もくじはこちら
武装SSの歴史をまとめたムックの全2巻中の第1巻だ。この巻では、1933年から1942年までをまとめている。
p.31 DOCUMENT
1. SSの創設、そして武装SSの前身「特務部隊」の誕生と発展 文/蔵世美仲
2. 初の実戦「ポーランド戦」と武装SSの誕生 文/佐藤俊之
3. 不可欠な軌道戦力へと成長 西方電撃戦 文/佐藤俊之
4. 外国人義勇兵の登用とバルカン戦役 文/佐藤俊之
5. 武装SS、広大なロシアの地へ「バルバロッサ」作戦 文/佐藤俊之
SSの期限は1923年3月にヒトラー敬語の必要性から創設した「SA最高司令部衛兵班」だった。5月に「アドルフ・ヒトラー衝撃隊」と改称され200名だった。11月のミュンヘン一揆でヒトラーが逮捕されSA、「アドルフ・ヒトラー衝撃隊」も禁止された。1924年12月自由の身となったヒトラーはヒトラーの安全と行動の自由を確保するために隊員数わずか8名でナチス親衛隊(SS:Schutzstaffel)を発足させた。
1933年1月ヒトラーが政権を掌握するとSSが警察権を握り、1934年にはSAを粛清した。
総統警護でスタートしたSSが、警察権と強制収容所の管理権を握り、やがて軍隊組織になっていく。
p.95 武装SSの解剖学 文/監修 芝健介
体制図がわかりやすい。
新兵募集の苦労が面白い。1650年まで「アーリア」祖先を遡っていたのが、1800年にまで基準を引き下げたり、軍と競合したりして、なかなか苦労していたようだ。
教育カリキュラムの一部が紹介されているが、世界観教育を見ると人種差別がナチの根本であることがよくわかる。当時の日本がナチドイツと同盟を結ぶことが危険だと思わない方が不思議だ。
p.109 武装SSを取り巻く組織 文・監修/山下英一郎
SSそのものが複雑な歴史と組織体制だった。
SS髑髏部隊と強制収容所。秩序警察とその他の警察機構。保安警察とSD。ヒトラー・ユーゲント。国家労働奉仕団。ドイツ民族性強化帝国委員本部。
武装SS=エリート陸軍部隊と何となく思っていたが、そんな単純な組織ではないことがよくわかった。SSの中には他にも様々な組織があり、武装SSが第二次世界大戦の進展とともに急激に成長したことがわかる。
p.127 ナチス親衛隊の支配者 ハインリヒ・ヒムラーとは何者だったのか? 文/守屋純
p.143 武装SS人物列伝 文/守屋純
SSという悪名高い組織を指揮していたハインリヒ・ヒムラーやヨーゼフ”ゼップ”ディートリヒ、パウル・ハウサー、フェリクス・シュタイナー、テオドール・アイケらの評伝だ。
p.159 「親衛隊」の世界史 文/有坂純
古代から20世紀までの親衛隊の歴史を簡単にまとめたものでわかりやすい。
親衛隊の役割は次の4点だ。
①指導者個人の警護、②政権ないしイデオロギーの防衛、③名誉、特徴としての勤務、④国家の戦略予備
いろいろな時代と国の親衛隊を紹介し、それらにどんな特徴があったか、どんなことをしたかがよくわかる。
マーケットガーデン作戦で第30軍団に属して地上を突き進むコールドストリーム近衛連隊も紹介されている。
SSについては、「総統の恣意にひたすら忠実な暴力装置」と定義している。
「「SS」とは、警察、秘密警察(ゲシュタポ)、保安諜報部(SD)、髑髏部隊(強制収容所管理部隊)、そして武装SS等の、目的も沿革も異なるありとあらゆる組織の寄せ集めであり、それらの部局の長官たちがヒムラーの指揮の下で一致協力するなどというのは夢物語に過ぎなかった。」と有坂氏が書いている。
「部局及び観察する視座によって、①、②、③、④のいずれにも該当する場合があるとしか言えない。」と続けている。
なるほど。SSの特徴がつかみにくい理由がはっきりわかった。
p.167 武装SS師団全史I 文/高橋慶史
下記12個のSS師団の沿革と戦闘と歴代師団長名について概説している。
第3SS装甲師団「髑髏」
第4SS警察装甲擲弾兵師団
第5SS装甲師団「ヴィーキング」
第6SS山岳師団「ノルト」
第7SS義勇山岳師団「プリンツ・オイゲン」
第8SS騎兵師団「フロリアン・ガイアー」
第9SS装甲師団「ホーエンシュタウフェン」
第10SS装甲師団「フランツベルク」
第11SS装甲擲弾兵義勇師団「ノルトラント」