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第二次世界大戦後期のソ連軍の作戦術、アメリカ陸軍のエアランド・バトル、アメリカ海兵隊のマニューバー・ウォーフェア、ロシアのハイブリッド戦争、アメリカ陸軍のマルチドメイン・オペレーションズをイラストまじえてわかりやすく解説している。
ソ連軍の作戦術については私は完全に誤解していた。
戦術、作戦、戦略と区分されていたところに作戦と作戦を連結する戦役の考え方を加えたのが作戦術だと思っていた。「作戦」術という呼び方が合っていないと思っていた。
しかし本書を読むと、当時は戦術と戦略の区分だったがそこに作戦術を加えたのがソ連軍の作戦術なのだそうだ。
そして作戦術は作戦次元、作戦と作戦を連携させた戦役も含むの広い範囲なのだそうだ。
ロシアによるウクライナ侵攻で話題になったハイブリッド戦争も説明がわかりやすい。
「軍事・非軍事の幅広い手段の統合」ということだが、そんなにびっくりするような新しい考え方とは私には思えなかった。
技術の進歩によって使う道具は変わったが、『孫子』の「用間」や戦国大名による忍者の利用などの現代版に思えた。(私の誤解や浅い読み方のせいかもしれないが)
日本国内では、敵基地攻撃能力を持つかどうかの議論が始まっているが、本書を読んで本書が触れていない日本の自衛隊のドクトリンはどうなっているのだろうか?
日本は憲法9条があり専守防衛をうたっていてアメリカや中国やロシアなどとは明らかに異なる国情なので独自のドクトリンが必要になると思う。私の不勉強で日本のドクトリンを知らないだけかもしれないが、本書を読んで気になった点だ。
「近世・近代編」と「現代編」の二冊とも、イラストがわかりやすく、説明も簡潔で、用兵思想についてよく理解できた。
ウォーゲーマー必携の二冊だと思う。