー軍残り5個分隊。数の上でも1406トーチカ周辺の兵力数に限ってもベルギー軍が有利だ。
その2個分隊がいずれも釘付けになった。そこでベルギー軍が5個分隊で包囲し近接突撃でドイツ軍第1分隊全滅。これで残った第5分隊が1406に隣接する可能性ゼロのためベルギー軍の勝利が確定。
第10ターン
ベルギー軍はドイツ軍全滅を目指して突撃したが、第1,5分隊全滅。
ドイツ軍は最後の近接戦闘で一矢報いた。
ドイツ軍は残り1個分隊。ベルギー軍は残り3個分隊と4個キューポラ(うち1個キューポラはダミー。)4個ケースメイト型トーチカ。
損害はドイツ軍8個分隊。ベルギー軍5個分隊。3個キューポラ。7個ケースメイト型トーチカ。
ベルギー軍はエバン・エマール要塞を守りきった。18個中10個のトーチカを破壊したので、フランス侵攻を狙うドイツ軍を何日間足止めできるだろうか?
分析
ドイツ軍の敗因は1406キューポラ破壊のために派遣した分隊が2個と少なかったこと。西のトーチカ破壊に多数の分隊を送ったがそれがいけなかった。西のトーチカはケースメイト型なので射界が制限されるし森によって接近も容易だからそんなに分隊を多く派遣する必要なかった。一方で1406は周囲が平地なので射撃を受けた時のサイコロの目修正がないので損害の確率が上がってしまう。実際それで近づいた時に全滅してしまった。
また勝利条件に無関係なトーチカを破壊せず、勝利条件に関係あるトーチカに攻撃を集中した。キューポラ型トーチカは勝利条件に無関係でも破壊しておくべきだった。
感想
このゲームは一方的な展開にしかならずベルギー軍に勝利はない、と思っていたが意外とドイツ軍にとってもリスクのあった戦いだとわかった。奇襲とはいえ、周囲には多数のベルギー軍がいる要塞に、軽武装の空挺部隊が爆薬持ってトーチカを破壊して回るのだから、時間が余計にかかればすぐ包囲されてしまい脱出不可能になる危険な任務だったことをよく実感できた。