さすがに14年前の本なので書かれていることが古くなっていて、今読むと、定説になっているものが多い。例えば下記だ。
p.23 武田騎馬隊は映画のようではなかった。
p.32 長篠の戦いでは鉄砲三段撃ちはなかった。
その他、面白いと思ったのは、次の記事だ。
p.44 乃木希典が愚将だったのか?
司馬遼太郎は乃木希典が愚将だったという説を流布させたが、本書ではそれに疑問を呈している。十年後の第一次世界大戦の塹壕戦を見ると、機関銃に対する歩兵の戦い方は戦車が登場するまで明確な答がなかった。そう考えると日露戦争での日本軍の戦い方と犠牲は、当時としては仕方なかったと私は思う。むしろよく勝てたと言っていいだろう。
p.53 第一次ノモンハン戦
p.63 第二次ノモンハン戦
ノモンハン事件については、「戦果は五分五分。またはソ連軍の方が被害が大きかったのだから負けていない」という説もあるが、作戦目的を達成したのがソ連軍だったからソ連軍の勝ちは否定できない、と私は思う。
p.85 真剣の訓練では勝てない
逆説的だが的を射た意見だと思った。
p.87 きつつきの戦法はなかった
これは同意見。
p.120 小牧・長久手の戦い
個人的にはこの戦いはよくわからないのでもっとよく研究したいと思っている。確かに豊臣勢は徳川勢に負けて三河に入れなかった。だが、軍勢は豊臣勢が圧倒的だったのに秀吉は戦おうとはしなかった。なぜ戦わず講和を選んだのか?戦っていたらどうなったのだろうか?もっとよく研究したいテーマだ。
p.158 軍服の歴史
マスケット銃とナポレオン時代の軍服の話が面白かった。相手に大きく見せるためにあの軍服だったとは意外だった。
p.171 薩英戦争
薩摩藩は砲台を破壊され鹿児島の町を焼かれ攘夷の無謀さを悟った、と思っていたが、薩摩藩より英軍の方が人的損害は大きかったのかぁ・・・。やるなぁ、薩摩藩。
p.206 満洲事変
今は満洲のことを「中国東北部」と呼ぶが、そうすると当時の状況が全く理解不能になる。もともと万里の長城以北は漢民族から見ると「化外の地」だったのだ。満洲事変当時は「無主の地」だった。この記事は教科書に載せたいくらい、軍閥など当時の状況がよくわかる。
さすがに14年前の本なので書かれていることが古くなっているが、手軽に読めて図もわかりやすいのでお勧めの本だ。